『折れた魔剣』ポール・アンダースン著。早川書房
この小説も古典的ファンタジーを代表する作品の1つ。
生々しい表現による、その世界観に注目してほしい作品。
この作品も北欧神話(ケルト神話)を題材にした小説です。
エルフ族に「取り換え子」として育てられたスカフロクと、(血縁的には)兄であるヴァルガルドを中心とした物語。
悪鬼や巨人、小人、侏儒など、ファンタジーで見慣れた言葉が数多く登場します。
魔女がオルム(ヴァルガルドの父)に対する復讐心をもち、神々について話す事柄なども、北欧神話やギリシャ神話に登場する神について語られたり、その内容も興味深いものがあります。
取り換え子をしたエルフはアサ神族の使いから折れた魔剣さずかり、その剣を直せるのは巨人ボルヴェルクだけだと説明する。──この剣はティルフィング(作中には明示されない)。この剣にはある逸話があります──
この物語には神々も登場しますが、あくまで人間の主人公たちを中心にした物語です。
ポール・アンダースンはSF作家としても多くの作品を書いています(むしろSF方面の作家らしい)。
五男だったオルムが家を出て、海賊行為によって財産や領地を獲得する。そうした序盤の話を生々しい文で書いた作品。新装版が再販され手に入れやすくなったようなので、一読されることをおすすめします。
ちなみに次に紹介する『エルリック・サーガ』の序文には、「ポール・アンダースンの『折れた魔剣』と『魔界の紋章』に」といった序文が書かれています。