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第7話 不在

 翌日、多少身構えながら登校した。


 まだルカは登校していないようだった。倉本先生と一緒に来るのかな?


 頬杖ついてボーッとしていると、背後から近づく気配があった。


「青木おはよ。

 席替えで隣美人になって良かったねぇ。どう?仲良くなれそうなの?」


 声をかけて来たのは、中学からの腐れ縁の藤野由香里ふじのゆかりだ。

 ニヤニヤしながら、肘で突いてくるのを片手でそっと抑える。


「いや、まだあんまり喋ってないし。よく分からん」

 

 中学時代は3年間一緒のクラスで去年は違ったものの、また同じクラスになったことで、たまに話をするようになった。


 セミロングの髪を一房ずつ耳の上で縛っている。

 人懐っこい性格から男女問わず人気がある。

 カレシ募集と常日頃から言ってる割に、誰かと付き合ってると言う話は出ない。

 この間も告白されたみたいな話を聞いたが、振ったらしい。

 イケメンサッカー部の主将を振るとは豪鬼なやつだ。もったいな。


「蒼介もモテるのに奥手だよな」


 白石雪人しらいしゆきとが眠そうに欠伸しながら近づいて来た。

 去年も同じクラスで、高校に入ってからの友人だ。

 頭は良いのに、授業中はいつも寝てるせいで成績はそこまで良くない。


「俺はアレだよ。そんな言うほどモテねーよ、雪人の方がモテるだろ……続かないけど」


 そう、雪人は顔が良いから女は寄ってくるが、面倒くさがりでカノジョの誕生日は覚えられずにスルーするし、学校はなんとかあまり遅刻せずに来れているが、デートは平気で遅刻とドタキャンを多発させるために直ぐに振られるのだ。


 蒼介は女子に告白された事は一応何度かあるが、瑠璃のことが頭にチラついて迷った挙句に断ってしまうのだ。

 何故か瑠璃と同じような雰囲気の女子にばかり告白されるのも原因の一つだ。

 もっと別のタイプの子に声をかけて欲しい。

 それにモテると言うほどの回数では無いと思う。


「でも、凄い美人で他のクラスでも話題みたいよ。それにあの髪と目の色凄いよね。

 外国人の血が入ってるって言っても、珍しいんじゃ無い?

 顔は日本人って感じだよね。

 日本語はちょっと苦手みたいだし、緊張してるのか辿々しい感じだけど、男子って、そういう子守ってあげたいとかなるんじゃ無いの?

 蒼介はああ言うタイプ好きだったりしないの?」


 こいつこんなに恋バナ好きだったのか……


「まあ、顔は良いとは思うけど、ちょっと苦手なタイプかな。

 俺は元気な方が良い」


「……ふーん」


 由香里は思案げな顔をする。


「藤野、良かったな……ぐっ」


 ニヤリと笑って由香里の顔を見た雪人は鳩尾にアッパーを喰らって体をくの字に曲げる。

 急な暴力の意味は分からないが、


「お前ら仲良いな」


「違うから!」「そうでも無い……」


 二人揃って否定してくる。

 やっぱり仲良いじゃ無いか。


 その後、倉本先生がホームルームに現れた。

 しかし、ルカはその日登校してくる事は無かった。


 瑠花を一目見ようと他所のクラスや学年の男子生徒が廊下を彷徨いていたが、それも昼過ぎには疎になった。


 蒼介もルカの不在は気になったが、そのまま帰宅した。

 


 

 

 

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