表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

1ヶ月の愛と3年の恋

作者: MIKA

あれは私にとって忘れられない恋愛だった。

心ときめく素晴らしい恋愛だったのか一方的な恋だったのか。。。


人の心とは、とても複雑だ。

素直に「好き」「愛してる」それだけで生きられれば幸せだろう。

でも、「守りたい」「悲しませたくない」いろんな”好き”という気持ちの延長が幸せの形を壊してしまう。



初めて人に愛され幸せだったはずの私(優衣)に、突然の別れが訪れる。


それは”裏切り”なのか、それとも”守られた”のか本当の真実はどっちか。


それは分かる日が来るのか。。

1ヶ月の愛と3年の恋による一人の女性の物語です。

※実話を元にしたフィクションです。

---------------------------------------------------------------------------


寒さが残る桜が咲く頃、中学2年が終わる。

好きだった男の子に4度も告白をしてきっぱりと「無理」と振られる私。

そりゃそうだ。好きな人がいることも、好きな人が誰なのかも知ってて告白してるから。

それでも、”いつか気持ちが変わる日が来るかもしれない”と信じていたからだ。


私は、小学6年で友達に嘘をつかれて初めて人を信じられなくなった。

勘違いや思い込みで、今までの時間が無かったかのように関係は壊れてしまった。

それから、中学に上がってもまた裏切られてしまった。

人は、純粋でキレイな心ばかりでは無いのだと痛感した。

友達が変わらなかったとしても、周りが囲んでしまえばその力に勝てなくなってしまう。

そういう世界なのだと知った。


苦しい…


辛い…


寂しい…


悲しい…



死にたい…



だけど、涙をこらえ歯を食いしばって耐えた。

死にたいほど辛いけど、心もボロボロでえぐられる気持ちだけど

それでも”いつか気持ちが変わる日が来るかもしれない”ただそれだけを信じたいから。


だから振られたけど、恋している間は楽しかったしもっと一緒に居たいと思った。

さすがにもう諦めよう!と決めた。


4月から3年生どんな年になるのかな~?

夢もないし、何をしたいのかも分からないなぁと呟いた。


----4月始業式


「あー美穂と同じクラスだー!」


「優衣も??やったぁー!」


小学5年生で転校してきてから、ずっと友達の美穂と一緒のクラスになれて

中学ラストの1年はワクワクしてきた。


「優衣ー!」


声をかけてきたのは最近仲良くなり始めた藍だった。


「どうしたの藍?」


「実はCOCO(ココ)で優衣を見て連絡したいっていう男友達がいるんだけど…紹介してもいいかな?」


「私??」


「うん!隣町の友達なんだけど優衣と話してみたいんだって!」


「別に話すのはいいけど…」


「ホント??ありがとう!なら連絡しておくね!」


COCOは最近流行ってるSNSで藍と繋がってる私を見つけたらしい。

でも、初めてだしどうしよう…


学校が終わって家に帰り、アイスを食べながらスマホをチェックした。

COCOから1件メッセージが届いていた。


「来てる…」


知らない人と連絡するなんて緊張するなぁ~。


「こんにちは!紹介してもらった拓です。よろしくね!」


拓っていうんだ…どうしようなんて返せばいいんだろう。

普通でいっか!


「こんにちは!優衣です。よろしくね!」


送っちゃった!

5秒もかからない速さで返事が返ってきた。

思わず「はやっ!」と声が出てしまった。


「藍とは仲いいの?」


「最近仲良くなったんだぁ!」


「そうなんだ!俺も最近仲良くなった!」


「そうなんだぁ!明るい子だよね~」


「そうだな!話しやすいし」


藍の話から始まって、好きな歌手や日常の話に変わっていった。

あんなに緊張していたのに、楽しくてあっという間に時間が過ぎた。

それから毎日メールをして1週間がたった時。


「なぁ優衣」



「どうしたの?」



「俺と付き合ってくれないか?」


…私と?

会ったこともないのに、付き合いたいって思ってくれたの?

