第四十七話 王都ファンフートのマイホーム
僕達は今日……マイホームを手に入れる。
何と案内は……予定通りプッチモ王子とその執事だ。
今日は宿の前で待っているとプッチモ王子が馬車で拾ってくれると言う重役出勤……どこかのお偉いさんみたいな待遇だ。
生活用品は何も無いと言われているが、僕達は相談して宿を引き払った。
予定通り馬車に拾われて連れていかれる方向は、最近良く通うようになった方向へと進む。
それは以前であれば向かいたくない方向の、貴族街だった。
何でも貴族街には普段空き家となっている家が多いと言う。
王都の法衣貴族は普段からここで生活している。しかし他の町や都市を治めている貴族は、年に何度か程度しか王都の別宅を使用するだけである。更には爵位が低いもので無理に購入し結局は売りに出す者もいる。一代限りの爵位をもらった場合も、次の世代の子供が売り払うなど事もある。
したがって大貴族が所有する家以外は結構持ち主が変わるようだ。
そんな事情を聞いたり雑談したりし、一軒の家の前で馬車が止まった。
馬車から降りると「この度はご契約ありがとうございました」とベテランそうな男性商人が頭を下げた。
商人は名乗ったあとに説明を始めた。
「ここは以前はある地方の男爵様が住んでいました。しかしある事情で手放されました。家の中には何も残されておりませんので、お好みに改築してから住むことも可能です。それでは私はこの書類に名前を記入していただいたら帰ります」
そう簡単に説明した商人が取り出した用紙を読み、サインをした。
すると商人は僕に鍵を渡して、別れの挨拶をして去っていった。
簡単すぎやしませんか……
「悪いな、これ以上の説明は俺がするぜ! まーー執事に聞きながらだがな。頼むぞセバスチャン・ククルート!」
ここでセバスチャン!
名前は聞いていなかったが、セバス!
何時も王子を支え、時々耳元で何かをアドバイスしているのか囁く人……
「かしこまりました。私は補足だけ致しますので、約束通りプッチモ王子に案内はお任せいたします」
普通なら執事がやるんだろうけど、プッチモ王子だから良いのか?
「おう! それじゃあ何時までも門の前に俺達がいると何事かと思われるから、行くぞ!」
と王子の言葉で僕は鍵を開け家の敷地に入る。家家言っているが、僕から見ると大豪邸だ。これは維持する費用も高くつくのか?
「入ってすぐに聞くのもなんですが、生活する以外に幾らお金がかかるんでしょう?」
「通常であれば一年に一度は納税の必要がある。しかしラウール達が手放さない限りは税は受け取らない。税金も込みで報酬とする家だ。まーーこれは俺の依頼の報酬だけではなく、魔物討伐の報酬も含まれているようなもんだがな!」
何でも王家は叙爵だけでは不十分と考えていたようだ。しかし平民から騎士爵とした以上の報酬を与えると、僕達にやっかみが集中すると考えて、こういう機会を窺っていたそうだ。
「まーーそれは良いとして……でかすぎるよ! この広さで僕達だけが住むなんて、どれだけ無駄な部屋が出きるんだよ!」
目の前にある大豪邸を何に例えたらいいのだろう?
広い庭には噴水もあり、軽くなら運動も出来るようなスペースがある。
そして家……三階建てで一階分でも部屋数は十はあるのではないかと言う大きさ……
周りの家の方が立派ではあるが、僕達にとっては大きすぎる……
「まーまー、先に中に入ろうぜ! 俺も時々遊びに来るからな!」
「お断りします!」と言う僕達の言葉を無視して先に進んでいくプッチモ王子。
玄関の鍵は開いていないため、玄関で手招きしている。
僕はその姿を見て諦め、玄関の鍵を開けた。
そして家の中を確認すると……
玄関を開けると小部屋があり、その先に進むと大広間に繋がっていた。
大広間には上に登る階段が二つある。
一階は大広間と調理場、大浴室、食堂、来客用なのかいくつかの部屋がある。
二階は部屋だらけだ。
三階になると大きな部屋がいくつかあり、主な寝室にしたり、書斎にしたり出来そうな間取りとなっている。
おそらく二階は使用人が入る部屋かな。一つの階段は二階に登る専用になっている。
もう一つが三階まで登る専用だ。
……ここまで確認したが、改造することに決めた。
王子も間取りを確認したが、僕達の快適な生活のため、少し異常なものを見るかもしれないが黙っていてもらおう。
そしてここで素材を冒険者ギルドに納めた事を後悔した。
魔石や骨、革を残しておくと改造が楽だった。
魔力だけでも出来るが、材料があった方がやり易い。
よし、明日は王子の依頼は断って素材集めと家の改造だな!
「王子? おそらく止めても来る気だろうから言っておくけど、この家を大改造します!」
……
「職人を手配するか?」
「いえ、自分達で出来ます! 何せ田舎では何でもやらなければいけなかったから……。ただ、僕達が改造すると、普通ではないくらい変わります。……だから内緒で!」
……
「黙っていたらいいんだろ? 俺はわざわざ言わないぞ。ただ、その言い方なら……あとで正式に招待してくれよ!」
「わかっています……。だから明日ともしかすると明後日までお休みを下さい! 二日以内に完成させます!」
僕は気合いが入った!
サクラもクロウも気合いが入った顔だ。
前世での拠点、魔の森の家を魔改造したときに見せた顔だ!
「わかった! 明日明後日は休みとする!」
僕達は王子から許可が出たので、どんな感じにするか話し合うことにした。




