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第22話 三人目

「お兄ちゃんどうしたの?なんかずっとボンヤリしてるけど……そんなに指痛いの?」


 おっといけない。食事の最中だった。

 母親は先に食べ終えてリビングでテレビを見ている。

 父親は今日も残業か。


 今日は一日中ぼんやりし過ぎて周囲の人に心配を掛けまくっている。


 ルカはあの後も特にいつも通りだった。

 何で突然本来の姿を見せたんだ?

 漫画の影響か?


「……なあ、美空」


「何?」


「後で漫画貸してくれ。『君は子猫』って奴。持ってたよな」


 美空が訝しげな顔をする。


「良いけど……前読んだ時、合わないって言ってたでしょ。

 どう言う風の吹き回し……あ!」


 美空は両手で口元を押さえて蒼介をマジマジと見つめる。


「……何だよ」


「もしや!もしもしや!お兄ちゃんは恋をしましたね!」


「え!?何の話!?」


 母親参戦。


「お母さん!お兄ちゃんが恋愛系の少女漫画読みたがってる!」


「え!お赤飯炊かなくちゃ!」


「やめろ!違うから!恋愛なんて……」


 何故か今ルカの唇の感触が蘇る。


「顔真っ赤!やっぱり……」


「えー!?どうしましょ!」


「違うから!ああもう!ただ話題になってて気になっただけだから!」


 何とか母親を風呂に先に入るように誘導した。美空はウキウキしながら部屋から『君は子猫』を持ってきてくれた。


「はい!どーおーぞ!」


 妹の満面の笑顔がウザい。

 一巻は読んだことがあるが、設定も人物の名前も何もかも忘れているので再読し始める。

 妹の視線は無視する。

 妹も何故か途中の巻から読み始めた。……ネタバレはやめてくれよな。


 その時、


 ――ぴんぽーん


 インターホンの間抜けな音が響く。


「んー?誰だろ?」


 妹が行ってくれたので漫画の続きを読み進める。何で女はこう言う性格悪そうな男を選ぶんだろうな……こっちの親切な奴かわいそう。親切し損じゃん。


 「お兄ちゃんにお客さん!すっごい美形!しかも銀髪!どこで知り合ったの?高校の留学生?」


「……!?」


 慌てて漫画を置く。

 美形の銀髪……銀髪なら候補は二人だが、モモなら美形よりも可愛いと評されそうだし、と言うことは……。


「お前は引っ込んでろ!」


「えー?」


 玄関に足音荒く近づいて、果たしていたのは知らない男だった。


「は?だれ?」


 誰かはわからないが、何者かは分かる。

 銀髪に灰色の瞳の細身。年は蒼介と同じか少し上くらいか。


「はじめまして。君が我らが姫君の配偶者か。思いの外普通のつまらなそうな奴だね。

 ああ、ボクはクウロ。

 モモの兄に当たる。……君と話をしに来たんだ。外に出よう」


 蒼介の背後で妹が耳をそば立ててるのが気配でわかる。


「……わかった」


 蒼介は妹に声をかける。


「知り合いの知り合いだ。ちょっと外出てくる」


 面倒がどんどん増えていくな。

 

 

 

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