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第八十六話 キバン市のダンジョン攻略中

僕達は三度目のダンジョン探索を開始した。

ダンジョンに入っていく人が多く、一部の人間だけが僕達の様子を窺っているだけなので、冷静に考えるとあまり目立っていなかった。



僕達は転移の魔法で十階のボス部屋のボスを倒して進んだ先ーー階段の所へ移動した。


一応姿は消していたが、冒険者とかち合うこともなく、無事に先に進むことが出来た。


……



さてダンジョンの攻略は順調に進んでいる。クロウが迷わず案内してくれるし、罠も察知できる。

魔物はまだ誰でも一人で倒すことができるから……余裕だ。


十五階まで進んだが、十階から上ではまだ極端に魔物の強さは変わらなかった。しかし一ヶ所で出現する魔物の数は増えて、難易度は上がっている。


「よしサクラ、一回戻って冒険者ギルドで何か依頼達成にならないか見に行こう。今ならまだ昼過ぎで、ギルドも空いてるだろうし」



「そうね、そろそろ一回は行こっか。いくらかは魔物の素材も手に入れてるしね」


普段通りの感じで僕達は冒険者ギルドに向かった。ちなみに帰還陣で戻った時に、帰還陣の所にいる冒険者ギルド職員には驚かれた。

十階以上まで到達するような見た目ではなかったようだ。


……

……


人が少ない冒険者ギルドで依頼票を確認しているが、意外に達成できる依頼があった。その依頼票を持ち受付で手続きをした。


納める魔物はそのまま持ってきているから、僕達は解体場に行ってほしいと言われた。

解体場には他の冒険者もいるが、これから解体されるだろう魔物が横たわっている。


……


「じゃあここに書かれている魔物を提出してくれ。……お前らみたいな若者が……幼い者がこんなに持ってくるって、本当なんだろうな?」



「まーね、これくらいならね。じゃあ並べていくよ」と言いながら僕達は一体ずつマジックバッグから取り出しているように見えるよう、魔物を取り出していった。


基本のオーク。これは十階以上では集団で出現したから沢山素材がある。

次にリザードマン。リザードマンも十階以上で多く出現した。

それから時々単独で出現したゴブリンやオーク、リザードマンソルジャー……まーー上位種だな。

他にもいくつか地上ではまだ見たことがなかった魔物も納めた。


……


「……すまん……疑った俺が馬鹿だった。お前らは時々現れる……最上位の冒険者になれる奴か……」



「時々? 子供でも強い人が出てくる? 最近いたのそういう子供が?」



「いや、最近ではないが……俺も聞いた話だからな。ヤバイ奴は幼いときからヤバイと俺の先輩が言ってたんだ。んーー今から……あの時だから……四十歳くらいになってるんじゃないか……」



「へーー、じゃあSSSランク冒険者とか?」



「いや、そこまで冒険者ランクが上がる前に、冒険者活動をしなくなったんだ」



「どうして? 何かあったの?」



「良くはわからないが、表舞台に出てこなくなったんだ。だから行方はわからんが……どこの国にいるかも分からんしな」



「ふーん、でもそこまで記憶に残るなんて……名前は何と言ったの?」



「ジャック……ジャックだな。名字は聞いたことがなかったはずだ……ただのジャック、おそらく平民だろう……」



「へーー、嘘をついていなければだね。まーー冒険者登録はしてたんでしょ?」



「そうだな。だから平民だろう。冒険者プレートに載るなら嘘もつけないしな」



……



魔物を提出に来たのに、ジャックと言う名の強い人の情報を手に入れた。それだけで終われば良かったが、ピップギルマスに捕まり、僕達は今ギルマスの部屋にいる。



……



「テメーら、言い訳を一つは聞いてやる。……昨日はダンジョンから帰って来たよな」



「うん、帰って来たね」



「で……今日は十五階まで行って帰って来たんだよな?」



「うんそうだね」ちょっと攻略スピードが早かったかな? でも一日五階くらいならそうでもないんじゃあないかな。



「どうやって一日で十五階まで攻略した……いや半日でどうやった?」



半日で十五階?

十五……


……

……


転移陣を使えばこれく……

……帰還陣……



あーー!

ああ……やってしまった……



「……えーと、ものすごい早さで走りました……ねーーサクラ……」

僕は念話で皆に相談しながら話だけは続けた。


「そうよギルマス! 私達の足は速いのよ!」


ギルマスの厳しい視線は変わらない。


「んなわけあるか! 足が速いだけで十五階まで半日で行けるか!」


……

……


そんな事を言われながらも足の速さでずっと誤魔化していたが、ソフィアが自分を犠牲に良い案を出してくれた。


ソフィアは姿を現し「私が連れて行ったんですよ。一度行ったことのある場所には一瞬で行けますから」



……ギルマスが一瞬止まった。



「……妖精か……初めて見るな……一瞬で移動だと! んーー妖精は……出来るのか? んーーそれでないとこの攻略の速さは……」



「これは内緒だからね。冒険者ギルドは冒険者の秘密は守るでしょ? これで僕達の秘密が漏れたら……ぶっとばすよ!」



「……ははははは……あーーわかっている……わかっているがテメーらの協力があれば他の奴らももっと攻略出来るんだがな……特に今一番進んでる奴らもな……ダンジョンが攻略出来る可能性が……」



「駄目よ! ラウールと同じ事を言うけど、塵にするわよ! ソフィアの事はこの国では内緒にしようと思ってたんだから……だけど疑問を持たれたままだと私達が悪い立場になりそうだから……だから教えたんだからね!」



打ち合わせ通りに僕達は話したが、後は冒険者ギルドが僕達の秘密を守ってくれるかだね。

もしも守れないなら……また僕が……





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