妖狐と闘伐
今回は水影側です。
「君、名前は?」
「すみません。その子には、名前がないのです。」
「何故?」
「生まれた直後にうちに売られたんです。」
「そんなことがあり得るのか?」
「普通は、あり得ません。ですが、この子は、紛争地帯で老人夫婦に拾われて、育てられないから。と、うちに売られたんです。まぁ、『預けられた』のほうが当てはまると思いますがね。」
「そんな子を売って良いんですか?」
「はい。了承は、取っていますから。」
「なら、名前つけてもいいか?」
「買っていただけるならば、もちろん。」
「わかった。」
うーん。どんなのが良いんだろう。
「なぁ、お前って種族は、何なんだ?」
「妖狐です。」
「妖狐は、妖術が使えるので、キメラに使いたいと思ったのでしょうね。」
「妖術?」
「妖怪や、妖狐、それらと契約したものが使うことができる、不思議な術です。」
「へー。そんなのがあるんだ。」
「狐か...」
狐って、ロシア語でセリーだったよな...
「お前の名前は、セリだ。」
「セリ...」
その後、雑談を交わしながら、30分程馬車を走らせる。
途中で魔物に襲われた回数は、8回これでも少ない方らしい。
「王都に着きますよ。」
おお!すげぇ。中世って感じがする。
まず最初に、馬車の商人の店に行く。
今更だが、商人の名前は、ライガンだと聞いた。
セリと契約する。
《個体名:セリとの契約により、妖力及び妖術を獲得しました。》
妖術が使えるようになった!
これであのイケメンが使っていた、蒼い龍の波動を撃てるようになるのか。
いや、使えるようになるまで練習しないといけないっぽい。
まぁ、そりゃそうか。
そんなほいほい使えたら、妖力がない奴にとっては、脅威でしかないわな。
という事は、妖術の鍛練もしていかないとな。
後、気に入った仮面があったので、それも買った。
漆黒のやつだ。そりゃ、暗殺者は顔をやすやすと見せられませんからね。
次に冒険者ギルドへ行く。
冒険者登録をする為だ。
「こちらの書類にあなたのジョブなどを書いてください。」
セリには、いちいち驚かれた。ステータスが魔王並みらしい。
ちなみに、この世界には、魔王が5人もいるらしい。その中で、悪魔族と、龍人族の魔王は、別格らしい。両方ともこの大陸の魔王じゃないらしいが。
書類は、正体がバレると面倒になるのは、目に見えているので、偽名を使った。偽名は、デスにした。
いやそりぁさ、もうちょっと考えろって意見もあると思うけどさ、死神のローブと宝靴とか、暗黒帝王の短剣とかで明らかに死を意味すると思うんだよね。
冒険者には、ランクがあり、FからSSSランクまであるんだと。
冒険者登録するには、Eランク以上の相手を倒す必要がある。
ほいほい冒険者にして、死なれたら良いもんじゃないしな。
でも、俺にはそんな知り合いいないんだが...
と思ってたら、
「おいガキ、俺と戦え。それでお前が勝ったら冒険者に登録出来て、負けたらその妖狐を俺に寄越せ。」
「はい?何故です?なぜそんな自分の女を売るようなことをしなくちゃならないんですか?」
「あ?」
「でも、試験はしてくれるんですよね。ありがとうございます。」
「お待ち下さい。」
「どうしたんです?」
「その方はAランク冒険者の暴君クレイルさんですよ。」
「だからなんですか?」
「え?」
「これぐらいの力だったら、手加減しても倒せますよ。」
「なんだと?」
しっかりと挑発はしておこう。
怒って、攻撃が単純になれば、避けやすくなるからな。
「それと、これに俺が勝ったら、あいつをFランクに落としてくれませんか?」
「分かりました。善処します。」
試験は、一度だけ致命傷を受けても死ななくなるという結界が張ってある、訓練場で行う。
俺とクレイルが睨み合う。
俺の武器は、短剣で向こうは、大剣だ。
「随分と舐めてくれてるじゃねぇか」
「全力で来ないと、死にますよ。社会的にね。」
「このクソガキが!絶対に許さん!」
「それでは、試合開始‼︎」
「おっと」
「くらえ、爆砕剣‼︎」
短剣と大剣がぶつかり合う。
「痛ってぇー」
「何故だ?なんでその短剣は壊れない?」
「いやぁー、そんなこと聞かれてもなぁ。これは貰い物だからさ。」
「こうやって話しているうちにもう傷だらけじゃないか。」
「本当に本気か?」
「クソガキがー!」
ふぅ。もういっか。一閃。
「かはっ。」
「勝者デス!」
「Sランクにしてやりたいんだが、ルールのせいで相手のランクまでしか上げられないんだよなー。」
「いやいや。良いですよ。」
「そうか。そう言ってくれて助かる。」
「クレイル。お前はFランクからやり直せ。」
「ど、どうして?」
「何を言っている。お前は、最近王都の民を傷つけているんだぞ。だからだ。」
読んで頂きありがとうございます。
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それと、ジョブや、スキルを募集しています。
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