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10.楽しい日々

今回はディートフリート殿下視点です。


10/31:誤字修正

国から来た客人を迎えてそろそろ5日が経つ。

レオからアリア嬢の話を聞くがこれと言って変化はないとのことだった。

僕がルーチェに来たのは留学と言う名目での調査だ。

この屋敷からルーチェ国の学校に通っているが、王子と言う立場を隠しての留学なので気安く声をかけられて楽しい日々を送っている。


僕は王家の特権で宝玉を使った移動の許可を得ている。

学校にはさすがに馬車で行くが、教会に行くのに宝玉を使って移動してるのでそれを知らないアリア嬢はいつも驚いた顔をしている。

アリア嬢は常に笑顔だが、驚くときの表情は本当に驚いたという顔をするので笑いそうになってしまう。


そして今回の留学にはルーカスが護衛と言う名のもとに調査でついてきている。

今は後から来たシュテルン公爵家のレイヴィンと共に日々調査をしているが、進展はなかなかないようだ。

彼らの行動範囲は限られてしまうので、僕は学校でさり気無く情報をあつめている。

隣国の下位貴族の息子と言う立場なので誰もが気軽に噂話を教えてくれる。

その中で気になった噂を聞いたので帰宅してから2人に報告をした。


「やぁ。2人とも今いいかい?」

「おや、殿下。いかがいたしましたか?」

「学校でね妙な噂を聞いたんだ。迷いの森って知ってる?」

「あー確か我々が訪れてる屋敷の奥にありましたねぇ」

「その森は名前の通りうっかり入ると出られなくなるから

 必ず入るときには縄を付けて道しるべ通りに進むんだって。

 最近、森に入った人がいつも通りに入ったら今までなかったはずの家があって、

 そこに黒装束の男が立っていたんだって。

 しかも最近はよく見かけるらしいけどいつも場所が違ってるらしいよ。

 怪しいと思わない?」

「何故、迷うのにわざわざ行くのでしょうか?」

「迷いの森は貴重な薬草がたくさん撮れる場所なんだって」

「なるほど薬草ですか」


レイヴィンが何かに思い当たったように顔をするので僕は驚いた。

何時みても無表情だった彼がこの屋敷に来てからはかすかだが表情が変わるのだ。


「黒装束の男ねぇ。

 一度調査してみたいですが、どうでしょうかねぇ」

「まずはリゲルとジークに調べさせてみましょうか」

「それがいいねぇ。殿下よろしいですか?」

「いいよー。僕にも結果教えてね」


僕がそういった時、レオから話があると連絡をうけここで話をすることにした。


「何か進展あったの?」

「アリア様の呪は死の刻印ともう1つ何かしらの刻印が交わったもの。

 そうルーチェの神官長が判断いたしました。

 もう1つの呪が何の呪なのかわからない上に力が強いので、

 弱める事は出来ても消すのは至難の業とのことです」


レオの言葉にルーカスの表情は変わらないが、レイヴィンは険しい顔つきをしている。

本当にレイヴィンは変わったなと思いながらレオの話を聞く。


「一番いいのはかけた本人が解くことですが・・・」

「かけた本人がわからないからそれも厳しいってことだね」

「それとこれはまだ確定ではないのですが・・・。

 もしかするとこの呪は新しい呪の可能性があります。

 そして新しい呪は・・・」

「初代の魔女しか作れない」


レオの言葉をレイヴィンが続けその言葉にレオが頷いた。


「魔女って復活するものなの?」

「それはわかりかねます」

「どちらにしろ今回の件は早々に決着つけないとだねぇ。

 あーそうだ。レヴィ、さっきの調査の件だけどさ。

 レオにも手伝ってもらうのはどう?」

「レオ殿にかなり負担がかかると思うのですが・・・」

「でもさ。現れる場所が違ったりするならレオがいたほうがいいと思うわけよ」


ルーカスとレイヴィンの話に首を傾げるレオに僕は簡単に説明をした。


「迷いの森の話は聞いたことあります。ぜひ私もお供させてください」

「珍しくやる気だねぇ?」


珍しく積極的な答えをするレオにルーカスは笑いながら言う。

レオは失態だと思ったのか慌てだした。


「あ、すみません。

 迷いの森には不思議な薬草やら特殊な薬石があると聞いた事があるので」


教会の人は薬学にも詳しいと聞いた事があるけど、そんなに飛びつく程魅力的なのかなと僕は思いながら話を聞いていた。


「なるほどねぇ。

 ますますその森が怪しいねぇ。レオならその森を迷う事はないのかい?」

「初めてなので絶対とはいいきれませんが・・・」

「わかった。殿下、できるだけ早く迷いの森への調査許可お願いできます?」

「まかせてよ。決まったらその日は教会には行かない旨も伝えておくねー。

 じゃあ、早速手配してくる」


僕は部屋を後にしてルーチェ国側に許可を取る手配をはじめる。

自国にいるときは剣の修行しか興味がなかったけど、今は気軽に話せる友達もいて楽しい日々を過ごしている。

王子としては問題発言だと思うけど、トラブルを解決するのに駆け巡るのも楽しいとこんなこと言ったら兄に殴られそうだ。


自国にいるより他国で新しいことを知るのは楽しいから留学が戻ったら外交の仕事をしてみたいと父上にお願いしてみようかなと考える。

でもそのためには今回のトラブルを解決しないと先には進めないかな。


王子と言う立場ではあるけども自分がやってみたい仕事をやり遂げる為にもまずは今を頑張ろう。


僕は初めて生まれたやりたいことが叶う事を願わずにはいられない。

どうか誰もが平穏に暮らせる日々が続きますように。



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