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第2話 第一村人

一体何が起こったんだろう。

少し前の記憶を思い出そうとしてもよく思い出せない。

幸い、体の何処かが痛いなんてことはない。


立ち上がってあたりを見渡してみる。

どうやらここら一体は森林地帯のようだ。

異世界転移みたいなものだろうか。

見える範囲に人はいない。

まあいい、少し歩いてみるか。


異世界から転移されたということは、なにかすごい力をこの身に宿していたりするのだろうか。ものは試しだ。

「いでよ、雷の精霊。私に力を与え給え。雷撃(ライトニング)

シーン...

残念ながら何も起こらなかった。

詠唱のミスかな。

わかんないけどまあいいか。

いずれ魔法も使えるようになるでしょう。

楽観的にいこう!


少し周囲を散策していたら、小さな川を見つけた。

これに沿って歩いていけば村か何かが見つかるかも。

まずは温かいスープか何かが飲みたいな。

それから村人からの歓迎の言葉。

おそらく僕は勇者か何かでこの国には災厄が迫っているとか。

そんなところだろう。

こんなところに転移されたのは謎だけど。

歩きながら周りを見渡しても、目につくのは小動物ぐらいだ。

ウサギみたいなのとかリスみたいなの。

襲ってくる気配はない。


どれぐらい歩いただろうか。30分?1時間?

細かいことはどうでもいいけど結構歩いたな。

少し休憩でもしようか。

一体ここはどこなんだろうか?

まず人に会うのが最優先だ。

食べ物なんかはその人に恵んでもらいつつ、この世界のことについて聞こう。

聞きたいことを考えておかなくちゃな。

色々考えることはあるが...

とりあえず歩きながら考えよう。

日が暮れてしまったら洒落にならないしな。


むむっ!!あのモクモクと天に昇って行くのは。

あれは、煙じゃないか。

やった、人に会える。

うん?でも待てよ。

そもそも言語とかはどうなんだ。

話が通じるのか?もし話が通じなくて殺されたりしたらどうしよう。

まあでも結局会わなかったら野垂れ死ぬだけだし。

取り敢えず会ってみようか。


煙が立ち上るところに近づいていくと、そこには丸太に腰掛けた老人がいた。

フードを被り、横には杖のようなものが立てかけてある。

なにか焼いていたりするのだろうか。

木陰からジーっと観察してみる。

敵意がある感じではなさそうだ。

この周辺で狩りでもしているのだろうか。


おっと、いかんいかん。

早く話しかけて、この世界のことを聞かねば。

僕は勇気を振り絞って話しかけてみる。

「あのー、すいません」

「ここってどこなんでしょうか」


返答はない。

やはり言語は通じないのだろうか。

老人はピクリとも動かない。


未知の世界の住人との初めての対話だ。

緊張で少し声が小さかったかもしれない。

大きな声でもう一度聞いてみる。

「あのー、すいません。ここってどこなんでしょうか」


老人がこっちを見た。

おっ、気づいてもらえたか?

目が合うと、老人はゆっくりと立ち上がり手招きした。


これはちゃんと伝わったってことでいいんだよな?

恐る恐る近づいていくとフードの中の柔和な笑顔が見えた。

なんか優しそうな人じゃないか。

僕はそのまま老人と隣り合って座った。


「あんたは一体どこから来たんじゃ?」

「気づいたら森の中で、歩き回っていたら偶然見かけたもので」

眼の前の老人は戸惑いを隠せないでいる。

それもそうだ。

森の中から急に得体のしれない若者が現れたら嫌でも戸惑うだろう。


「ここは一体どこなのでしょうか?」

先程の質問をもう一度してみる。

「ここはスヴァルト王国北西部に位置する森の中じゃ」

スヴァルト王国...

聞いたことがないな。

黙っておいたほうがいいか。

でも話を聞かなきゃ埒が明かない。

堂々巡りだ。

仕方ない聞いてみるか。


「あのぉ、この世界について何も知らないのですが」

老人は頭を抱えて何やら考え込んでいる様子だ。

なにかまずいことを言ってしまったのだろうか。

「わしも聞いたことがある程度だが、あんたもしかして迷い子かね」

「はぁ」

何だ迷い子って。

知っている感じで聞かれたけども。


「迷い子ってなんですか?」

「辺境の地には、時々現れるらしいのだよ。この世界の知識を何も持たぬ若者が」

どうやら伝承として僕のような異世界からの来訪者が来ることは記されているらしい。

「まぁいい。一度村まで案内しよう。話の続きはそこからだ」

「は、はい」


荷物をまとめ、足早に進む老人の姿を追っていく。

やった、これで今日はなんとかやり過ごせそうだ。


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