拓とのメールはすごく楽しいし、幸せな時間だった。

今までいろんな人に裏切られて苦しいこともたくさんあったけど、生きててよかったと思えるほど楽しかった。

でも、まだ決めるには早い気がする。

どうしよう。。

会ったことがない拓より、拓を信じていいのかが決められなかった。

拓を信じる勇気がなかった。


「ごめんね、まだ早いかもしれない。時間がほしいな」


ごめん…ごめん拓。


「そっか!ならまた言うね!」


えっ?また言いうね?待ってくれるの?

せっかく告白してくれたのにごめんね。


「ありがとう」


このメールを返してから拓からの返事が返って来ることは無くなった。


どうして…?怒ったのかな?どうしよう。

またメール続けられると思ったのに、メールが来ることは無かった。



そして、5ヶ月が経ったある日

スマホに1件のメッセージが入った。

拓からだった。


拓!すぐにメールを開いた。


「久しぶり!元気か?」


「久しぶり!元気だよ!」


どうゆうこと?今までメール来なかったのに急に?

振っておいてどうして?なんて言える立場でもないからそんな勇気はなかった。


「よかった!」


またこの日から他愛もない会話が始まった。

よかった、嫌いになったわけじゃなかったんだ。


「優衣に今度会いてぇな~。もっと話したいこといっぱいあるなぁ」


「そうだね!会ってもっと話したいね♪」


もう会いたいほど楽しかった。


「なぁ優衣」



「ん?どうしたの?」



「俺と付き合ってくれないか?」




え…?またあの時と同じだ。時間が欲しいって言ったから?

そんなただ時間をあける意味じゃなかったのに…。

でも拓と一緒に居たい、もう離れたくない!そう思って今回は付き合うことに決めた。


「うん。お願いします!」


「本当に!?」


「うん!」


「やったー!」


「私でいいの?(笑)」


「優衣がいいんだよ」


「ありがとう」


「幸せだな」


「そうだね」


私と付き合って幸せなんて言ってくれた人なんていただろうか。

それから毎日連絡とって、ついに会える日が来た。

会ったこともない人と付き合うのはどうかという人もいるだろう。

でも、そんな事どうでもいいくらい今は幸せ。

拓が居てくれたらそれでいい。


最初のデートは公園デート。

二人の住む町の間にある公園へ自転車に乗って走った。

あまり人が通る場所でもないから二人でゆっくり話せるねって決めた場所。

緊張するなぁ…。



緊張でぼーっとしてたら、早く着いてしまった…!

近くのコンビニでも寄って飲み物買いに行こう!

