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第13話 殺す殺さない

 店内アナウンスとルカの走っていった方向から見当をつけて行った先は、関係者以外立ち入り禁止の半地下にあるトラックから乗り入れたものを保管しておくらしい区画


 ゴミ置き場も近くにあるのか、生ごみのツンとする匂いのする少し暗い場所だ

 台車や金属棚が壁際に置いてある所に銀髪の二人の少女が対峙している


 そっくりな綺麗な銀髪を前に混乱する


 すると、ボブヘアの笑顔の可愛らしい格好の少女が、魅力的な人懐っこい笑みを浮かべて蒼介を見て、

 その腕が、肘から先が大きく花開くように広がる。

 金属の8枚の板が肘あたりから広がり、その中には銀色の筒。


 筒が白く眩い光を帯びる。

 初めて見るそれが何か蒼介には分かった。

 あれは兵器だ。

 人を殺す為のもの。


「いくよー!死ねー!」


 愛らしい顔立ちに似合う可愛い感じの甘い声で、その笑顔に似合わない台詞を叫ぶ。


 視界が真っ白になる。避ける?どこに?

 今感じているのが恐怖なのか驚愕なのかも分からない。

 

 「およー?」


 気の抜ける声がした。


 光に目が絡んで暗い倉庫内をまた見る事が出来るまで、しばしの時間を要した。


「離してよー」


 金属プレートの翼を背中から生やしたルカが、もう一人の少女をコンクリートの床に押さえつけていた。

 広がった腕の板は半分閉じ掛けている。


「もう!服汚れちゃうよ」


「蒼介、離れていて。どこか別の場所に行って」


 ルカは少女に馬乗りになっている。

 ルカが腕を退かしても少女が立ち上がらないのは、両肩に何か金属の棒のような物が貫通し、床に縫い留められているからだ。


 ルカが背中に腕を回す。

 いつの間にか銀色の何かを握っている。拳銃のような形状だが、用途も然程変わり無いはずだ。

 少女の顔に向けている。


「おい、そいつをどうするつもりだ!?まさか殺すのか!?」


「そう、殺す」


 拳銃のような物が光始める。


「やめろ!!」


 蒼介は無駄と知りつつ駆け寄る。


 拳銃の光が霧散する。ルカは姿勢を変えずに首だけ蒼介の方を見る。


「やめた」


「なんでだよ!!」


「やめろって言った」


「まあ、そうなんだけど……」


 あっさりやめられると肩透かしと言うか……

 本当にやめると思わないじゃん……


「おやおや、まあまあ……」


 恐る恐る近づく蒼介を少女はくりくりの瞳で下から見つめてくる。


「パートナーさんの言う事、そんなに良く聞くんだ……本当に古臭い思想。

 都会育ちなら先進的かと思ってたけど、全然なんだね。

 はじめまして!私モモ!本名は……まあ良いや。それで私を自由にしてって、そっちの同郷の人に言ってくれる?

 そしたらあなたを殺さないでおいてあげる!」


 笑顔の絶えない娘らしいが、言う事が物騒だ。

 でも、日本語はルカよりは上手いな。


「近づかないで」


 ルカの警告に従って後退りする。


「もう!本当に殺さないってば!

 パートナーさん、お名前は?」


パートナーって俺か?

パートナーじゃ無いですけど……


「……蒼介」


「ふーん?あなたのこと気に入った!

 もしも、もしもあなたのこと、もっと気に入ったら、地球人のこと助けてあげなくも無いかも?


 ……そろそろ退いて」


 蒼介の位置からはよく見えなかったが、モモは肩に刺さっているのを無理やり切断して立ち上がる。


 銀色と赤い血が混じり合いながら床を汚す。


 ルカは蒼介の方を伺いながら、一歩下がる。


「蒼介、殺したらダメなの?」


「えーと……えー……ダメかな?」


 よく分からないが敵のようだが、しかし、殺せとか言える性格じゃ無いので、消極的に禁止する。


「ふふ……お目溢しいただきありがとね。

 また、近いうちに会おうね!

 今日はlufhcashに会いに来ただけだから。でも、蒼介にも会えて良かったよ。またね」


「情報をください。あなたの他にも母星から来てますか?」


 ルカがモモを引き留めて質問する。

 

「当たり前でしょ」


 そう言いながら、いつの間にか普通の形状に戻っていた両腕をフワリと広げると、それに合わせるように、金属のウィングが背中に生える。


 ルカの数枚のプレートと違って、モモのは二枚の一対の物だ。


「じゃあね」


 手と笑顔を振りまきながら飛ぶ。

 光の柱が斜めに発射され、モモの行く先の壁と天井に、翼含めて軽く通れる大穴を開けて空へと消えた。


「……追ったりしないのか?」


「行動の確認が取れない」


 よく分からないが、勝手な行動は出来ない的な意味だろう。


「由香里が心配してると思う……けど、服ボロボロだな。

 由香里には俺から上手く言っておくから、今日はお前は顔は合わさない方が良いかもな。

 ほら、上着貸してやるから。明日返してくれ」


 戦闘のために背中から色々生やしたせいだろう、服の背中が穴が空いていて、このままでは外を歩けないだろう。


ルカはぼんやり、上着をみていたが、ノソノソと着込むと、一言


「ありがとう」


 ブカブカの上着を着ると華奢だから子供みたいだな……


「どういたしまして」


 蒼介は肩をすくめた。

 

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