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06.呪矢

ここから新規となります。

今回は男爵視点がのお話です。


11/6:誤字修正

アリアを乗せた馬車が屋敷を出るのをみて妻とセシリアが静かに泣き出した。

アリアには伝えてないことがある。

肩の呪が古の禁呪、呪矢の死の刻印に酷似しているということだ。

死の刻印を受けた者は必ず死を迎える。

200年以上前の記録のみだが、刻印を受けた者は期間はまばらだが命を落としている。

200年以上前に魔法が使えてたのは精霊がこの大陸にいたからだ。

とある事件が起きて、精霊達はこの大陸から去ってしまった。

それでも精霊がいた名残として今でも宝玉があり、簡単な術は使えるが昔のような魔法は無理である。

宝玉は火・風・土・水・光・闇の属性があり、この大陸では6つの国がそれぞれ1つずつ管理している。

オスクリタ国は闇の宝玉を管理しており、宝玉と教会の管理責任者がシュテルン公爵だ。。


死の刻印は事件の原因ともなった女性が作り上げた術の1つで、大陸の1/3近くを滅ぼしたとされている。

禁呪にはこのほかにも魅了や操りなど人の心を壊す者が多く、禁呪について書かれた書は全て破棄されたと記録されている。


だが今回の不審者について調べているうちに学院内で魅了の呪が使われていた痕跡が発見された。


魅了の呪は魔力耐性が強いものなら感じることができるが、魔法が使えなくなった今では魔力耐性があるものは珍しい。

クリスからアリアが『カミーラ様から独特な匂いがしないか』と聞かれたことがあると言っていたので、おそらくアリアは魔力耐性が強いのかもしれない。

今回は運が良かったとしか言いようがない。


現に魅了の呪はヴィルフリート殿下達を含め、カミーラ嬢と同じクラスにいた者達は一番影響を受けていた。

こちらは教会で対応ができるという事で、現在では魅了の呪から解放されている。

ただ、レイヴィン様は影響を受けていなかった。

だからこそ今回はレイヴィン様が狙われたのではないかと考えている。


魅了の呪と死の刻印が使われたとなると200年以上前の事件の再来の危険がある。

改めて宝玉の確認をしたが、宝玉がとられていた形跡はなかった。

6ヶ国に連絡をしたが、どの国も宝玉は取られていない。


では、彼らはどうやって呪を完成させたのか。

答えはデストリュ男爵家にあった。


学院の事件が起こる前からデストリュ男爵に不審な動きがあり、調査がされていた。

今回の事件を受けてデストリュ男爵家に行くと、男爵を含め全ての者が惨たらしく亡くなっていた。

カミーラ嬢は死後数ヶ月は経っていることから、学院にいた少女がカミーラ嬢に成りすました今回の事件の首謀者とされ、今なお調査がすすめられている。

デストリュ男爵は操りの呪が刻まれた状態でみつかった。

使用人達の遺体からは全て血がぬかれており、カミーラ嬢の遺体の下にある魔法陣から考え、人の血を媒介にしてつくられたこれまた禁呪の宝玉と判断された。


だからこそアリアの刻印は本来の効果とは違う声がでないになったのかもしれないが、この国ではアリアの刻印に対する対応は無理な為、光の宝玉を管理する隣国のルーチェ国にいかせることになった。

死の刻印である事に変わりはないため、一刻も早く解くことが必要と言うのとこれから起こることを考えると対策を考える為にもルーチェ国へ行くのが一番という事になり、ルーチェ側も受け入れを許可してくれた。

昔の事件の再来防止のために各国が密かに協力体制に入っている。


そして今回の事件で、シュテルン公爵は全てに決着をつけると私とマリノスに告げた。


現シュテルン公爵家当主、セルバア・シュテルン様は、200年以上前にシュテルン家に婿に入った方の直系である。

その方は事件を起こした女性と兄弟弟子であり、未来で女性の子孫が再び事件を起こすと予言されその為に今まで警戒をしていた。

表向きは教会の管理がシュテルン公爵家の仕事だが、裏では王家直属の諜報部隊をまとめている。

その方には2人の護衛がついており、それが現在のヴィーゼ家とシュテルン家の執事をしているヴェント家である。


ヴィーゼ家は護衛学校という名目で護衛を育て、素質がある者は諜報に誘い、執事のマリノスが諜報部隊を育てている。

代々、災厄に備え常に警戒をしているはずだったのに、200年近くも何も手掛かりがなく、油断していたとしか言えないのが今回の事件だ。

学院内のトラブルは生徒間で対応と言う事で調査を後回しにしていたのがまずかった。

陛下からはこの件についての御咎めはなかったが、我々は名誉挽回の為に今まで以上に警戒に力をいれている。


デストリュ男爵の調査をもっと早くにしていれば今回のアリアの事件は防げたかもと考えてしまう。

だが、過去を悔いても何も変わらず過去の二の舞になってしまう。


その為に公爵はアリアにレイヴィン様とマリノスの息子のジークリフトに共に行くように命じたのだろう。


セルバア様は今までやる気のない息子が目の色を変えて積極に動き始めたと密かに喜んでいた。

何も悪いことばかり起こっているのではないのだとだからアリアも大丈夫だと言ってくれた。

普段は余計な事を言わないマリノスでさえぶっきらぼうに励ましてくれた。

そんな主と友の言葉に私は私にしかできないことをして最悪の事態になる事を防ぐ事に専念するのみだ。


だからアリアの事はレイヴィン様とジークに任せよう。

サラとリゲルの護衛も付けたし、神官殿もついていってくれた。


私のお転婆で何事にも一直線でいつも笑顔でいる愛娘は無事に帰って来ると信じている。


アリアが帰って来た時の居場所を守るためにも今は私にできる事をするだけだ。

帰ってきたら笑顔で『ただいま』と言ってくれることを願っているよ。

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