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11.遭遇

11/6:誤字修正

ルーチェ国に来てもうすぐ一週間になります。

今日は教会で催し物があるので肩の治療はお休みです。

レイヴィン様とルーカス様は今日も調査で外出し、ディートフリート殿下は学校に行き、珍しくレオ様がリゲルとサラと共に出かけてしまったので私は1人お屋敷で本を読んでいます。


ここにきてから教会に通う日々ですが、肩を見てもらっても結果を教えてもらえずにいる日々を過ごしています。

自分の事なのにどうして私に何も教えてくれないのか聞いてみようとは思うのですが、リゲルやサラが今まで以上に過保護になっているので聞いたら何か悪いことが起こるのじゃないかと想像してしまい、怖くて聞けなくなってしまう情けない私なのです。

レイヴィン様とルーカス様は何やら忙しく出かけているようで、同じ屋敷にいるのに滅多に会いません。

ディートフリート殿下はこちらの学校に通っていて忙しいはずなのに教会にほぼ毎日顔をだしていますが、私と直接会う事はほとんどありません。

聞くところによると私達が来る前から殿下は教会に通っていたそうです。

何しに来ているのか聞くわけにもいかないのでこちらもあえて聞かずにいる状態です。


考える事は色々あるのですが、何から考えればいいのかわからずにいて読書していてもページが先に進みません。

屋敷からは出るなと言われてますが、気晴らしに庭でも散策しようと部屋を出ました。


庭には季節の綺麗な花々が植えられています。

やはり国が変われば花もかなり変わり、見たことのない綺麗な花が多いので植物図鑑をみながら花を見つめているとメイドさんが教会のラウラさんが来たと知らせにきました。

今日は教会が忙しいからと聞いていたのですが、急用かしらと思いながら花壇がよく見えるテラスで会う事にします。


ラウラ様は何か言おうとしてはやめる仕草を繰り返してましたが、お茶を一口飲むと意を決したように私をみつめました。


「アリア様。手を握ってもらってもよろしいでしょうか?

 私も握った相手となら意思の疎通ができますの」


私は納得してラウラ様の手を握りました。

光の宝玉では相手に言葉を伝えることができるらしく、治療中もよく手を繋いで会話をしています。

治療中はエルマ様だけとでしたので、ラウラ様とは初めてです。

他愛のない話をしばらくしてると、ラウラ様は思い出したように言いました。


『ディック様に裏庭に珍しい薬草が植えてあるとお聞きしたことがありますの。

 見せてもらってもいいかしら?』


ディックと言う名はディートフリート殿下のこちらでの名です。

この庭は私の庭ではありませんが、散策の許可はもらっていますし、メイドさんに告げて私達は裏庭へと向かいました。

裏庭には色々な珍しい薬草があります。

自国では見られない薬草もあるので後で殿下にお願いしてもらえないか交渉してみようかなと考えていると、ラウラ様は今までとうって変わって真剣な眼差しで私の手を握ってきました。


『単刀直入にお聞きします』


ラウラ様の真剣な顔に私は背筋を伸ばします。


『何故、いつもヘラヘラと笑顔でいらっしゃるのですか?』

『え?』


ヘラヘラ?私はそんなにしまりのない顔をしてたのでしょうか。

ラウラ様は私の手を引き、裏庭の奥の方へ歩きながら言葉を続けます。


『貴女が何故治療に来てるのかはわかってますよね?

 死の刻印を解除するためで、私達は毎日頑張っています。

 それなのに貴女はいつもヘラヘラしててイライラします。

 ディック様だって以前は普通に宝玉の勉強に来てたのに今では貴女の為です。

 他人に迷惑ばかりかけて楽しいですか?

 それとも死の刻印で何時死ぬかわからないから我儘してもいいと思ってるのですか?

 振り回されるこちらはいい迷惑なんです。

 こちらの事も考えて行動してもらえませんか』


ラウラ様に手を引かれながら今言われたことを反芻しました。

死の刻印・・・。

大昔の呪矢の1つで刻印を受けた者には必ず死が訪れると言われている呪です。

私の肩に肩にその刻印があるというのでしょうか。

そう考えているとラウラ様は突然止まり、私はラウラ様にぶつかりますが、ラウラ様はピクリともしません。


そしてラウラ様の前には黒服の男が立っています。


「やあ。お嬢さんお久しぶり」


その男の格好は先日学院で見かけた不審者と同じです。

何故こんなところにと思って距離を取ろうとしますが、片手を握られていて少ししか距離が取れません。

男はラウラ様に近づくと耳元で囁きました。


「ご協力ありがとう」


その言葉でラウラ様は糸が切れた人形のようにその場に倒れました。

私は慌ててラウラ様に近寄ろうとしましたが、男に捕まってしまいました。

暴れますが力が強くてびくともしません。

そして男は私の肩のあたりの服を引っ張り刻印をみつめます。


「おっどろいた。君って強情なんだね。刻印がほとんど機能してないよ?

 でも、今の彼女の話には動揺したのかな?

 すこし刻印の効力が強まってきてる。

 やっと見つけたと思ったのにここまでしぶといのは計算外だった」


見付けた?男が何を言ってるのかわからないけども大ピンチなのは間違いありません。

どうにか腕をほどこうと思いますが、びくともしません。


「ちょっとおとなしくしてもらえるかな?【動くな】」


その言葉に私は指一本動けなくなってしまいました。

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