自転車を公園に置き、歩いて5分ほどのコンビニに向かった。

すぐにコンビニに着き、飲み物を選んだ。


何がいいかな~。

のど乾いちゃうだろうから、2本くらい買った方がいいよね…。

1本はお茶にしよう!お茶に手を伸ばした。


ん?何か温かいぬくもりが…肩に触れる。


「優衣」


一気に心臓がバクバクして振り返る。


「拓…?」


緊張して声が震えた。


振り返った先には拓らしい青年が私の肩持って

自分の方に引き寄せてニコっと微笑んだ。


「おう」


ちょっと待って、そんな事されたらドキドキが止まらないじゃない。

どうしよう。緊張で動けない。。


「優衣、どうした?」


「ちょ、ちょっと緊張してて(照)」


拓は私の言葉を聞いて微笑んだ。


「俺もだよ。優衣、かわいいな」


/////////////(照)/////////////


照れている私を見て抱き寄せた。


「ずっと会いたかった」


私は縦に頷いた。


二人で飲み物を買い終えて、公園へ向かう。

拓も早く公園に着いたみたいで、丁度私がコンビニに歩いてく姿を見て追いかけてきたらしい。


公園に着いてベンチに座った。


「優衣に会いたくて仕方なかった~」


そう言ってニコっと微笑む。

反則だ!かっこよくて、笑うと可愛い。


「私も会いたかった」


そう言ってニコっと微笑むと笑みを浮かべて拓が立った。


「ブランコ乗ろう!」


「うん」


ブランコに乗って遊んだり、いつものようにたくさん話して笑って過ごした。

本当に生きててよかったって思えるほど幸せな時間だった。

時間はあっという間に過ぎて帰る時間になった。


「もう帰らなきゃね、楽しかった。ありがとう」


私は拓に微笑んで言った。

拓は何か考えてる顔してる、何を考えているのだろう。


「優衣、ちょっとこっち来て」


「え?どこ行くの?」


手を引っ張られて公園の死角に入った。


「どうしたの?」


「優衣」


首を傾げた私の首に手をまわしてスッと体を寄せ、耳元で囁いた。



「優衣、愛してる。


 誰にも渡さない。


 俺が幸せにするからな」



そう言って唇を重ねた。


//////////


私のファーストキスだった。


「じゃあまたな!」


キスを終えてそう言い私たちは解散した。


帰りの自転車で笑みがこぼれる。

幸せだったなぁ~ずっと拓と一緒に居たいな~


それから毎日のメールはさらに楽しくなり、毎日「好き」「愛してる」ばっかりだった。

時間があればまた公園に行き、会って帰る日々を過ごした。

とっても幸せな時間を毎日過ごした。

そしてある日、拓の親が出かけるからって家に来ないかと誘ってきた。

もちろん行く!と言って公園で待ち合わせして拓の家に向かった。


公園から10分くらいのところだった。


「ここが拓のおうち?」


「そうだよ」


「大きいね!素敵」


「そうか?(笑)」


そう言って私の手を引っ張り家の中に入った。


「おじゃまします」


「おう」


家の中も綺麗に整理整頓してあって綺麗な家だった。


「俺の部屋こっち」


そう言って2階へ案内してくれた。

拓の部屋も綺麗にされていた。


「へぇ~ここが拓のお部屋なんだぁ~」


とテンションが上がっていた私をグッと引き寄せて


「ここなら誰にも邪魔されない」


そう言っていつも以上のキスをした。

拓がいつも以上に激しくて合わせるのに必死だった。

そのまま少し疲れた私をベットへゆっくりと倒した。

拓の手が服の中に入っていく。


「///ちょっと…」


「我慢できない」


そう言って下着を外して私の胸に拓の手が触れた。

胸がドキドキしてもう何も考えれなくなった。

そのまま下に手が移動して感じたこともない経験をした。

でも拓は最後は我慢してくれた。私の為に。


あの後も何度もキスをした。

いつもは優しい拓だけど、キスをする時は意地悪な顔になる。

そんな拓に夢中だった。


「これからもずっと一生一緒にいような」


「うん!」


「そういえば、優衣はどこの高校行くの?」


「私、裁縫が好きだからファッションの勉強ができる北高校に行こうと思う」


「そうか、なら俺も北高校の普通科受ける!高校からは一緒だ!」


「本当!?」


「おう!優衣とずっと一緒に居てぇからな」


「ありがとう!嬉しい!」


そう言って時間が過ぎた。

高校も私を優先して決めてくれた拓が嬉しかった。


「じゃあ帰るね!」


そう言って公園まで送ってくれた拓に手を振り、家へ帰った。


数日後、明日はいよいよ拓の学校の運動会

見に行く約束をしていた。


「絶対見に行くね!」


「おう!」


「写真いっぱい撮るね」


「おう、頼んだぞ!」


「運動会終わった後会おう?」


「おう、終わったら行くな」


そう言って二人は明日を楽しみに寝た。


次の朝、出かける準備をして拓の学校へ急いだ。

運動会が始まってすぐに拓を見つけた。


拓の走る姿はかっこよかった。

自慢の彼氏だとそう思った。


こっちにニコっと微笑みながら手を振ってくれた。

嬉しくてたまらなかった。


運動会終わったら、会う約束をしていた公園で待ってた。


…2時間が過ぎた


拓が来ない。

どうしたんだろう。


連絡も来ない。

もう運動会は終わってるのに。



拓が来ない。。。。



もう待ちくたびれた私はベンチで寝てしまった。


「優衣」


「優衣」


誰かに起こされて目を開けると、拓がいた。


「拓!」


「ごめんな、遅くなって」


拓に笑顔はなかった。

何かあったんだと察した。


「大丈夫?」


「おう」


拓がそのまま私を公園の死角に連れていって

今までにないくらいキスをしてきた。

何かがあったとしか考えられないくらい。

今までの幸せいっぱいのキスでは無かった。

何か嫌な予感がする。

私をいっぱい感じてるように見えた。

もう最後かのようなそんなキスだった。


「拓?」


黙って何も言わない。


「拓、また会えるよね?」


「うん、、またな」


そう言って無理矢理作った笑顔で手を振ってきた。


不安でたまらなかった。

あんな拓見たことない。

帰りは心配でたまらなかった。


次の朝。

拓からメールが入った。



「優衣、ごめん。別れよう」



……え?どうして?やっぱり何かあったんじゃん。



「どうして?嫌だ」


「ごめん」


「なんでなの?」


「俺、母子家庭で親戚のおじさんがお父さん変わりなんだけどさ、

 恋愛したい気持ちは分かるけど、今は受験に集中しなさい。って

 言われたんだよ」


嘘。嘘だよ。

 

