女神と転生
死んでしまった健太は、生死を司る神マリンと出会い、転生する
「ここは、どこ?」
気がつくと、何やら神秘的な空間だった。それに甘い香りもする。
『コツッ、コツッ』
何かの足音が聞こえる。
誰か来る。
その音はどんどん近づいてくる。とても不安で仕方なかった。
「そこにいるのは、健太くん?健太くんなのよね」
というので僕は咄嗟に
「はい、健太ですけど。」
と急いで答えた。
『良かったやっと会えて』
そう言った途端眩い光と共に世界3代美人に入るであろう美貌を持った神々しい女神が現れた。
「初めまして。私はマリン、世界の生死を司る神ですわ。」
なんて美しんだろうと、しばらく見とれていると、生死の神と聞き僕は驚いた。
「僕、死んだんですか?」
と聞き返すと、マリンは
「ええ、あなたは死にました。その証拠にあなたの体を見てみなさい」
とマリンは鏡をむけてきた。するとそこには、髪だけ生えた骸骨が立っていたのです。それを見た健太は
「これが、僕。。。?」
と不思議そうにしていたのでマリンは
「あなたって面白い人なのね」
と笑いながら言った。
続けてマリンは言った。
「あなたが電車で轢かれて亡くなった後の映像があるんだけど見ますか?見ませんか?」
どうやら、死んだ人は死んだ後から、葬式が終わるまでの映像を見ることが出来るらしい。
「見たいです。」
考える前に言葉が出た。僕の場合急な死だったし、みんなもどうなったのか見たいと思ったからだ。
見たいと言った次の瞬間、霧のようなものが辺りを取り囲んだ。辺りが霧で一杯になると僕が死んだあの駅のホームが映し出された。
「健太、健太、起きろよ嘘だろ。。。」
この声には聞き覚えがある。そう、昇の声だ。
その視線の先には、血で真っ赤に染まった僕の亡骸だった。
すると映像が切りかわった。
「どうして、どうして」
悲しみのあまり泣け叫ぶ女性がいた。よく聞いてみると、この声にも聞き覚えがある。『母』だ。
「僕は。母さんに何もしてあげる事ができなかったんだ。」
今までに感じたことのない後悔と共に、ボロボロと大粒の涙が出てきた。
これ以上映像を見たところで、さらに後悔することを確信した僕は、マリンに
「もう、いいです。これ以上見ても悲しくなるだけなので」
と言った。
マリンは、「あら、そう。」と言って映像は止まり、景色はまた、神秘的な感じに変わり、僕の体から溢れ出していた涙も止まっていた。
「僕が死んだ後にこんな風になってたなんて。後悔してもしきれないです。」
と悲しげに言ったするとマリンは、
「何を言ってるの?もう前の人生には戻ることは出来ないけれど、まだこの先の新しい世界に転生することができるじゃないの。」
と言った。
この発言に僕は驚いた。転生なんて、アニメや漫画、ラノベでしか見たことないからだ。
「転生できるんですか?こんな僕でも?」
と聞いた
するとマリンは、
「転生すること自体には規定はないわ。」
僕は確信した。人生は一度きり。それは間違っていないが、一度人生が終わったとしても、新しい自分の体で第二の人生を歩むことが出来ると。
「さあ、貴方は何に転生するの?」
マリンは聞いてきた。
「いや、僕は。。。」
急に言われてもいきなり言われても、反応に困ってしまう。
マリンはこう言い出した。
「貴方、前回の人生であまりいい経験をしてこなかったようね。かわいそうで仕方ないわ。」
「ちょっとひどくないですか、僕だって精一杯生きてきたつもりなんですが。」
と、咄嗟に反論した。確かに僕は、人より人生は短いがそれなりに楽しんで生きてきたと自分で思っていた。続けてマリンが
「じゃあ貴方、初体験はしたのかしら?」と言った。
『ドキッ』
心臓の鼓動が速くなり、顔が赤くなった。
「そそそそそんなこととと聞いてどうするんですかぁ?」
ついつい早口になってしまった。なんてことを聞いてるんだ、こっちは思春期の高校生だぞ。そんなことを思った僕だったが、言い返すことができなかった。
「この反応は、まだ童貞のようね。」
と言ってきた。さっきまでの女神はどこに言ったんだろう。
「ど、童貞で何が悪いんですか。」
と僕はちょっとムッとした顔で言った。
「やっぱり童貞だったのね。」
マリンはクスクスと笑っていた。
「僕はハメられたんですね。」
と僕は口を尖らせて言った。マリンはいい女神だと思っていたのに、ちょっとショックだ。
「まあ、それが分かれば良かっただけだわ。」
マリンはまたクスクスと笑いながら言った。
するとマリンは
『転生の準備に入りましょう』
と言った。
僕はやっと転生できるのかと気持ちが高まった。
僕は新しい未来の選択をすることが大変なのを知らずに。
するとマリンが『転生契約書』と言うものを持ってきた。
「これから、貴方が転生する先を決めたいと思います。貴方は早くして死んでしまい且つ童貞であるためイケメン転生と言うものが可能です。」
と言った。
「童貞で何が悪いんですか。」
と言い返してしまった。
でも、童貞を強調されるのは引っかかるが、イケメン転生ってなんなのだろう。
「イケメン転生ってなんですか?」
僕はマリンに聞いてみた。するとマリンはいつものより真剣な顔でこう言った。
「イケメン転生とは、ざっくり言うとイケメンになる代わりにどこに飛ばされるかわからない。リスクはあるけど、その代わりその世界で一人だけの超絶イケメンになれるってことだわ。」
僕は正直その転生方法はあまり気に食わなかった。でも、前世でちやほやされるわけでもない普通の人生だった。僕は前世の生活に正直嫌気がさしていた。だからこそ僕は、前世と同じような生活を送るよりイケメンになって次の人生ではもっと楽しく生きたいと思った。そうなると僕の未来は一つしかない。
『僕、イケメンに転生したいです。』
と声を大きくして言った。そう言った瞬間契約書が光だし、僕の体は契約書の中に吸い込まれていった。
するとマリンは
「これで、転生されるわ。貴方の決断は決して間違っていない。また死んだら会いましょう。未来での貴方の人生がより良いものになりますように応援しているわ。」
とにこやか言った。
僕は転生するんだ。この先の未来、何があるかわからないけど僕は、今度こそ何があっても生き抜いてみせる。僕は心に固く決心した。