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第五十八話 グダグダに召喚されたもの……

何か思考がグダグダになったが召喚魔法の準備は整った。


後は魔力を注ぎ、決まり文句を詠唱するだけだ。


ここは安全策で詠唱をする。

サクラとクロウにも詠唱文は覚えてもらった。


……

……


そして本番となり、僕達は詠唱を始めた。


「「「私は望む 私の魔力を糧にここに現れろ 私は望む 一緒に先に進む仲間を 私の大切な存在になるものよ ここに召喚されるのだ! 私のもとへ! 私の意思が届く……私の意思が伝わるものよ! ……召喚!」」」




……

……

……

……



僕達の目の前の魔方陣が光輝いた。

魔方陣の光は形を留めることが出来ず、真っ白に……目が開けられないほどに……光輝いている……



……

……

……

……



徐々に光は収束し、最後は電池がなくなったかのように光は消えた……



そして目の前には…………



移動に適した生物を望んだが、小さな体で小さな羽を持ち……十五センチほどの妖精が魔方陣の上に浮かんでいる。


ようやく見えたその顔は見覚えがある。

どこにでも美形はいるが、エルフのような見た目。

男性なのか女性なのかわからぬ美貌。

体は小さいが……



「ソフィア? 君はソフィア?」


この世にいるわけがない、あんなに小さいはずもないが似ている……



「ラウール! 似すぎているわよ! クロウ? クロウはどう感じるの?」



「あれはソフィアだよ! 我の感覚がそう言っているよ。だけど動かないね!」


……

……


目の前に浮いている妖精は何も話さない。

話さないどころかまだ目も開かない。



「もしもーし、そこの妖精さん! 僕の声が聞こえる。」


うんともすんとも言わない。

どうしようか僕が悩んでいると、頭に声が響いてきた。



『お久しぶりですラウール、サクラ。クロウと別れたのが一番記憶に新しいですね。見た目が変わっても魔力は変わらないため、魔力に引かれて召喚魔法に便乗しましたが上手くいきましたね。ですが、そこにいる見知らぬ人には知られたくありませんので、詳しくは後でお話します。先にどこか落ち着ける所に移動しましょう』



ソフィアだった。やはりソフィアだがプッチモ王子には知られたくないことだから、サクラが急いでソフィアを抱え僕達の横に連れてきた。



「……おい……ラウール、妖精? ……書物で存在は確認されているが……俺にもっとよく見せてくれないか?」



「今はダメだよ! つながりは感じるから召喚は成功だけど、この通り動かないからね。妖精さんが元気になって、更に妖精さんの許可が出たらね」



プッチモ王子は残念そうな顔をしたが、セバスチャンが何かを囁いている。



「うむ、我慢するから今後もよろしく頼む。そして俺にも今後何かを召喚してくれないか?」



よろしく頼むは召喚をしてほしいことか?



「召喚をよろしくって事?」



「いやいや、話し方が悪かったな。今後も面白いことや、滅多に見られないことをするときは見学させてほしいだけだぞ。召喚してもらうのは駄目だとわかっていても、一応は聞いてみただけだ! もしかしてやってもらえるかもしれないじゃないか!」



……王子がもしかしてって……普通なら断ることが出来ないのでは?



「言葉には気をつけてくださいよ王子様……。王族の貴方に期待された場合は、一般の人では断ることが出来ませんよ。まーー貴方は何故か僕達に優しいので、今もこんな態度でいさせてもらっていますが」


『ラウール早く帰りましょう。サクラやクロウとももっとお話をしたいですし、ヤマトについてもお知らせすることがありますから。』



『ヤマト? ヤマトも一緒に召喚出来るとか? それにソフィアのその姿……』



『ですから早く帰りましょう』



王子が何かを答えたが聞き逃した!



「ごめんなさいプッチモ王子! 上手く聞き取れませんでした!」


プッチモ王子はため息をついた。


「まーー帰るか……ラウール達も用事がすんだから戻るんだろ?」



「うん、魔方陣を消したら戻るよ。ちょっとだけ待っててね」



僕はそう言うと土を抉り、魔方陣を無くすように見せかけて、魔石や魔力混じりの土を亜空間収納に回収した。


後片付けを終えた僕達は王都に戻り、マイホームにソフィアを連れて帰った。



お屋敷ではアルスとデルタが運動をしていた。大分体は動いているように見える。

こんな短時間でクロウは何をしたのか?


僕達はアルス達に声をかけてからマイホームに入った。ソフィアももちろん一緒で、プッチモ王子と別れてからは今の体の動きを確かめるように動いている。


会話は最小限で、念話もしてこなかった。

一応は妖精の存在が書かれた文献はあるようなので、警戒しているのかな。



だが今回は驚いた。どちらかと言えばヤマトを想像していたと思ったんだけどね……


ちょっと頭に浮かんだソフィアが、想像していたように妖精……



ハイエルフだったはずのソフィアに何が起きたのか?

ヤマトについてはどんな話があるのか?



僕は期待と不安が入り交じりながら、皆と一緒のテーブルに位置どった。


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