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第26話 ルカの異変

 ルカにどうやって一般的な友人関係を教えるべきか……

 と言う事で、妹に相談する。


「美空、なんか普通の友達どうしが普通になんでも無く過ごす感じの漫画持ってない?」


 宇宙人は漫画好きな様なので、漫画の力を借りる事にした。

 もしかして母星には漫画文化が無いのかな?


「えー?それだと、女の子だけ出てくる日常系4コマ漫画とかかな?

 後は……部活とか夢を追いかけるとか恋愛メインじゃない奴で……」


 ブツブツ言いながら部屋へ取りに行ってくれた。

 内容を先に確認して良い感じのがあったらまた貸しするか。


 軽く一巻を目を通して、ちょうど良さそうなやつを学校に持ってきた。

 ルカに話しかける。


「星名おはよう。一般常識の無いお前に読んでほしい漫画があるんだけど……」


「……おはよう」


 ルカは蒼介をチラッと見た後、正面を向いた。前の席に座るモモの後頭部を凝視している。


「……?」


 ルカは蒼介が話しかけると、いつも灰色の眼で穴が開くほどに蒼介を見つめてくるのに、反応がおかしい。


「この漫画、お勧めだから。時間ある時に読めよな」


「……了解した」


 ルカは蒼介と眼を合わせないまま受け取った。


「…………」


 やっぱり何かがおかしい。

 その後も観察してみたが、ルカが元気ない気がする。

 蒼介を避けるようになっている。

 

 放課後、モモがニヤニヤしながらからかってきた。


「喧嘩でもしたの?痴話喧嘩っていうんでしょ?」


 由香里も不審がる。


「喧嘩したなら蒼介が謝りなさいよね」


 そんなこと言われても、蒼介にはピンと来なかった。

 モヤモヤした気持ちを抱えながら過ごしたくは無い。


「おい、星名。ちょっと話をしよう」


「話……何?」


 やっぱり眼を逸らしながら答える。


「…………」


 ふと、目線を感じた。

 クラスメイトの女子何人かのグループの一人と目があった。

 すぐに逸らされたが……見られていた?


「話……しない」


 ルカが立ち上がる。


「おい!どこ行くんだよ」


 追いかける。


「あのさ……俺が何かしたなら謝るから。俺、ほら、政府からお前の事頼まれてるの知ってるだろ?それに、俺たち……友達だろ」


 ルカは走り出した。

 蒼介も意地になって追いかける。


 ついに校舎の外に出てしまった。

 見失った。


 ……もしかしたら倉本先生に連絡すれば、発信機とかルカに付けてて場所を教えて貰えたりするかも知れないが、不仲なのがバレるのは良く無い気がする。


 走るともう汗ばむ季節だ。日差しも日向ではそれなりに強く感じる様になってきた。

 蒼介は仕方なくあちこち歩き回る。


 そして、特徴的な長い銀髪が見えた。

 しかし、近寄るのは憚られた。

 誰か……男子生徒と話をしている。


「……アイツ俺以外に男子と話す奴いたのか?」


 どうしようか迷う。

 しかし、蒼介は政府からルカのことを頼まれているのだ。

 確認しないといけない。どこのどいつなのか。


 こっそり足を忍ばせていると……


「蒼介?何してんの?」


 蒼介はビクッと肩を振るわせる。


「なんだ……由香里か」


「楽しそうなことしてるね!」


 宇宙人2号、モモまでいた。


「もしかして……あれ、見てたの?」


 由香里が目線で示すのは勿論、ルカと謎の男子生徒だ。


 木の影に隠れて三人で様子を観察する。


「あれって去年の生徒会長じゃない。イケメンでバスケ部で活躍してたらしくて、女子に人気のある……」


 その由香里の言葉にモモがクリクリの灰色の眼を輝かせた。


「生徒会長!すごい権力者ってことだよね!」


「しっ!声が大きいぞ。別に生徒会長に権力とかそんな無いぞ。単なる教師の小間使いみたいなもんだ。お前漫画の読み過ぎだぞ」


「そんなぁ……」


 蒼介の素直な生徒会長の役職の評価に、モモはガッカリした様だ。

 現実はそんなもんよ。

 ……しかし宇宙人が学校の現実を知ってガッカリとか訳わかんねぇな。


「でも、由香里結構ミーハーだな。イケメンの情報に詳しいなんて。

 もしかして、アイツ狙いなんて……」


「そんな訳ないでしょ!」


 蒼介のからかいに由香里が声を潜めつつ怒鳴るという芸当をみせる。


「あ!生徒会長行っちゃった……」


 生徒会長はルカに手を振って去っていった。

 モモが木の影から飛び出しつつ蒼介にニコニコ顔を向ける。


「なんの話してたか聞いてくるね!」


「おい待て!」


 静止を聞かずに、ルカに話しかけてしまった。

 しばらく話をした後、ルカは立ち去った。

 そしてモモは戻ってきた。

 

 「なんかね!求愛されたかもなんだって!付き合ってくださいだって!そんな漫画みたいなことあるんだね!」


 モモは心底楽しそうだった。


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