第18話 何考えてるんだ
「そんで、お前は本当は何考えてんだよ」
蒼介は焼きそばパンを食べ終えていちごジャムコッペパンを頬張りながら、モモを睨みつける。
ルカはまだメロンパンをチマチマ齧っている。そんな速度で昼休み中に食い切れるのか?
しかし、メロンパンを両手に持って口に運ぶその表情は笑っている訳でも無いのに心なしか幸せそうだ。
「質問曖昧過ぎてそんなんじゃ意味わかんないよ。
私の目的聞きたいの?
私は地球をこれからどうするか決めるのに、先ずは蒼介のこと知ろうかなって思って来たんだよ」
モモはミクルティーのペットボトルを開けようと頑張りながら答える。
変な兵器は持ってるのに握力腕力は無いのか苦戦している。
良いぞ……もっと苦しめ……。
そして、蒼介は口の中に食べ物が入っていようが、しっかり文句は言っておく。
「何で俺なんだよ!星名だけでも手一杯だよ!」
食べながら喋ったので、コッペパンのかけらが唾と一緒に飛んだ気がしたが気にしない。
「えー?だって他に面白そうな知り合いいないもん。お兄ちゃんに聞いたらそうしろって言ってたよ」
「お兄ちゃん誰だよ?そいつもルル……何ちゃら人?」
「私とお父さんもお母さんも一緒の人だよ。
そう言う人の男の人をお兄ちゃんって呼ぶんだよね?
地球に来てるよ。ルカちゃんは会ったことあるよね」
モモがルカを見たので、蒼介もルカを見る。
ルカは真剣な眼差しでメロンパンに挑み続けていた。
時間内に食べ切れるか否かは微妙なところだ。
「星名はコイツのにーちゃん知ってるのか?どんなやつ?
と言うか、地球をどうするかは地球人に決めさせろ!」
「それはできない」「ダメだね」
蒼介の当然の主張を、しかし宇宙人達は即座に否定する。
「何でだよ。普通にお前らが決めるのはおかしいだろ」
「だって地球人は……なんて言うか文明遅れてるでしょ。
そう言う未開の人たちにその星の命運を握らせとくのは、私達の星以外も認めてないよ。
常識だよ」
モモが当たり前のような顔をして説明してくる。
宇宙人達の常識的には未開人に人権は無いようだ。
「そういや星名は動物愛護精神で地球に来たんだったか。
俺のこと動物だと思ってるのに何で結婚だなんだの話になるんだよ。
お前らは動物とも結婚するのかよ!?
俺らを見下してる癖にどう言うつもりだよ?」
「地球人類はヒト。動物じゃない。
それに私は今半分くらい地球人類。だから蒼介と結婚して子供作る」
食べかけのメロンパンを持ってる割には真剣そのものの瞳で、ルカは蒼介をまっすぐ見つめてくる。
「お前と結婚はしねぇよ。俺だって選ぶ権利があるんだよ。
それに今の姿は本当の姿じゃ無いんだろ?
どんな生き物かもわからない奴と結婚なんて出来るかよ」
ルカは考え込むような顔をした。
「良いからここは片付けるぞ。そろそろ午後の授業始まる」
ルカはその後も無言のままだった。