「いやだ!拓を失いたくない」


「優衣ごめんな」


私は涙が止まらなかった。

学校に行く時間だ。

美穂が家まで迎えに来てたから、拓の話をしながら学校に行った。

涙が止まらなくて、泣きながら話した。


「優衣それは今、拓君を支えてあげられるのは優衣しかいないんじゃないの?

 優衣は救われたんでしょ?じゃあ次は優衣の番じゃん!」


そう美穂は私に言ってくれた。

学校から帰ったら拓に言おう。絶対支えるからって。


一日学校では涙を耐えるつもりだった。

でも、家庭科の授業で涙が溢れてしまった。


「どうしたの?」


と先生が声をかけてくれたけど、答えられる状況じゃなかった。

すると先生は


「ごめんね、私が悪かったね」


と何かを察して合わせてくれた。


//////////////先生。。。


先生私の為に合わせてくれた。ありがとう。

先生の優しさにまた涙が止まらなくなった。



授業が全て終わり、家へ急いだ。

私、拓が母子家庭とか全然知らなかった。

ちゃんと拓を知らなかった。ごめんね、拓。

今度は私が支えてあげるからね!


家に着いて拓にメールをした。



「拓、私何も知らなくてごめんね。


 私、拓を支えるから別れたくない。


 受験が終わるまで我慢するから。


 高校からは一緒でしょ?全然私耐えられるから。


 だからお願い…別れないで」



泣きながらメールを打った。

返事はすぐに来た。


「ごめん、優衣と一緒に居られないんだ」


「どうして?」


「優衣に最低なことをした」


「なにしたの?」


「先輩と浮気をした」


「どうゆうこと?」


「運動会のあと遅かっただろ?先輩とキスしたんだ」


嘘…うそつき…

それが本当だとしても、拓と離れる事のほうが怖かった。


「私待ってるから」


「優衣、ごめんな。高校の見学会は行くからそれで会うのは最後だ」


「いやだ」


「ごめん」


ただただ泣き叫ぶしかなかった。



初めて心を許した人なのに…


初めてこんなに愛してくれる人に出会って、ずっと一緒って約束したのに…


まだ1ヶ月しか経ってないじゃない…


これからじゃん…


今までも時間は何だったの…夢だったの?…


ねぇ拓…


どうしてなの…


涙が枯れるまでひたすら泣いた。

あまりに突然で、何が起こってるか理解もできない。

拓に何があったのか、全く分からない。



そして心がボロボロになり、笑顔も失って

ご飯もほとんど食べなくなった。


そして、高校見学会当日になった。

昨日は美穂に背中を押された。


「最後ならちゃんと話して説得してきなさい。

 高校からは一緒じゃない」


そうだ!高校一緒になるんだった!

ちゃんと気持ちを伝えよう。

渡せなかった運動会の写真を持って高校見学会に行った。


学科別だからどこにいるか全然分からないなぁ~

とりあえず、今は高校見学会に集中しなきゃ。

私は、いろんなものを見て感動した。

夢とかなかったけど、この高校で勉強したいって思えるようになった。

拓と一緒に通えたら幸せだな~と思った。



― 見学会終了



拓どこだろう。いるのかな??


「優衣」


拓だ!声のする方へ振り向いた。



…拓?



拓は別人かと思うくらい人が変わっていた。

荒れたって感じの見た目になっていた。

まさに不良だった。



「拓どうしたの?」


「変わっただろ?(笑)」


「う、うん…」


「この通り、俺は変わっちまったんだ。この高校も受けない。」


「え?受けないの?」


「おう。だから今日が最後だ」


「そっか…。拓にこの前の運動会の写真持ってきたの」


「ありがとうな!」


「拓…」


「もう時間だ」


「拓!」


「ごめん、時間なんだ」


「拓…」


「ここに来る前、ある歌を聞いてきたんだ。

 今の俺らにぴったりな歌だ。聞いてみて?

