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<ファファード&グレイ・マウザー>『魔の都の二剣士』フリッツ・ライバー著。東京創元社

 この作品の主人公は2人いて、そのどちらも悪人に近い性格をした、一風変わったヒロイック・ファンタジーになっています。



 第一部はこの物語の主人公の1人、大男のファファードが住むのは、氷と雪に閉ざされた北方の地。そこでは魔術を使う女(妻)と男(夫)の小競り合いがつづき、なんと氷(雪)の魔女によって夫が殺されることもあるという。

 ファファードはこの未開の野蛮なものを嫌い、外にある「文明」に憧れる青年。



 第二部は2人目の主人公グレイ・マウザーの物語。

 彼はその小柄な身体から「マウス」と呼ばれ、ある魔法使いの弟子をしている。彼と同じ魔法使いを師匠にもつ公爵の娘イヴリアンと身分は違えど仲良くしていたが……



 この2人の主人公、どちらもこの第1巻では女に裏切られたり、激しいののしり合いを演じたりします。

 世界観はダークで、どちらの主人公も海賊行為を働いて、違法なことをしてきた過去があったり……



 第1巻は「はしがき」からはじまり、ファファードが主人公の「雪の女」


 グレイ・マウザーが主人公の「灰色の魔術」


 そして2人の主人公が出会う「凶運の都ランクマー」の三部からなっています。



 この小説は細かな描写が多く、格調高い表現にこだわる本格派のハイファンタジーなので、ラノベや文学作品の延長だと思って読むと、かなり苦戦するかもしれません。

 想像力を駆使して頭の中に場面を描き出す。そうしファンタジー小説の楽しさを味わえる作品だと思います。



 参考までに「はしがき」の最初の3行だけ書いておきます。それでどれだけ固い文章なのか察してください。


「この世から、時の深淵とそれ以上に不可思議な次元の深淵を隔て、ひたすらに夢見るもの──それは数かぎりない尖塔と髑髏と宝石、剣と魔法を擁する、年旧りたネーウォンの世界である」


(序文ではあるけれど)ここまで書き出しが重い作品もなかなかない。

 けれどずっとこんな調子で書かれているわけではないので、ご安心を……。ただ、ところどころにこうした奥行きある表現が見られますので、格調高いファンタジーを求めたい人にはおすすめです。

 登場人物のやりとりもおもしろく感じられると思いますよ。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 全部で5巻。

 ①『魔の都の二剣士』

 ②『死神と二剣士』

 ③『霧の中の二剣士』

 ④『妖魔と二剣士』

 ⑤『ランクマーの二剣士』

この小説を読み直して、自分が文章的に強い影響を受けたのはこの作品かなと思いました(以前、自分の小説を読まれた方にも言われた)。

かなり描写が細かく、「そこまで書くか」と思うくらい、事細かに場面が描写されたりします。

展開もハードで、硬派な内容となっています。表現や描写の固さは、ハイファンタジー世界の表現の証。読みづらいと言わず、その文章から作者の描きたい物語を汲み取ってほしいものです。

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