ぶどうマンと一億円
俺は、ぶどうマン。山梨のヒーロー。でも、ひもじいヒーローだ。
前回、キングショッカーという1億円の怪人を前に、俺のぶどうバットは無残にも折れてしまった。かろうじて戦闘員を2体倒して得た2000円を握りしめ、俺は武器屋にいた。
「いらっしゃい、ぶどうマン!今日はどうする?」
店主の声が、やけに明るく響く。
『電撃バット 100,000円』
俺は、持っていた2000円をそっとポケットにしまい、清水の舞台から飛び降りるつもりで、電撃バットを指差した。
「電撃バット、お願いします」
店主は、にやりと笑い、俺に電撃バットを手渡した。
その日の夕方、街にけたたましいサイレンが鳴り響いた。
「コジラだ!一億級の怪獣だ!」
俺は、電撃バットを握りしめ、コジラの元へと向かった。電撃バットのおかげで、コジラを相手に、わりかし有利に戦いを進めることができた。しかし、やはり一億級。圧倒的なタフさに、俺の体力は限界に達していた。
「くそっ、もう駄目だ…!」
俺が膝をついたその時、背後から声が聞こえた。
「正義に強いも弱いもない、悪を許さない心があれば…」
スーパーライダーだ。
俺は、彼に恨み言を言いたかった。でも、今はそれどころじゃない。俺は、最後の力を振り絞り、電撃バットを構えた。スーパーライダーも、コジラを相手に苦戦している。
「ぶどうマン!俺の合図で、同時に攻撃だ!」
俺は、彼の言葉を信じ、頷いた。
「今だ!」
スーパーライダーは、渾身の一撃をコジラに放つ。俺もまた、電撃バットを振り下ろす。その瞬間、コジラは怯んだ。
「とどめだ、ぶどうマン!」
俺は、電撃バットの力をコジラにぶつけ、コジラは爆発音と共に、塵となった。
しかし、コジラを倒したスーパーライダーは、その一撃の反動で、瀕死の状態になっていた。
「ぶどうマン、助けてくれ…」
彼の声は、弱々しく響く。俺は、一億円を前に、何もできずに立ち尽くしていた。
「…何をする?」
俺は、彼の言葉に、静かに答えた。
「スーパーライダー、さようなら」
俺は、電撃バットを振り下ろした。スーパーライダーは、驚きと、信じられないものを見たような表情で、俺を見つめていた。
「うわぁ…!」
そして、彼の命は、俺の電撃バットによって、静かに途絶えた。
警察が駆けつけ、証明書をもらう。
『怪獣コジラ 報酬:100,000,000円』
俺は、1億円を手に入れた。
俺は、ヒーローとして、真の悪を倒した。そして、もう一人のヒーローを裏切った。
俺のヒーロー活動は、ここから始まる。