 マタアイマショウだ。

 俺はさよならは言わねぇ。またな、優衣」


「拓…」


そのまま拓は手を振って悲しそうな顔で帰って行った。

拓の後ろ姿を見るのがこんなにも辛くて苦しいなんて。

もう息をするのも苦しいくらい苦しかった。


私は泣きながら帰った。

拓…拓…拓…

これが最後なんていやだよぉ…


帰ってからすぐに拓の言っていた歌を聞いた。

二人にぴったりすぎて涙が溢れて泣き崩れた。

涙が止まらなくて仕方がなかった。



それからも、めげることなく拓にメールを送った。

冷たいメールしか返って来なくなった。

これが拓じゃないことくらい分かってる。

でも苦しい。。辛い。。


学校では席替えがあり、優太という男子の隣になった。

顔はかっこいいけど、天然で素直な子だった。

いつも面白くてたくさん笑った。


「優衣、今日一緒に帰ろうぜ!」


「うん!いいよ」


私は仲のいい男友達も何人かできた。

優太達といると本当楽しかった。

ずっと笑って居られた。

中学最後の年がこんなにも楽しくなるなんて

過去の私に教えてあげたいくらいだった!



拓とは1週間1回が2週間1回になり

もう別れてから5カ月が経っていた。

少しずつメールの回数が減っていった。


ある日。あまりにも諦めきれない私に、拓からメールがきた。



「優衣、実は俺先輩と付き合うことになったんだ!

 だから優衣も俺なんかじゃなくいいやつと幸せになってくれ!」


「そっか!おめでとう。私はいいよ。」


拓の私のための嘘だと思った。


「ありがとう。優衣には幸せになってほしいんだよ」


「拓じゃなきゃヤダ」


「優衣、頼むよ」


「いつか私とまたやり直してくれる日は来る?」


「来るかもしれない」


…え?来るの!?


「いつ?」


すぐにいつか知りたかった。


「高2。高2なら戻れる」


「本当?」


「おう」


「じゃあ高2まで待つね!」


私はその言葉を信じてた。

なんの高2なのかは分からないけど、信じるしかなかった。

高2なら私に彼氏ができるだろう。前に進めるだろうという時間なのか、理由があるのか。。


そして、3月。中学を卒業。

いろんなことがあった中学生活だったな。

親友と呼べる友達が出来ても、裏切られて孤独で苦しい思いした。

死にたいほど苦しかった。

でも、この一年は違った。

拓と出会った。


たった1ヶ月の恋愛だったけど、1ヶ月以上の思い出だった。

こんなにも愛してくれる人に出会えた。

いつも私の味方で、拓さえいればいいって思えるほどの恋愛だった。


そして、優太とも最高の友達になれた。

拓と別れて元気も無くなって、苦しかった私に声をかけてくれた。

学校に行くのが初めて楽しいと思えた。

そんな最高の友達に会えて、、中学は悪くなかったなと思えた。

優太には感謝の気持ちでいっぱいだった。

本当にありがとう。


-4月。北高校に入学。

いよいよ、高校生になった。

私は変わりたい。

ファッションの勉強を一から勉強した。


あと1年。

あと1年の我慢だ。


私はファッションの勉強をしていくうちに服の趣味や髪形も変わった。

志穂っていう友達もできた。

何でも話せる大事な友達。


それでも、毎日拓を忘れる日なんてなかった。

毎日バイトを入れて気を紛らわした。

そして半年たった時、学校ですごく辛いことがあった。

クラスの友達と喧嘩をして、酷いことも言われた。


辛くて、拓が頭に浮かんだ。


気づいたら拓にメールしてた。


「拓…会いたい」


「俺んちおいで」


…え?…いいの?

