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僕は異世界に転生した。
つまんない現実からファンタジーの世界に変わって、これから面白くなると思ってた。
全然違った。
元の世界と大して変わらない。
結局、面白さって僕自身の心の持ちようかな。
…いやいや、僕が間違ってるわけない。
僕は、チート能力だって持ってるんだ、僕は悪くない。この世界が僕を満足させないのが悪いんだ。
…また近くの山へ魔物退治に行こう、暇つぶしにはなるから…
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「グギャァァァアアアアア!!」
僕はオークの群れを壊滅させた。
…そろそろつまんなくなってきたかな。魔物退治も。
移動するか。
「助けて!!!」
山道を移動中、女の子が僕の方へ走ってきた。女の子をハイゴブリンが追ってきている。
僕は神様にもらった能力「全能」で土魔法を使って弾丸を作り、火魔法で弾き飛ばした。
瞬殺だ、ハイゴブリンは頭から血を流して倒れた。
つまんね。
「はあ…大丈夫かい?」
「ありがとうございます!大丈夫です。お強いんですね!」
僕は女の子をまじまじと見る。
緑の髪に青い目、結構美人。性格も良さそう。
結構好みだな。
「助けてくださって本当にありがとうございます!どうかお礼をさせてください!」
「じゃあ、ナンパさせてもらいますね。お嬢さん、僕とお茶しようよ〜」
「あ、はい。わかりました。」
ということで、僕とお嬢さん(リリスというらしい)は町の喫茶店に来た。
「えっ…ネイムさん、お貴族様なんですか!?これは失礼しました!!多大なる非礼を申し訳ありません!!どうか命だけは!!」
「いや、いいって。僕、心広いんで。」
そう、僕は一応貴族だ。僕はマインド侯爵家の長男、ネイム・フォン・マインド。次期侯爵ではあるけど、親にはかなり自由にさせてもらっている。ありがとう、親!正直こんなに自由じゃなかったら国外逃亡していたかもしれない。本当親ありがとう。
「…ネイムさんって変わってますよね…。」
「ん?わざとだよ。面白いでしょ。」
「そういうことする時点で…いや、なんでもないです。」
「?」
うーん、やっぱり美人だしいい人っぽいな。好みだ。
よし、「全能」で魅了しとこう。やるのとやらないのじゃやったほうが得だ。
「…発動」
「急にどうしたんで…うっ…。」
「リリスさん、僕のこと好き?」
「はい、好きです。」
「どんなところが?」
「背が低いとこ「黙れ。」
やっぱこいつ嫌いだ。魅了解いてもう帰ろう。
婚約者に慰めてもらうから僕は全然怒ってないし悲しくもない。
婚約者はこんなこと言わないしお淑やかだし可愛いし美人だし!
全然怒ってないし悲しくもない。
浮気もしてない。