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仕事のある街

「あんたさ、この世界があと7日で終わるって言ったら信じる?」


 休日出勤残業上等の帰り道、突然目の前に現れた、悪魔の羽を生やした人の形をした何かは、パタパタとホバリングしながら俺に問いかけた。


 え、こわ。不審者だ。こういうのは無視するに限る。邪なるものっぽい存在とは関わるなって、数々の創作が証明している。大抵騙されて、最後はろくな目に遭わない。


「そんなつれないこと言わずにさ。明日は休みで何もすることがないだろ?だったら1日ぐらい、俺に付き合ってくれよ」


 悪魔は胡散臭い笑みを浮かべながら言う。


 こいつ…直接脳内をのぞいて…ファミチキください…。


「人間って本当にそのネタ好きだよね」


「ファミチキネタはみんな好きだろ」


 あ、しまった、思わず反応しちゃった。


「インターネットミームってやつね…で?どうする?」


 悪魔はこちらに問いかける。


「どうするも何も…まあ明日は暇だからいいけど…」


 実際なんの予定もない。だいたい休日に予定入れるのって難しくないか。干物のように部屋に引きこもって、寝てると終わる。


「決まり!じゃあ今日の夜は別の街に泊まってくれ。今日この街消えるから」


「え?この街消えるの?」


 ってか街?世界じゃなくて?


「今この世には、7つしか街が残ってないくてさ。んで、俺は1日1つ街を閉じていってて。最後の街を閉じたら、この世界は終了するってわけ」


 街が7つしかない…?そんなことある…?この現代社会で?7つ…?物流とかどうなってんだ?


「物流とか、辻褄とか、そういうのは何とか合わせられてる。消えた街に行くことはできないし、その時その街にいた人にはもう会えないけどね」


「そういうもんか」


「そういうもんだよ。だから、絶対会わないような人の記憶は案外君から消えてないし、逆によく会う人間でもう消えてしまった人は、思い出さないようにできてたりする」


 ふーん。じゃあ電車とかも、消えた街には止まれないようになってるんだろうしか。それも自覚できないってこと?


「そんな感じだ。交通関係は特に難しいね。まあ細かい仕組みは管轄外だけど。とりあえず、今日は隣町のホテルに泊まりな。部屋はとってあるからさ」


「おー、ありがとう」


「しかも三つ星ホテルのスイート。朝昼晩食事付」


「悪魔じゃなくて天使じゃん」


「悪魔だよ。じゃあそういうことで。ちゃんと今日中にチェックインするんだよ。この街消えちゃうからさ。俺は今から準備するから。またあした」


「うい。また明日」


 とりあえず早くチェックインしよう。俺はお泊まりセットを作りに家に帰った。



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