第16話 呼び出し
昼休み
「ねえ、蒼介は小テストどうだった?」
由香里が声をかけて来たが、
「わりぃ、倉本先生に呼び出されてる」
残念ながら先約があるので、のんびり話してる場合じゃない。
「え?なんかやばい事やらかしたの?小テスト相当ヤバかったとか?」
「ちげーよ!……それは大丈夫……な筈。
多分、ニュー転校生の方も丸ごと面倒みてくれって話じゃ無いか?」
蒼介は適当に誤魔化すように言った。
「……蒼介は席が偶々星名さんと隣だっただけで、二人も面倒見るの?クラス委員でも無いのに?
大変そうなら私からも先生に抗議するよ?」
……無用な心配を掛けてしまったようだ。
「まあ、二人とも美人だし!両手に花ってやつだよ」
そう言って、ハハハ……と笑って見せたが、由香里はご機嫌斜めなのか、口を尖らして不機嫌そうな目で蒼介を見つめ返す。
その時、空気の読めなさそうなマイペースな声が横から割って入る。
「蒼介君とやら、私職員室の場所わかんないんだから早く連れてって。
luf……ルカは頼りないし、ゴハン食べたいから早くー!」
無邪気な顔で笑うモモの後ろには、いつも通り人形のように佇むルカ。
「あっそ。心配して損した」
フン、と鼻を鳴らして足音高らかに他の女子のグループに合流する。
何となく由香里のいるグループ女子からの目線が冷たい気もするが、あんまり先生を待たせられない。
「……まあ、とりあえず行くぞ」
職員室に倉本先生を訪ねに行くと、そのまま先導されて空き教室へ。
倉本先生がガタガタと机と椅子を並べ直して、机をくっつけて島を作るのを、宇宙人二人組はボサっと見ていたが、蒼介は椅子を並べるのを手伝う。
「よし、触れ」
倉本先生がメガネの位置を直しつつ腰掛ける。その向かい側に蒼介が座り、モモが右隣りにニコっと愛らしい愛想笑いを浮かべつつ座る。
宇宙人1号はボサっと立ったままだ。
「星名はそちらの椅子に座れ」
倉本先生の指示にようやく反応した。……相変わらずだが、こいつ大丈夫か。
ルカは蒼介の左隣に座った。姿勢が無駄に良いな。背筋がスッと伸びている。
そして、昼休みという事で、倉本先生がビニール袋から惣菜パンを幾つか出してくれた。
お茶の小さめのペットボトルまで用意してくれてた。
ありがたい。
蒼介が焼きそばパンに食いついたところで、倉本先生は早速話し出す。
「それで、百々瀬に関する話なんだが……」