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合宿当日。


わたしたち落葉中学バスケ部は長野までバスで向かいました。


わたしはバスの中でも相変わらず一人だったけど、これから仲良くなれると思ったら、全然苦じゃない。



体育館での練習。


「わぁ、広いね」


近くに居た人に思わず言ってしまった。もちろん無視されちゃったけど…

あっ…隣に居たのえりちゃんだったんだ。


フットワークから始めて、パス練習になった。


「誰が明坂とペアやんの?」


…小声の話し声が聞こえる。みんな困ってる。わたしが一人余っちゃったから、困ってる。


「わ、わたし見学します」


「んじゃ、みんな!やろ!」


部長の一言で部員たちが動き出す。

よかった。みんなを困らせずに済んだ。でもパスの練習したかったな。

…わがままはダメだ。みんなと仲良くなりたいし。


一日目の練習が無事に終わり、宿舎に帰った。

部屋は四人部屋でベットが二つ、布団が二枚。


「じゃあ、三人でベット使おっか」


え?わたしは?わたしはどうすればいいの?

…あぁ、布団があった。わたしはこれで十分だもんね?


わたしは、顔を布団で覆う。三人の話し声が聞こえる。あ、おやすみって言うの忘れちゃった。明日は、おはようって言おう。



次の日、結局わたしは、おはようも言えず、ただひたすら山を登っていた。周りのみんなは「大丈夫?」って声を掛け合ってる。わたしもいつかできたらなあ。


「きゃあ!」


えりちゃん?!えりちゃんが転んじゃった。


「大じょーー」


「えり!大丈夫?!」


「大丈夫だよ」


わたしなんかが大丈夫って言える訳ないよね。

あっ…えりちゃん怪我してる。


「これ…よかったら使って」


恐る恐る絆創膏を渡してみる。


「え?あ、ありがとう」


ありがとうって言ってもらえた。えりちゃんと久しぶりに話せた。嬉しいな。


「いらないのに…」


えりちゃんの小さな小さな呟きが、わたしには聞こえてしまった。

わたしがえりちゃんとの絆をもう一度、繋げることができたと思った絆創膏は無惨に捨てられた。


やっぱり無理だよ…

わたしなんかが仲良くなんてなれないよ…


目に涙が溜まるのがわかる。


「あいつ半泣きだよ。えり、やりすぎたんじゃね?」


「そんなことないよ」


「ま、だよね」


わたしを嘲笑う声が聞こえる。わたしって意外と地獄耳なんだな…


仲良くなれると思ってここまで来たのに…

わたしには無理なのかな…?


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