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第八十話 アルグリアン王国入国

噂を集めながら国境の門兵に身分証明を提示し、問題なく国境を超えた。

あ、ミスリルゴーレム馬も目立ったが問題にはならなかった。


アルグリアン王国では準男爵の身分は明かさず、冒険者として進むことにしている。ただこのミスリルゴーレム馬は僕達しか持っていない気がするから、わかる人はわかるかもしれないが……




国境を超えた先にはいくつか店があり、地図を掲示したり売ったりはしていない。

これは国防のためか?


だが案内所がありそこの人に聞いたが、王都が国の中心にあり、少しここから手前に離れてダンジョン都市があるそうだ 。



一先ず僕達はアルグリアン王国の地理を確認した。



……



アルグリアン王国の主要都市は王都とダンジョン都市だ。次点としていくつかの都市はあるが、先ずは王都方面に向かうことにした。



Aランク冒険者になるためには、大都市だけで受けることができる試験を突破しなければいけないらしい。

だから道中でランクアップポイントを上げていこうと、魔物は倒すし素材は集める。小さな町でも冒険者ギルドがあるならいくつかの依頼を達成していく。



難しい依頼はないが、僕達はBランクだからAランクの依頼まで受けられる。

しかしAランク前後の依頼が少なく、なかなか依頼達成ポイントが貯まらない。



だから王都の前にあるダンジョン都市、キバンでポイントを稼ぐ事にした。


ダンジョンに関する依頼は、緊急性が少ないが高ランク冒険者がいるときに達成してほしい依頼が掲示され続けているそうだ。


途中で魔物に襲われてピンチを救った冒険者からそういった情報を得た。



今は移動してもうすぐキバンにつく所だ。このまま少しキバンに拠点を置こうか?



「何かあれだけど、キバンでダンジョンに挑戦する? 情報はそこまで集まっていないけど、制覇したりしたら冒険者ランク試験を受けられそうじゃない?」



……



「……しあ……わせ……。ラウール……新婚旅行じゃあないけれど、あんな貴族の醜い争いもなく旅をしている今……幸せよ!」


……

ちょっと今の状況と返事が違う……

だけど僕も!



「ラウール? ラウール達は今は冒険者ランクを上げるんですよね。……ヤマトを呼ぶためにはまだもう少し時間がかかると思いますので、ダンジョンで時間をかけても良いと思いますよ。」


「我もソフィアと一緒! ラウール達は何か無理をしていたよ! 自重?とかではなくて違うんだよきっと貴族みたいな争いは!」



……んーーそうなんだろうな……

何だろうあの達成感の無さは……

まだヤマトみたいに人の大切な物を届ける依頼をしていた方が良いな……



「そうだねクロウ! 僕はどこまでいっても魔の森に籠っていた冒険者……。国? そんなものの中で動くのは窮屈だよ! ……ありがとう! 何か大昔の原点に戻った気持ちだよ。……やはり自由……それだね!」



「そうよラウール! 私もそれが言いたかったのよ! ただ言葉が出なかっただけよ。……うん、仕切り直しにダンジョンでも制覇しよっか! ……それくらいになるとヤマトも呼べるでしょ」



ヤマトか……

どうなんだろう?



「私が予測するには、ダンジョンの攻略にどれくらいの時間がかかるかはわかりません。でもだいたい短時間でダンジョンは攻略出来ませんよね? それであれば行くのが良いと思いますよ」



……

……


僕達は少し話し合ったが、結局は都市キバン……キバン市によってから王都に行くことにした。



当然キバンに到着する前には色々な町や村、都市もある。

時々盗賊にも出会ったが問題なく先に進む。


更にダンジョン都市キバンの前ではベタに……そう言ったら駄目なのだろうが、魔物に追い詰められている馬車に遭遇した。


おそらく護衛も充実していただろう馬車だが、オークの上位種でオーガ未満の戦闘力の魔物の集団に襲われていた。



……あれは……リザードマン? ……鑑定でもリザードマンだな。

普通のリザードマン単体ならそこまで驚異でもないが、組織だって行動しているな。



リザードマンは二十体はいる。

対する馬車の守りは生き残っている騎士三人と、冒険者が五人かな。

装備だけで考えるとそんな人員かな。



「ん……、馬車を逃がせ……」

「……おう……様……だけでも……」


「うおい! 気合いを入れろ! 生き残るぞ!」

「言われるまでもない!」

「……様は逃げて……」

「……諦めないぜ!」



「キシャーー!」と叫び声をあげてリザードマンが馬車に駆け寄っていく。


だが必死に馬車を守る者達……




あーー何とも言いがたい場面に……

だけどガイブンに僕らしくない仕打ちをしたらからか……人の命について考えてしまう。


僕達はいくら憎いからといって、あの対応で良かったのか?

僕達は何か後ろめたくなって……何か早く立ち去りたくて全てを中途半端にしてきたが……



「ラウール! 何か考えている事はわかるけど、一先ず助けましょ! これを見過ごすと……」



「……うん……うん、そうだね! この状況を何とかしてしまおう!」


そう話した僕達はリザードマンを倒してしまおうと馬車とリザードマンの間に割って入った。



「助けは必要ですか?」僕はそう馬車に向かって叫んだ……


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