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第4話 お手伝い

 そして、いくつか質疑応答を経てから解散の流れとなった。

 要らんのに後藤室長達は校門まで送って行ってくれると言う。

 何にせよ後藤室長達も玄関の方向へ行くようなので、途中まで行き先一緒だから、断っても意味は無い。


 後藤室長と椎木主任が黒塗りの車に乗った。

 倉本先生は何故か残り、蒼介の方を見る。


「この後暇か?」


「いえ、あの……」


 暇だけど、これ以上の厄介ごとに巻き込まれたく無い……。


「塾とか通って無いもんな。ちょうど良いから着いてこい」


 さっさと歩き出す倉本先生に、ルカがテクテク着いて行く。

 仕方ないので着いて行くと、職員用の駐車場だ。

 丸っこい赤い車に連れて行かれる。

 クールな割に車の趣味は可愛いな……。


 後部座席に乗り込むと車は発信した。何処ぞへ連れて行かれる。


「どこ行くんですか?」


 倉本先生に聞いてみる。

 隣に座るルカは行儀良く背筋を伸ばして、外を熱心に見ているので表情は分からない。

 窓が開けられているので、長い銀髪を風が優しく持ち上げて、蒼介の目の前でキラキラ陽光を反射している。

 陽光を反射し七色の光の粒がキューティクルの上で髪の一筋一筋の動きに合わせて弾ける。

 人外の、宇宙の美だ。

 

 「ああ、私と星名の住まいだ。色々忙しくて引越しの片付けが全く終わってないから、男手が必要なんだ」


「え?家に行くんですか!?と言うか同棲してるんですか!?」


「仕方ないだろう。彼女は世間知らずだし、両親も死んでるんだ。

 地球上での保護者役をしてるんだ」


 車で10分ちょっとも走らせたろうか。

 閑静な住宅街の外れに、少し古そうな木造の一軒家だ。

 庭が広いが何もなく、雑草がちょびちょび生えている。


「ここだ。頼むぞ」


 なし崩し的に片付けせざるを得ない感じになってる。

 どうにも蒼介は流されやすい。

 

 なんと、通された和室は段ボールだらけだった。


「えっと、これどうすれば……」


 蒼介だって引越しは人生で一回きりしかした事が無い。しかも人様の持ち物触るとか気が引ける。


 そんな蒼介は無視して、倉本先生はパカパカ段ボールを開けて行く。


「よし、コイツは二階の奥の部屋に持っていけ」


 上部が開けられて服がたっぷり入ったのが見える段ボールを持たされる。


 さっき階段はちらっと見たので、そちらに歩き出すと、


「おい待て、男なら2つ持ってけ」


 理不尽な扱いに耐えつつ、階段を上る。

 背後に気配。


「えーっと、星名さんも荷物を持つと良いと思うよ」


 手ぶらで蒼介に着いてくるルカに声を掛ける

 正直、仇と言うより未知の存在に対する恐怖心の方が少し上だ。

 ここに瑠璃を食べた奴が、自分の無防備すぎる背中を追ってきている。

 両手は段ボールで塞がってて大ピンチ。


「荷物とは何?」


「えっとね……」


 階段の途中で振り向いたところ、段ボールの角が手摺にぶつかって、蒼介は体勢を崩した。


「うわ……ちょ……」


 そり返った上半身を立て直そうと片足を後ろに引くが、ここは階段、

 当然足は宙を踏み抜き、

 後ろに身体が倒れる。


 バキバキ……ミシッ……


 家が壊れたんじゃ無いかと思うような音が響いた。


 蒼介は階段の中途半端な位置で止まっていた

 後ろから抱きしめられている。


 そして、階段の両側の壁に突き刺さった謎の金属の板の数々。


「怪我はある?怪我は無い?」


 ルカの声が至近距離で聞こえた。

 

「うわ……ごめん」


 足元に転がった衣類を踏んづける形になるが、ルカの腕から抜け出す。


 衣類を端に除けつつ、あらためて瑠花を見た

 背中から金属のウィングの様なものが生えて、両側の壁に突き刺さっていた。


 どうやら、蒼介を受け止めるため、金属ウィングでその場に身体を固定していた様だ。


「……何それ?」


「これで飛ぶ」


 蒼介の質問にルカの返答は簡潔だった。

 表情は相変わらずあまり変化がない。


「お前らやってくれたな?」


 瑠ルカの向こう側で倉本先生が腰に手を当てて顔を顰めていた。


「いや……あはは……」


 蒼介は笑って誤魔化した。


「やった?何を?」


 ルカが小首を傾げる。

 倉本先生が深くため息をついた。

 


 

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