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コロナ陽性からのワンオペ

作者: イトー

 突然39度の熱が出てコロナ陽性、ゴールデンウィークは寝込んでいました。


 仕事以外、コンビニ、スーパー、ドラッグストア、ガソリンスタンドくらいしか行ってないのですが、予防していても感染するときはするようです。

 数名の感染者で大騒ぎしていた頃から時が経ち、それだけ身近な病気になったということかもしれません。

 できれば関わりを持ちたくない病気ですが。


 家で広めないようにアルコール消毒などで入念に対策していたつもりだったのですが、母、祖母とうつり、日を置いて最後は妹に。

 家族全員に感染させてしまいました。


 こうなると動けるのは自分だけなので、分担していた家事はすべて単独で行うことになります。


 夜勤から帰ったら、昼間に眠るまでと起きて出勤するまでが活動時間。


 それぞれ寝室で療養しているので、時間ごとに食事の準備をして、1人1人おぼんに定食風に盛り付けてサーブ。


 できる限り献立がかぶらないように1日3食。

 それも喉の痛みや希望のおかずを取り入れて、香辛料を使わないもの、さっぱりしたものなど。

 ちゃんと飲み込める状態なら間食は水羊羹とバナナ、ところてんが好評でした。


 慣れない米研ぎからの炊飯や、余った食材を適当に集めてコンソメでスープを作ったり。

 日頃は少し割高だなあと思っていたスーパーのお惣菜の、すぐ食卓に出せるという利点を実感。

 作る手間ひまとタイパを考慮すれば、あの価格も高くはないです。

 冷凍庫にあったお弁当のおかず系もサイズ的に使い勝手が良かった。


 常備品に最適と噂のサトウのパックご飯も、炊いた白飯が足りないときは便利なものですね。

 これはストックすることに決めました。


 洗濯機を回して買い出しに出て、時間を見てはトイレや廊下などをこまめに消毒。

 家族が入浴できるようになってからは、換気しながら普段以上に丁寧に風呂場を清掃。


 そんななかで比較的症状の軽い、92の祖母が事態を把握していないのか、マスクなしで家の中を歩き回ろうとしたり、誰よりも先に風呂に入ろうとしたり、少し良くなると「(趣味の)畑の様子を見に行かなきゃ」と外に出ようとするなどして、ひどく困惑。


 畑には近所の人も寄るし、ただでさえ弱っている高齢の体力と状況をまるで分かっていない。

 コロナが猛威をふるっていた頃、茶飲み友達のばあさんが救急車で運ばれてわずか数日で荼毘にふされたのを、もう忘れている。


 油断大敵なのに、歳を取ると恐れがなくなるというか、危機感が薄れてしまうのだろうか。

 大病を克服してから、自分は不死身になったとでも思い込んでいるのかもしれない。


 病み上がりで体感、ヒットポイントの上限が100から60くらいまで減っているなか、どうにかこうにかバタバタとこなしました。



 この1週間を通して、折に触れて頭に浮かんだのは、家族の介護や身の回りの世話について。

 いつもは耳にしてもスルーがちだったキーワードなのですが、今回の件で強く意識しました。


 私はまだ家族の回復までの日数が予想できたのでやれましたが、仕事しながらこれらの家事炊事や介護などを毎日こなしている人もいます。


 またヤングケアラーと呼ばれる、いろいろな事情から、勉強や遊ぶ時間を犠牲にして家族の世話をしている未成年者もいるかと思うと、無意識に唇を引き結んで、険しい表情になってしまいます。


 老いを拒むことはできないし、健康に気を付けていても病気を抱えてしまうこともある。

 いざとなったら、いや、必ず来るであろうそのいざというときをどういった心構えで迎えるのか。


 短い期間ではありますが、考えさせられました。

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