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02.運命の日

この回も短編を追加変更した内容です。


11/6:誤字修正

オスクリタ国では15歳になる年から18歳になる迄の4年間、貴族達は王立学院に通う義務があり、平民の子も試験に受かれば入学が許可されます。

全員寮生活でそれぞれの将来に見合った専門授業となり、好きな授業を選択できます。

男性は武術や馬術は必須、女性はマナーと裁縫が必須です。

オスクリタ国は女性でも騎士になれるので、女性で武術馬術を取る人も多いです。

ちなみに私は武術や馬術よりも淑女としてのマナーを学んできなさいといわれ、マナー・裁縫・ダンス・音楽等をメインに学んでいます。

全て私の苦手分野なので毎日が大変です。


学院生活1年目は平穏に終わり2年目を迎えた頃、レイヴィン様のいる最終学年に今まで体が弱くて学院に通えなかったという男爵令嬢のカミーラ様が転入されてから、学院はおかしな雰囲気になってきました。

第一王子のヴィルフリート殿下や王立騎士団長の息子のマルス公爵のアルベルト様やレイヴィン様の弟君のセドリック様、王宮薬師の息子のユピター伯爵のコンラート様達は常にカミーラ様の側にいるようになりましたし、最終学年の生徒を中心にカミーラ様に好意を寄せています。

学院の生徒会の方達の大半が取り巻きになってしまい、学院は今レイヴィン様と3年生のスティール侯爵家のイリヤ様のお2人がメインで何とか動いている状態で物語通りの展開になりました。

当然2人では手が回らないので、通常は行事の際に動くお手伝いメンバーが自主的に手伝ってなんとか出来ている状態です。

私は本来はお手伝いメンバーでもないのですが、イリヤ様の妹で私の大親友ソフィア様に頼まれて臨時のお手伝いメンバーになりました。

レイヴィン様の側にさり気無くいられるのでとてもありがたいです。

やはり持つべきものは友ですよね!!


今も頼まれた書類を提出し生徒会室に戻るところで、私はレイヴィン様につめよる王子達の姿を目撃してしまい驚いて様子を窺い中です。

あの事件が起こるのは真夏の暑い日のはずで今はまだ春が終わりを告げようとしてる時期なので、まだ先のはずです。

それでも今、目の前にはヴィルフリート殿下、アルベルト様、セドリック様、コンラート様、殿下の婚約者候補のサテライト公爵令嬢のエミリア様とカミーラ様がレイヴィン様と対峙しています。

時期は違いますが物語通りの展開です。

どういうことなのでしょうか・・・・。


物語のカミーラ様は第一王子達を良いように操り、国を乗っ取ってしまいます。

レイヴィン様が追い詰められたのもカミーラ様が原因でした。

ここまで覚えていながら私はこの春になるまでカミーラ様の対策を全く考えていなかったのです。

ずっとレイヴィン様に笑っていて欲しくて遠くから眺めてたまに話しかけてピンチの時にはかけつけようと単純に考えていたのです。

なので、原因をどうにかして助けるという考えが全く浮かばなかったのです。

猪突猛進とはまさに私のことかと思います・・・。

我ながら10年近く何をしていたのかと涙が出ますよ。


正直言うと私はカミーラ様に近づくのは苦手です。

物語を知ってるからと言う訳ではなく、カミーラ様の声を聞いているとカミーラ様の言うことが正しいと言う気になる上に、独特な香りがして息苦しくなり本能的に彼女から逃げ出したくなるのです。

香りについては他の方に聞いても感じないと言うので私だけなのでしょうか。

結構きつい香りと思うのですが、何故他の人はきにならないのか不思議です。

なので色々な意味であまり側にはいきたくない方です。


静かに近寄り声に耳を傾けると予想通りというべきかレイヴィン様を責める言葉ばかりです。

そしてレイヴィン様が一歩下がり、窓の方に近寄るのが見えました。

その動きを見た私は考えることなく体が動きました。


「レイヴィン様!!」


私はさり気無くリヴィン様の腕をギュッとひっぱるようにしてレイヴィン様の隣に立ち、そして今気づきましたとばかり慌てて殿下に挨拶をします。


「無礼を申し訳ありません。

 ごきげんよう、ヴィルフリート殿下」


普段だったら不敬罪と言われかねない行動ですが、ここは学院で身分は関係なしといわれています。

急だったのでこんな方法しか思いつかなっかのです。

ここは強引にでもレイヴィン様を連れ去って後の事は後で考えましょう。


「ヴィーゼ男爵令嬢は相変わらずのようだな。

 カミーラのような淑女になるように頑張ることだな」

「努力致します」


不機嫌な顔の殿下に笑顔で答えますが、本音は”お断りします”と答えたかったです。

強引に入ったものの殿下達の顔は非常に冷たいのに対し、カミーラ様は何故か不思議な微笑みを浮かべ口を開きかけましたが、ここは速攻で逃げるべしと私は更に笑顔をつくります。


「お話中のところ申し訳ありませんが、

 イリヤ様がレイヴィン様をお探ししておりました。

 殿下申し訳ありませんが、レイヴィン様をお借り致します」


一気に言い、お辞儀をするとレイヴィン様の腕を掴み強引に立ち去ることに成功です。

去り際に呆気にとられてる殿下達の顔が見れましたが、今はそれどころではありません。

ひたすら歩き、階段を1階分降りたところで、レイヴィン様が逆に私の腕を掴み、歩みをとめました。

レイヴィン様を見上げると困ったような顔です。

これは何と言い訳をするべきなのでしょう。


「アリア。なぜ嘘を?」

「嘘・・・ですか?」

「イリヤには今日は図書室にいると伝えてあるから、用があれば図書室に来るはずだ」

「え、えーと」

「やっぱり、呼んでいないのだね?」

「申し訳ありません」


そういえば今日はレイヴィン様は調べものがあるから用があれば図書室に行くようにとイリヤ様言ってましたね。

言い訳も思いつかず私は慌てて謝罪します。

殿下相手に強引に割って入ってしかも嘘でレイヴィン様をつれだし、不作法もいいところです。

しかもレイヴィン様は飛び降りようではなく一歩下がっただけなので、割って入った理由は私の勝手な想像です。

これは実家だけでなく公爵家にまで迷惑をかけてしまったでしょうか・・・。

非常にまずいと考えているとポンッと頭に手がのり優しくなでてくれます。

恐る恐る見上げるとレイヴィン様は優しい笑顔をしています。

珍しい顔に私が呆けた時、視界の端に何かが光るのが見えました。

何だろうと見るとレイヴィン様の後方に黒ずくめの男が矢を構えているではないですか。

一難去ってまた一難というかこの展開はどういう事になるのでしょう。

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