04.目覚め
この回も短編を追加変更した内容です。
11/6:誤字修正
目を覚ました私はぼんやりした頭で体を起こしながら周りを見て混乱中です。
何故って学院にいたはずなのにここはどうみてもここは実家の私の自室です。
えっと、確か不審者がいて肩が熱くなって左腕が徐々に動かなくなったはず・・・。
自分の左腕を見て動かしましたが普通に動くし痛みもありません。
よかったと思ってるとノック音と共に扉が開きメイドのサラが入ってきましたが、私を見て固まっています。
何故固まってるんでしょうか。
サラの隣にいるリゲルも同じような表情です。
サラとリゲルは双子で私より1つ年上です。
サラは私のメイド兼護衛として、リゲルは我が家の護衛として幼い頃から共に育った仲です。
その2人が固まるという事は私は何かしでかしたのかしらと考えていると
「お嬢様!!」
叫ぶなりサラが私に抱き着いてきました。
何事?!と思っているとリゲルが側のチェストに氷を置いて、サラを私からはがします。
「旦那様に伝えてきます」
リゲルはそういうと急いで部屋を出ていきます
「3日も目も覚まさないでいらしたので心配したのですよ?
風邪など滅多にひかないお嬢様が高熱ってだけでも驚きしたのに。
熱はいかがですか?どこか痛いところはありませんか?」
サラは一気に言うと私のおでこを触ったり水を飲ませようとしたり忙しく看護してくれます。
私はサラの発言にいろいろ驚きましたが、3日も経ってたのかと考えていると扉が突然開きました。
「アリア!!」
勢いよく扉を開けたのはなんとお父様でした。
その後ろからお母様とお医者様と神官様までいらっしゃいます。
何故、神官様までいらっしゃったのでしょうか。
ただの熱であるならば神官様が来るという事はありえないはずなのです。
「このまま目を覚まさないのではと思ったよ」
突然お父様に抱き寄せられ私は再び驚いてます。
常に厳しくそして時たま優しいお父様の声が震えていて目の端に涙が見えたからです。
お父様の涙を見たのは初めての気がします。
そして後ろにいるお母様も泣いていらっしゃいます。
熱を出して寝込んだのはそんなに重症だったのでしょうか。
とりあえず現在の状況を把握しなくてはとお父様に疑問を問いかけようとしました。
「・・・?」
が、『お父様?』と口を開いたのに声が出ません。
もう一度声を出そうとしますがやはりでません。
「アリア?どうかしたの?」
私の様子に気が付いたお母様が声をかけお父様も気づいたようですが、どんなに頑張っても声が出ません。
お医者様が私の喉の具合を見た後に
「お嬢様は肩を怪我されたのを覚えてますか?」
と尋ねられたので、血は出ていなかったはずですが、確かに肩は異様に熱く動きも鈍かったのを覚えているので頷きます。
怪我の状態を確認したいという事でしたので私が了承するとサラが肩だけが見えるようにしてくれました。
その怪我をお医者様でだけでなく神官様も見ていることに気付きました。
お父様は無表情で神官様を見ていましたが、神官様が首を振ると少しだけ険しい顔になりました。
自分の事なのによくわからない展開に私は戸惑います。
「アリア、まだ熱があるようだからもうしばらく寝ていなさい。
しばらくはゆっくり静養するのですよ」
お母様が強引に私をベッドに押し込みます。
お母様は私がお転婆であることを常に嘆いていたので今回の件では怒られると思ったのですが、その気配が全くないことに私は不思議に思います。
「ああ。しばらくはゆっくり休むといい」
お父様はそう言うと部屋を出ていき、私とサラだけになりました。
「お嬢様、奥様の言う通りですよ。
熱はまだありますし、ゆっくり休んでください」
サラの言葉に私は頷き、目を閉じる事にしました。
本当は考えることがたくさんあるのですが、頭はボーッとしたままだし睡魔は襲ってくるという状態なので考えることは後回しにしたのです。
どれくらい眠っていたのか目が覚めると外は暗くなりはじめていました。
「姉上、具合は如何ですか?」
声の方を向くと弟のクリストフがベッドの側で座っていました。
サラがその隣で濡れタオルを変えてくれています。
クリスは私の1つ下で学院にいるはずなのに何故ここにいるんでしょう。
私の考えがわかったのかクリスは苦笑します。
「父上は何も言ってないのですか?」
「お嬢様は旦那さまから状況は何も聞いておりません」
「そっか・・・。じゃあ、姉上が倒れた後の学院の状況だけ教えるね」
そういうと弟は簡単にあの後の出来事を教えてくれました。
不審者には結局逃げられてしまった事。
窓から外に出てその後は姿は目撃されていない事。
どうやって侵入したのかもわかっていないという事。
学校は翌日からしばらく休校となり、全員自宅に一度帰宅してる事。
怪我人は私だけと言うか表向きはなしになっている事。
何故なら私の見た目は肩口の服が切れてる以外は外見上怪我はなく血も流れていなかったので、私が倒れたのは咄嗟の出来事で驚いたからという事になったそうです。
クリスは学園の事を話し終える頃、サラが食事をもってきてくれました。
クリスと2人の食事が終わると私は再び、睡魔に襲われました。
聞きたいことはまだあるので寝てはいられないと思うのですが、クリスとサラにベッドに押し込まれてしまいました。
あえて肝心なことは話してくれない気がすると思いながら私はまたしても眠りについてしまいました。