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第六十三話 サーマンの助言

僕達はサーマンに昼食を奢り、移動手段の助言と店巡りに同行してもらえることになった。


この世界の常識的な移動方法を手に入れるつもりだ。

まだCランク冒険者だから贅沢なんだろうけど……



「理由は良く分かった。おまえらがプッチモ王子について移動する為に必要なんだな」



「そうなんだよサーマン! 何処かに良い馬車でもないかな? 後は馬車を引く生き物も紹介して欲しいな」



「ーー呼び捨てか……冒険者は気さくな感じがいいが、何か複雑だなお前らみたいな外見の奴に呼び捨てされるのは……」


そうだったね。一応僕は……僕達は前世、前前世からの記憶があるから、サーマン辺りは若造なんだけどね……


「ごめんね! だけど何か敬称をつけて呼ぶのもめんどくさくなっちゃってね。今後はどの人も……貴族以外はこの調子でいこうかなと……」



「……勝手にしろ……。まーー俺に任せろ! これでもSランク冒険者だからな! 後輩の面倒くらいみるさ!」



おう、やっぱり良い人だったな!

このまま頼もう。



サーマンはそう言うと僕達を連れて王都内を歩き出した。

行く先は職人街、色々な職人が店を出している、いわゆる専門店街かな。



……

……


サーマンに人との交渉術や、悪い人への対応方法についての説教を受けながら専門店街への道を進む……


精神年齢が下の人に説教されるなど……解せぬ……



「おう、ここが俺が進める馬車工房だ。馬車を作らせたら右に出るものはいないぞ。……提携している牧場もあるだろうから、馬もすぐに手にはいるだろう」



……そこなんだよね……

僕達が世話をしなければいけない生き物を飼うのは自信がない。

だけどゴーレムにするには……いや、いっそのことやっちゃう?



「おい! 入らないのか? 速い、楽な移動手段が欲しいんだろ?」


サーマンがそう声をかけてきたが、僕の頭の中で何かが変わった。


「サーマン、ちょっと聞きたいんだけど、ゴーレム馬車って目立つ?」



サーマンはこいつは何をいっているんだと言う目をしている。



「……目立つと言うがな……ゴーレム馬車など聞いたこともない。……ゴーレムが引く馬車か? ゴーレムを引く馬車か? 何だよゴーレム馬車って!」



んーー通じないか……



「ゴーレムが引く役割の馬車だよ! 馬型と決まった訳でもないけど、ゴーレムが引いて引き車を移動させるんだよ!」



……



「何だよそれ……」



無理だったか……じゃあこの世にはないね……



「ごめんね、じゃあ中に入ろうか!」



「……おう」


サーマンは適当に返事を返したんだろうな……



そんなこんなで馬車はここで注文することになった。多少の注文はしたが、完成後に魔道具化して改造するから、見た目だけ整っていたら良いよ……職人には失礼だろうが、自分達でも作れるし……買ったと言う事実だけあったら良いよ……ごめんなさい!



……

……



「次も俺の案内はいるか? 馬車を引く生き物がいる場所へ案内するが?」



んーーどうしようかな……

生き物は契約してしまうと手放し難いし……



「それは次の機会でもいいや。サーマンありがとう色々と……。サーマンはまだしばらくは王都にいるの?」



「ははっはーー、俺も王子から依頼を受けたからな! 旅の護衛の冒険者パーティーの内の一つが俺達【疾風怒濤】だ! お前らには話しても良いと言われてるからな! っと言うか、俺達の方が先に依頼されてるからな!」



「……へーー疾風怒濤は王家からも依頼がくるんだね! ちなみに馬車は?」



サーマンはにやりとした。



「もちろん俺達くらいになると自前だぜ! 馬車が一台あればマジックバッグに入りきらない物も運べるからな! それに移動しているときに誰かが休めると、夜営も楽になるしな! お前らはまだそんな苦労はないだろ?」



まーー今世ではまだないかな?

前世もなくても問題なかったな……誰かが起きていたら安全だったし、移動も困難な事もなかったしな。

……前前世は……僕がほとんど起きていて、苦労が絶えなかったが……



ブンブン!

頭を振り記憶を奥に追いやる。



「そうだね、まだ夜営するような依頼も受けてないしね。だけどこれからは必要になるだろうし、やっぱり自重は止めようかな……めんどくさいし!」



「はっ? 自重? お前らはまだまだ……実力を…………やっぱりお前らは何者なんだよ! ……見かけ通りに年齢ではないのか! 流石にその年で進化種だとしても……いくら才能があっても、あれで自重していないは……」



まーーそうなるよね。

サーマンは実際に戦っているし、あの場の出来事も見てるし……。自分達が勝てたとしても、その相手を僕達が更に圧倒して倒したし……



「まーー秘密だよ。……ただ僕達は十二歳。……何でも出来ると思っている年齢だし、自分が一番凄いと、才能があるから何で他の人にはわからないんだろう? と感じているただの少年だよ!」


……

……



「違うだろ……」



サーマンとはそんなやり取りをしたあとに別れた。今日付き合ってもらったお陰で色んな事を考えられた。


僕達は王子の依頼のために馬車を手に入れる。そして凄まじい性能に仕上げて、快適な護衛生活をするんだ!


サーマン達も一緒なら、初めて旅する所も安心だろう。何だかんだと信頼できる男……ベテランの冒険者……



さあ次は安心して旅立てるように、アルスとデルタをクロウから鍛えてもらわないとな!


ソフィアの安全も考えて、何か行動をしないといけないな。


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