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21.沙希とアンの計画

行進遅くなりましてすみません。

本編25話で完結となります。

25話まで0時と12時の1日2回更新でいきます

最後までよろしくお願いします


11/6:誤字修正

沙希と話してから今後の為に今は眠っておきなさいと言われ無理やり寝かされることになった私ですが、全く眠くないし逆らうと怒られるので寝たふりをしつつ辺りの様子を窺う事にしました。


様子を窺っていると沙希は”大丈夫。うまく行く時間はある。まだもつ”等時たま呟いてはボーッと上空を見つめています。

上空を見ている時は外の様子をみているのだと教えてもらいましたが、アンとは共に見ていたと言っていたのに私には見せてくれません。

理由を尋ねれば今の状況はアリアが知らなくていいことだからと納得のいかない答えでした。


私は沙希が私の体から出るのは1人になるのが嫌だからだと思っていたのですが、それは間違いだったのではないかと考え始めました。

そして寝たふりをして考えているうちに私は肝心なことを聞いていないことを思い出しましたのです。


「私の呪矢の呪って解けたのでしょうか」

「その為に今頑張ってるよ」

「え?」

「あっ」


ボソッと口にした疑問にうっかり答えてしまったと沙希は口元を抑えながらこちらに視線を向けました。

私は寝たふりをやめて先の側に向かいます。


「説明をお願いできますよね?」

「うっ・・・」

「寝たふりをしながら考えてたことがあります。

 どうして初対面の私に力を貸してくれるのですか?」


何故2人が私に体を返そうとしてるのか疑問に思ったことを沙希に尋ねると困った顔でこちらを見るばかりです。

初対面のはずの私に2人が助けようとする理由がわからないと伝えれば沙希は溜息をつき理由を話してくれました。


「うぅぅぅ。できれば黙ったままでいたかったんだけどなぁ。仕方ないよね。

 実を言うとまだ呪は完全に解けていないの。

 あの呪はアリアの意識を消してアンを生かす為の呪。

 でも貴女の意識はまだあるから意識を消す呪は消えていない。

 そしてアンは貴女の体を完全には支配していない。

 だから生かす呪も完全には消えてはいない。

 私とアンはナイが全てに決着をつけたら、

 この体をアンが完全に乗っ取り、アリアの代わりに私が消える。

 そしてアンは自分の意思でこの体を出て貴女に返す計画をたてたの」

「なっ。どうして・・・」

「アンはね、人として普通に生活することにずっと憧れていたんだって。

 アンは自分が人としての知識を受け継いでもそういう生き方はできなかったから。

 だからアリアの目を通して体験できたこととても喜んでたんだよ。

 本音を言うとずっとこの体の中で過ごしたかったって言ってた。

 私はね、言われるままに生きている事に疲れてたんだ。

 周りに嫌われないように周りに合わせてただ生きていた。

 事故で自分の人生が終わった時は安心したんだ。

 だから新しい人生を迎えるのはすごく嫌だった。

 貴女の中に入れば私はもう新しい人生を歩まなくても済むんじゃないかと思った。

 私は私の為に貴女に力を貸しただけ。

 最初は貴女の人生に興味なかったからアンと共にずっと寝てた。

 アンは途中から貴女の目を通して外の様子を見ていたわ。

 それを私にも無理やり見せるようになって、仕方ないから私も見てたの。

 貴女はどんなときも元気に動き回っていて、いつも笑顔だった。

 正直私には理解できなかったんだけど途中で気付いたの。

 貴女は嫌なことがあってもいつも笑顔のままだった。

 誰もいないところでは毒づいても人前では笑顔で武装してたでしょ?」


沙希の言葉に私は思わず固まります。

今更ですが、私の中にいたという事は私の考えていることは筒抜けだったという事ですよね。

恥ずかしすぎです。

そんな様子の私に沙希は苦笑しながら話を続けます。


「どんな時も一生懸命な貴女が私達は好きだった。

 生きるのが面倒と思った私がまた次の人生を歩んでもいいかもって思うくらいに。

 だからこそ貴女には幸せな人生を送ってほしかったの。

 7歳のあの事件はほんと後悔してる。

 でもあの事件がなくてもアリアは同じことをしてたかもしれないと私は思う。

 だってレイヴィンをずっとみてたでしょ?

