二
最近のわたしは部活内でうまくいっていない。
わたしは皆より体力も技力もなかった。
だからだろうか。部活の時にわたしは常に独り。
わたしがとくに何をした訳でも、皆にとくに何かされた訳でもない。
トレーニングの時に、わたしが走っているときだけ応援してもらえなかったり、置いてけぼりにされたりしてきた。
無視は当たり前だった。
わたしは自分の存在価値を失いつつ、あった。
言ってみれば、いじめになるかもしれない。けれど考えを変えれば、わたしの被害妄想だと、思えるかもしれない。わたしの精神力がないから、って思えるかもしれない。
そんなわたしの唯一の励みは、えりちゃんと話せること、笠町君のプレーを観てることだった。
部活が終わり、今日も、えりちゃんと帰ろうと思っていたら階段でえりちゃんを見つけた。
「えりちゃ……」
「えりはさあ、あいつのことどう思ってんの?」
えりちゃんは、わたし以外の一年のバスケ部員と一緒だった。
「あいつって…?」
「千里だよ、千里」
「えりはうちらと友達だもんね?」
「…う、うん」
「じゃあ、千里とは…?」
「…あ、あんな子、友達じゃないよ」
……う、うそだよね…?
「ホントに?」
「うん、ほんとだよ」
…………う、そ……えりちゃん…?
「そうだよな!行こ!えり!」
わたしはその場から立ち上がれなかった。
わたしは……わたしは、えりちゃんは友達だと思ってた。
…けど、それは違ったんだね……
次の日からえりちゃんとわたしからは、会話がなくなっていた。
目すら合わせてくれなかった。
部活内で、ペアを組むときわたしは、決まってひとり。
「えり、ナイッシュー!」
えりちゃんはわたしとは人種が違った。えりちゃんは皆から好かれる人気者。バスケも一番うまかった。
わたしは、バスケが嫌いになった。
部活も段々サボるようになった。
怖かった。
行ってもひとりぼっち。
シュートが入らないから、先輩に怒られる。優しい先輩で居るのは、どうやらわたし以外の部員にだけのようだ。
逃げてはいけない、そう思った。
だからわたしは久しぶりの部活に行った。
「もうすぐ合宿だから気を引き締めておけよ!」
顧問の先生の大きな声が聴こえる。
その脇で一年生と二年生の会話が聴こえてくる。
「うちら一年、仲良くないんでどうすればいいですか?」
「合宿に行けば皆仲良くなれるよ!うちらがそうだったから」
その一言でわたしは合宿に行く決心をした。