拓は察したのだろう。。


珍しく拓が受け入れてくれた。

急いで拓に会いに行った。


拓の家に着いたら、拓は外で待ってた。

もう1年ぶりだった。拓は最後に会った時と変わらなかった。


「拓!」


「おう、優衣」


「ありがとう」


「元気か?優衣変わったな」


「まあまあかな。変わったかな?」


「おう。もっとかわいくなってるな」


///////拓///

拓に言われるといつもドキドキしてしまう。


「中に入れよ。聞くから」


「ありがとう」


そう言って玄関に入った瞬間…


後ろから私をぎゅっと抱きしめた。



「優衣、たくさん苦しい思いさせてごめんな」



拓は苦しそうにそう言った。


拓…涙が溢れ出た。


拓も苦しかったんだと思った。



そして拓の部屋に入った時、写真立てを見てまた涙が溢れてた。

写真立てには私が最後にあげた、運動会の写真だったから。


私の写真を今までずっと大事にしてくれていたことに、涙が溢れた。



それから拓と少し話を聞いてもらって、すっきりして帰ろうとしたとき

拓が何か言おうとしてる。どうしたのだろう。



「優衣、俺子供が出来たんだ。」


「え?どうゆうこと?」


「先輩との子供だ」


「そっか…」


…え?子供って…まだ高校生なのに?

拓は彼女と別れたって聞いていたのに、子供なんて…

でも、拓は幸せそうじゃない。

どうして?何があったの?


「優衣、またな。幸せになれよ」


またそんなこと言って…

でも今は触れないでくれって顔してる。

またいつか話を聞こう。今日はありがとう。


拓の家を出た。

拓は子供が出来たから私との関係を切ったのか?

先輩と何があったんだろう。

でも、もう子供がいるなら戻ることも会うこともできないな。

いろんな推測をしながら帰った。



それから半年が経って、高校2年生になった。

高校生活は割と楽しかった。

拓のことだけは毎日忘れなかった。


ん?拓からメールだ。



「優衣、

 

 実は子供がいたのは噓なんだ。


 先輩ともしっかり別れてきた。


 優衣、やっぱり俺…優衣がいいんだ。


 次は必ず幸せにするからやり直させてくれないか?」



嘘ってどうゆうこと?

というか本当に高2で戻るってどうゆう意味があったんだろう??

拓とはもう会えないと思った。苦しかった。

こんな日が来るなんて夢みたい!


「本当?」


「おう!優衣と一緒に居たいんだ」


「ありがとう!拓大好きだよ」


「俺も優衣が好きだ」



もう、拓がいてくれればそれでいいと思った。

それからまた、あの公園でよく会うようになった。

帰るときはいつも死角に行ってキスをして帰る。

そんな日々だった。


幸せ。

幸せなんだけどね、拓が心から幸せじゃないことくらい私には分かるんだ。


無理矢理元気を出して、無理矢理自分を保とうとしてる。

拓…何があなたにはあったの?

何がそんなに苦しいの?

拓が話してくれるまで待とうと思った。


そしていつものように手を振った。


「また明日」


明日は久しぶりのデートで出かける予定だった。



この明日が普通の明日ではないことは私は分からなかった。。。


次の日、公園で待ち合わせをして動物園に行った。

拓が何かおかしい。


「優衣、あれ見て!ゾウだぞ!」


「ほんとだ!おっきいね~」


「そうだな(笑)」


楽しそうなんだけど、そわそわして落ち着きがない。

どうしたんだろう。


「優衣、ちょっとトイレ行ってくるわ!先行ってて!」


「うん、分かった!」


…これ今日何回目だろう。

拓今日は、やたらとトイレに行く。

しかも戻ってくるのが遅い。


何してるんだろう。


次は追いかけてみよう。


「優衣、ごめん!またお腹痛いからトイレ行ってくるね!」


「うん、大丈夫?」


「おう、大丈夫だと思う!先行ってて!」


「分かった!」



拓が走り出した。


よし、行こう!


拓の後ろを追いかけた。

トイレも通り過ぎた。


…?


拓どこに行くのだろう。

結構遠いな…



「茜!ごめん、待たせたな!」



…茜?



「拓~遅いよ~」


「わりぃわりぃお腹痛くて


「大丈夫なの~(笑)?」


「大丈夫だよ(笑)」


「しょうがないな~」


「ごめんな」


…え…?

言葉を失った。


もう一人の彼女を連れていたから。


動物園で私とあの子両方を行き来してたの?

