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新版『指輪物語』J・R・R・トールキン著。評論社

シリーズ名を<指輪物語>とすべきか悩みましたが、三部作(全9冊)全体を一冊の本のタイトルとして扱うことにしました。

「ファンタジー史上に輝く金字塔」そんなふうに帯に書かれているこの作品。2002年に映画化され、あらためて大きな物語作品だと感じさせてくれた。

 この作品が世に出たころ、イギリスやアメリカの若者のあいだでも、大きな反響があったらしいです。世界情勢にも照らし合わせていろいろな物議が交わされたんだとか……(その辺については割愛します)当時の若者は、文学や学問などに対する親密度が高かったとうかがわせます。


 さて、この指輪物語は第一部「旅の仲間」(4冊)、第二部「二つの塔」(3冊)、第三部「王の帰還」(2冊)の三部からなる長編ファンタジー。

 その特徴は「世界観」にあると思います。

 エルフ、ドワーフ、ホビット……そういったファンタジーに登場する種族。その原典になったとも言える作品。


 序章から「ホビットについて」、「パイプ草について」、「ホビット庄の社会秩序」、「指輪の発見について」、「ホビット庄に関する覚え書き」など、しょっぱなから世界観に関するうんちくが披露ひろうされ、そうしたファンタジー世界を文章から想像して、その世界の魅力を理解できない読者は、完全に置いてきぼりになるでしょう。

(そもそもファンタジー小説とは、異なる世界(ハイファンタジー)を想像することを楽しむ。というのが前提にあると言えるでしょう)


 しかも第1冊目はビルボ・バギンズの誕生日からはじまり、魔法使いガンダルフがフロドに語って聞かせる──指輪に関する過去の事柄や、この世界の基本的な情報について長々と語られます。

 1冊目の後半になってやっとフロドが庭師のサムと旅に出る。……といった具合なのですから。

 つぎつぎに予想外の展開が起こって、独特なキャラクター同士の楽しい会話がつづく──そんな内容ばかりのネット小説とはわけが違います。

 物語の中でも、この世界に関する歴史などがちょくちょく語られ、ときにはホビットの性質や、誰々さんの○○な話などが出たり、たびたび話が別の方向に広がっていきます。


 第1部後半の「カザド=ドゥムの橋」ではオークに追い立てられ、(炎の化け物の)バルログが登場したりする、主人公たちがピンチにおちいる場面など、多くの困難が待ち受ける冒険。


 冥王サウロン、オークの軍勢、トロール、さまざまな化け物。そうした危険に満ちた世界の中を、ホビットの主人公フロドは魔法使いガンダルフの導きで、指輪を廃棄する冒険の旅に出る。


 最後のほうでは人間族と冥王の軍勢との戦争がはじまったりしますが、主人公のフロドは指輪を捨てるために行動し、仲間のサムと共に火の山にあるという場所に向かう。

 しかし第1巻で語られたように、フロドも彼の父(養父)のように指輪の魔力に取りかれはじめ……




 映像化された作品ではありますが、もともとの小説を読み、そこから想像力を使ってファンタジー世界を感じるというのが、ただ映像を見るよりも奥深い世界を感じられるはず。


(ただ正直言うと、わたしはこの指輪物語の「~でした」を多用する書き方が苦手。

 あと、「」の終わりに「、」や「。」を使ってある、いまどき珍しい書籍です)

ファンタジーとは、その世界観を想像して楽しむ物語。

それを体現した物語作品です。

ギャグが満載なわけでも、コメディ路線でもないこの本がなぜ売れ、映画にまでなったか、それを理解しているのとしていないのでは、ファンタジーに対する考えはまるで違うものになります。

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