第1話 招待状
なぎさとおる
主人公 渚 徹
ごく普通の青塚学院に通う高校生。両親が小さいときに離婚してしまい、さらにその両親に捨てられとある養護施設で住んでいる。その影響で中学校までいじめを受けた影響で相当な人嫌いでなかなか人と話さなってしまう。しかし、唯一話すのは青塚学院で出会った安井財閥の御曹司「安井春斗」と幼馴染で徹を気にかけてくれる「松笠瑠偉」である。
まつかさるい
松笠瑠偉
松笠財閥である御曹司。スポーツは中途半端で学業も中途半端だが唯一瑠偉が持っているのは人を元気づけられることができること。そのため徹以外のクラスメートのみんなと仲良くなり徹と仲良くするために日々頑張っている。
やすいはると
安井春斗
唯一徹と話せる幼馴染で徹と同じ青塚学院に通っている高校生。徹を心配していて徹とよく行動している。何事も努力するほどの努力家。
キーンコーンカーンコーンと学校のチャイムが鳴るとともに桜の花びらが舞っている。今日は青塚学園の入学式。部活に勧誘する生徒や、新入生たちの明るい声が空にこだましていた。その中で徹はその声を切り裂くように足早に校門を出ていた。
「おーい!徹!ちょっと待てよ!もう少し入学式を楽しもうぜ。」
後ろから足早に追ってくる春斗の声が聞こえた。
「なんでそんな暗い顔してんだよ。俺たちこれからこの高校に通うんだから友達作りまくって楽しむって言ったじゃん。」
「別にそんなの関係ない。友達なんか必要ないし1人でも生きていける。」
そう言って徹は春斗を置いていくかのように足早に歩き始めた。
「おい!約束したじゃんちゃんと友達作るって」
「わかったわかった作ればいいんだろ」
「あっ!いたいた!おーい!君たち2組の子達だよね?!俺も2組なんだよ!俺の名前は松笠瑠偉これからよろしくな!」
後ろから大きな声を発しながら走ってくる人影が見えた。
「えっと・・・名前は・・」
「俺は安井春斗。隣にいるのが」
「・・・徹」
「そっか!これからよろしくな!そいえばさ・・・おっとまだ話かけてない人がいるんだったじゃまた明日な!」
そう一方的に話して校舎に戻っていた。
「なんだったんだあいつ」
「松笠瑠偉はこの辺じゃ有名な松笠財閥の息子だよ。でもあまり優秀じゃなくて親も困っているらしい。ニュースでやってただろ。」
「へーそんなの知らない。」
「しっかりニュース見ろよ時代に遅れるぞ。あっそいえばあいつがなんか言いかけていたの何だったんだろうな?まぁどうでもいいか」
二人はいつも通り話しながら帰路に立った。
二人は別れ徹はいつもの施設にもどりご飯を食べている中ある話が耳に入る。
「おい聞いたか?なんか近々日本のどこかで生き残りを賭けたサバイバルが始まるらしいぜ。」
「なんだよ。それどんな内容なんだよ。」
「なんと1か月生き残れたら生涯困らないほどの大金がもらえるんだとよ!夢があるよな!」
「なんだそれ。すげーな。どうせ俺たちこの先、何もないから参加して大金ほしいよな」
「でも、参加できるのは選ばれた人しか参加できないらしいんだって。まぁ俺達にはこないだろ・・・」
二人が話をしているとゴンッ二人は頭を叩かれた。
「そんな話があるわけないだろくだらない話をする暇があったらとっとと飯食って寝ろ」
職員の飯田さんだった飯田さんは施設の中で1番厳しい職員さんで鬼の飯田と言われている。
「くそっなんだよ盛り上がってたのに」
男たちは夜ご飯を食べて食堂を後にした。
(なんだそれくだらない。そんな話が有るわけが・・・)
「お前もそんな話聞いてるんだったら飯食って掃除しろお前が今日担当だろ」
徹も夜ご飯を食べ、掃除に向かった。
時は過ぎ春学期終盤、期末テストが終わりテストが返却された。
「うーんまぁまぁかな徹はどうだった?」
「普通。」
「なんだよ見せてくれよー・・・ってすげぇ!ほぼ全部90点台じゃん!」
「お前がバカなだけだよ。」
「なんだとー!」
二人は談笑している中その話を遮るように瑠偉が話に入ってきた。
「二人ともすごいじゃん!赤点がない!俺はめっちゃ悲惨だよーほら」
二人は瑠偉の成績表を見ると5教科ほぼ赤点だった。二人は絶句した。
「・・・本当に松笠財閥の御曹司か?」
「そうだからって皆頭いいわけじゃないからな」
「運動も勉強も中途半端この先真っ暗だな。」
そう徹が呟くと
「それでも俺は親父を超すぐらいすげー人になってやる!」
それを聞いて二人は呆れていた。
「そうだ!もう夏休みだし3人でどっかいこうぜ!仲良くなったんだし!」
「そんなつもりねーよ」
と3人で談笑していたら3人のスマホが同時に鳴った。その内容はあの前から噂になっていたサバイバルの招待状だった。
3人しかいない教室はやけに静かになった。
「おい・・・これって噂の・・・」
「これって噂のサバイバルの招待状だよな?!まじか!俺たち選ばれたんだな!」
瑠偉はしゃぎながらそう言った。
(これってもしかしてあの2人が言ってたやつか?)
徹が考えていると
「お前は参加すんのかよ・・・徹」
春斗は動揺しながら徹に聞いた。
「まぁ俺はこの先やりたいことないし、死んでもいいからやろっかな。」
「おいそんなこと言うなよ!俺はやらないぞ」
「俺は絶対やる!1か月生き残って親父をぎゃふんと言わせてやる!」
春斗はしばらく考えて答えた
「・・・わかったよ。やってやる。生き残れば大金がもらえるんだやってやるよ。開催は夏休みだからちょうどいい。大金もらって3人で豪遊しよう。」
「金なんか要らない。俺はただ参加するだけ。」
「そんなこと言うなよ!3人で頑張ろうぜ!」
3人が盛り上がっている中、下校時間になったので3人は解散した。
徹は施設の前に着いた時、施設内が盛り上がっていた。
盛り上がってる集団の横を通ったとたん驚くような話が耳に入った。
「おい!見ろ!俺は選ばれしものだ!」
施設の中の集団を牛耳っている谷岡が叫んでいた。そして徹を指さし谷岡は言った。
「よぉ陰キャの渚君。見ろよ!俺はあの噂になっていたサバイバルの招待状を手にしたんだ!まぁ君のような子に招待状は来ないけどな!」
集団の何人かも招待状が届いていた。集団が徹を馬鹿にしていると徹は言った。
「俺も・・・届いた。」
すると皆一斉に「はぁ?!」と叫んだ。
「そんなはずはねぇ・・・!まぁいい。そんな君はすぐ死んじゃうけどなぁ!」
そう言う谷岡を無視して徹は自分の部屋に戻った。
そして、ふと徹は考えた。
(この先何もない俺たちに招待状が届くのはわかるけどなんで春斗とうるさいやつに招待状が届くんだ?)
そんなことを考えていると消灯時間になっていた。
次の日目覚ましが鳴った。
(なんだ?今日はやけに起床時間が早いな)
そう思い起床した徹は絶句した。
目の前に広がるのはいつもの部屋ではなくて暗い部屋にぎゅうぎゅうに詰められた人達がいた。そして窓を見るとあたり1面に広がる大きな町だった。