噓でしょ…


意味が分からない。


頭が爆発しそう。。。


怒り、悲しみが一気に押し寄せてきて…息ができない。


意味が分からない。


なにこれ…


なんの罰なの?



「拓?あの子泣いてるよ?」


茜という女の子が私を見て拓に教えた。

拓はこっちを見てびっくりしている。

でも、すぐに私を無視した。


…え?



拓?



私はもうパニックだった。

何が起きてるのか意味が分からなかった。


気づいたら、茜の目の前に私は走っていた。


「ち、ちょっと何この子~」


私は声を震わせながら話した。


「あなたは拓の何?」


「え?拓の彼女だけど。てかなんで拓を知ってるのよ!」


拓はめんどくさいって顔して離れた。


…え?どういうことなの?

彼女?


私は彼女じゃないの?


私はなんなの?



「私も彼女」


茜に言った。


「はあ?そんなわけないでしょ!」


「本当だよ!今日一緒に来たんだもん!」


「はあ?何よそれ拓!どうゆうことなのよ!」


拓はめんどくさそうに言った。


「そうゆうことだよ」


いやいや、意味が分からない。。。

どうゆうことなの?

え…?


もういい。

もう知らない。



「拓、どっちか選んで」



私は言った。絶対私なはず。

だって拓はずっと一緒って約束したんだもん。


こんな女な訳ない。



「優衣、ごめん」



……噓でしょ…

ねぇ嘘って言ってよ…


私はその場で泣き崩れた。



「拓!ありがとう!私だよね!」


茜がそう言った。



悔しい…

拓との時間は私の方が長いのに…

私の方が拓のこと分かってるもん…


なのに…


なのに…


どうして…



拓を信じてたのに



信じた私がダメだったの?



拓は浮気とか大っ嫌いな人なのに



どうして…



「優衣?優衣!どうしたの?」


たまたま動物園に居た美穂が声をかけてくれた。


「美穂…もう私ダメかもしれない」


「優衣!私がいるから大丈夫だからね」



私はただただ泣き崩れた。


「優衣、ちょっとここで待ってて」


そう言って美穂はどこかへ行った。

私は悲しくて、ただひたすら泣いた。



しばらくして、美穂は戻ってきて


「優衣、帰ろう」


そう言って私と帰ってくれた。

美穂が話始めた。


「優衣、あのね。

 さっき拓君と茜っていう女の子と話をしてきたの」


「え?そうなの?」


「うん、それでね。

 優衣、ちゃんと聞いてね」


「うん」


「びっくりするかもしれないけど、

 落ち着いて聞いてね」


「うん」


…どうゆうことだろう。



「優衣、あのね。

 茜っていう子以外に他にもう一人女がいる。

 拓君には」


…え?



「噓でしょ…」



「これは本当みたい。

 実はそのもう一人の女との間に子供がいるらしいの」



…え?


子供って本当だったの?



「でもね、その人は子供産んでからもね…他の男と遊び歩いているんだって。

 中学3年の時、優衣と別れてからその人と付き合ったんだけど、結構振り回されたみたい。

 それで、耐えられなくなって俺も女と遊ぶって決めたらしい。

 その事実を知ってて茜って女の子は会っていたみたいだよ」



「そうなの?」



「うん、知らなかったのは、優衣って存在が他にいたことらしい」



「そんな…私だけ何も知らなかったの?」


「そう。でも拓君は言ってた。

 優衣にはもう苦しませるわけにはいかないからって」



……拓……


私の為ってこと?


3股ってどうゆうこと?


意味が分からないよ…。


ずっとずっと信じてたのに…



「美穂、ありがとう」


「ううん。私にはこれくらいしか聞き出せなかったけどね」


「十分だよ」


「ありがとう」


「こちらこそありがとう」



そのまま、美穂は家まで送ってくれて

またねって手を振って帰った。


私は自分の部屋に入って考えた。



拓は先輩と運動会の日に何かがあった。


それで私と別れなければいけない状況になった。


それは私を救うためなのか。


先輩を救うためだったのか。



拓がずっと私との連絡取り合っていたのは

メールでしか繋がれない理由があった?



でも、これ以上仲良くいると

お互い離れられなくなるから?


だから冷たくしたの?