 それにヴィーゼはシュテルンを守る一族だもの。

 貴女はきっと同じ行動をしていたはず」


私の顔は赤くなります。

自分では気づいてなかったのですが私はそんなにレイヴィン様を見ていたのでしょうか。

そんなつもりは全くなかったのですが・・・。


「貴女達から見て私はそんなにレイヴィン様をみていましたか」

「ええ。必ず視線が向いてたわ。

 まー、その気持ちが恋なのか友情なのかは自分で考えなさいな」

「恋!?そ、それは絶対にありえません!!

 レイヴィン様は兄のような人です!!恋とか絶対にないです!!」


慌てていう私に可笑しそうに笑いながら沙希は言葉を続けます。


「恋じゃないって言うならそれでもいいけどねぇ。

 まぁ、貴女にこの体を返すことは私とアンからのお礼の気持ちなのよ」

「じゃあ、”大丈夫。うまく行く時間はある。まだもつ”って呟いていたのは?」

「聞いてたのかぁ・・・。

 アンは貴女の体に負担をかけないように本来の力を使わずにいるのよ。

 私はアンの影響が貴女に届かないようにくるんでる感じなの。

 だけど私は術者じゃないし、どこまで持つか自信ないのよ。

 でも外の様子をみるともうすぐ決着がつくわ」

「本来の力?」

「アンが言うには2人には劣るけど闇の力も使えるんだって。

 でもそれを使うと体に負担がかかるし貴女に体を返せなくなる可能性も出てくる。

 だから負担をかけないように力を使わずに決着をつけるみたい」


そういうと沙希は上空に視線を向けた。


「うん。そろそろラストだよ。 貴女にも外の状況みせてあげる」


沙希の言葉と同時に小さな部屋に黒服の男とその男に捕まっている女性、離れた位置に私の姿と侯爵とマリノスさんの姿が見えます。

男と女性は何やら言い争ってい、女性は苦しそうな顔で男を睨みつけています。


「ところで貴女はどうしてこんなことできるのですか?」

「アンに教えてもらった。慣れるまでは時間かかったけどね。

 ここではイメージしたことがそのまま形になるみたいなんだよね。

 詳しい仕組みは私もわかんない」


画面を見つめがら沙希は簡単そうに答えるけど、私にはそんなに簡単にできるようには思えなかったので、沙希は実は魔法使いなんじゃないかと思わず聞いてしまいました。

沙希はびっくりした顔で普通の女の子だと頬を膨らませながら主張しだしました。。

普通の女の子と言うのは無理があるのではないかと考えていると沙希の表情から笑顔が消えていきました。


「計画通りならこれでキラの力をとりこんでその後はアンの番だよ」

「1つ確認してもいいですか?貴女はそれで本当にいいの?

 私の身代わりって言ってたけどもそれって死んでしまうってことでしょ?」

「うーん。もともと死んでるからねぇ。今の状態が特殊なんだし。

 私にとっては問題ないよ?」

「で、でも!!」

「あーもう。気にしない気にしない。これは私が決めた道だもん。後悔してないよ?

 むしろ気にしすぎて幸せを逃がしたら恨んで出ていくよ」


どこまでも笑顔で言う沙希に私はごめんなさいと言おうとしてやめました。

覚えてはいない事ですが、”生きたい”と願った私に協力してくれたのならばここは謝罪ではなく感謝の気持ちが正しいはずです。


「ありがとうございます。沙希」


私の言葉に沙希は一瞬驚きながらも笑顔で頷きました。


「どういたしまして!!さぁ、最後に備えましょう・・・・って。

 ええ!!どうなってるの?!」


沙希の言葉に外の状況を見ると部屋にもう1人黒服の男とその男に押さえつけられているレイヴィン様が現れたのです。

そして、女性をおさえつけていた男が片膝をついて顔を歪めていました。


「何故レイヴィン様が・・・」


あまりの展開に私達は言葉もなく見つめていました。


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