最後のあのキスはもう最後だと思ったから?


じゃあ、あの写真立ては私との唯一思い出の形だから?


どうして子供出来たこと言ったのにいないって嘘ついたの?


浮気が嫌いだった拓が子供の為に先輩と別れられなくて

自分を捨てたの?


女と遊ぶことで気を紛らわせたの?


なぜ私だけ知らなかったのか。


いや、私にだけは言えなかったのか。



拓は私の事きっと大事に思ってくれたんだ。

本当の事何も言えないけど、私と繋がってたこと。

あの高校1年に会った時、

「苦しませてごめんな」って言った時

もうすでに拓は苦しくて辛かったんだね。


今、付き合ってたのも

現実から逃げ出したかったから?


今日あったことは、拓がこれ以上私といると

離れられないと思ったからわざとだったの?


私が苦しいんででも、泣かせたとしても

これ以上泣かせるわけにはいかないと考えたから?


なんでいつも私のためなの?


拓のバカ…



でも、苦しいけど…辛くてどうしようもないけど…

拓とはもう離れよう。


最後はたったの2週間くらいで思い出作りだったのかな…

最後にあと1回でいい。

会って確認したいことがある。


私はさよならを言う覚悟を持って

拓にメールをした。


「最後に一度だけでいい。話がある」


「わかった。公園で待ってる」


そして公園へ向かった。


これが最後。


公園につくと拓がベンチで座って待っていた。


「拓!」


「おう…」


拓の顔を見たら涙がこぼれてきた。


「優衣…ごめんな」


「拓…この2週間は私を騙すためではなくて、

 あの時の好きという思いのままで傍にいてくれたんだよね?」


「おう、そうだな」


「それが分かればいい」


「優衣…」


「拓、今までありがとう。たくさん幸せにしてくれてあ…り…がとう…」


泣きながら言った。


「優衣…」


「拓。幸せになってね!」


無理矢理作った笑顔で私はその場から逃げた。

拓を見てると離れたくなくなるから。

苦しくてどうしようもなくなるから。


「優衣!ありがとうな」


拓…


涙が止まらなかった。


家に帰ってもずっと泣いていた。

涙が止まらなかった。


それから毎日拓を思いながら泣いた。

一緒になれなかったこと。

拓を救えなかったこと。


いろんな思いが毎日溢れた。


それから約1年がたった。

今だに毎日泣いている。


私はバイトへと向かった。

「先輩、今日も宜しくお願い致します」


「優衣ちゃんおはよう」


久しぶりに大好きな舞先輩とバイトだ!

嬉しくてテンションが上がった。


「優衣ちゃん、そろそろ彼氏作らないの?」


舞先輩は私のこと全部知ってる。

たくさん励ましてくれた先輩だ。


「私、拓以上の人に出会えないんです」


「でも優衣ちゃんの気持ちをずっと拓って子に使うのはもったいないよ~」


「いいんです。拓が今でも好きなんです」


「そうかぁ~。じゃあさ、この人いいな~とかいないの?」


「いいな~ですか?」


「そうそう!この人いいな~って人!」


「そういえば…」


「いるの?」


「お客さんに一人いいな~って人はいます」


「だれだれ?」


「よく先輩と話してる背の高い人です」


「あぁ~徹くんね~」


「徹っていうんですか?」


「なら、私紹介するよ!」


「え?いいんですか?」


「当たり前じゃん!優衣ちゃんが前に進めるなら!」


「ありがとうございます」


そのあと、舞先輩は徹って人のバイト先に遊びに行って

私のことを話して紹介してくた。


すぐにメールが来た。


「どうも、徹です。よろしくね」


「優衣です。よろしくお願いします」


「いつも見てくれてたなんてありがとう」


「優しそうな人だなって見てました」


「そう?ありがとう」


そう言ってメールをしてバイト先にも何度も来てくれて

デートもするようになった。


とっても優しくて落ち着いた人。


気づいたら拓を過去に出来ている自分がいた。

今は徹さんと笑って過ごしたいと思えるようになった。





今まで拓ありがとう…

拓を過去に出来るまで初めてメールしたあの日から、3年もかかっちゃったよ。

拓は今元気ですか?幸せになってるといいな!


どうか幸せでいてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