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第四十三話 プッチモ王子と依頼開始と

僕達は副ギルから受け取り証明書を貰い、その後に副ギルからもう一つ手渡されたものがあった。



僕達は受け取った手紙を確認すると、冒険者ギルドから出て王宮に向かった。

手紙の内容が、夜でなければこの七日間であれば何時でも訪ねてきてくれと書かれていたからだ。


面倒臭い事が嫌いな僕達は、先に済ませてしまおうと直ぐに行動した。


一応はどんな格好でも良いと書いていたので、今の冒険者スタイルでも文句は言われないだろう……王子からはだが……




しばらく歩くと、王宮の前に到着した。


王宮には国王と王妃やその子供達が住んでおり、プッチモ王子も勿論いる。僕達が訪ねて来る事は聞いていたようで、出入り口を守護する騎士が一度王宮に向かって歩いていく。


多少待たされる時間はあったが、僕達を案内してくれる人が現れた。

この人とは挨拶もそこそこに一室に案内された。


案内された部屋は王宮なだけあってセンスよくまとまった部屋だった。ここから僕達が移動するのではなく、王子がこの部屋に来るそうだ。



上品な紅茶やお菓子をいただきながら待つ。密偵らしき気配もあるが、悪いことはしていないから放置する。


他愛のない話をしながら何度かお茶とお菓子をお代わりした時にプッチモ王子が登場した。


一応僕達も貴族となったからには立って迎えた。流石に座ったまま「よっ!」はサクラに出来ても僕には出来ない……



軽く挨拶を交わし、護衛の騎士と執事以外が座ったところで、依頼についての話になった。



「じゃあ俺から直接説明するぞ! この前言った通り鍛えて欲しいことと護衛だ」



「それは受けたから勿論やるけど、プッチモ王子? プッチモ王子の歳は? 実力はどれくらいなの?」

すっかりステータスや戦い方見ただけで予想して、実際のプッチモ王子の実力がどの程度か聞くのを忘れていた。



「おうそうだったな! 俺はステータスを確認すると、平均では五百は越えるぞ。魔法は苦手だから……近接戦闘以外だと魔物に圧される時があるな。歳は勿論君達より上で……二十歳だ! 妻と子もいるぞ!」



……何だって! 流石王子、流石異世界……



「じゃあ王宮に妻も子もいるの? それとも別宅が?」



「王宮にいるぞ。流石に別居はしていない。学園を十五で卒業し、それから結婚したから、子もまだ三歳だぞ……妻に似て可愛いぞ!」



「へ~、じゃあ何時か会わせて下さいね!」



「娘は嫁にやらんぞ!」



「そんなの私が許さないわよ! 例えどんな相手でも渡さないし、重婚なんてさせないわよ! ふざけたこと言うと……どうなるかわかってる?」


王子は苦笑いだ。

王子の周りの人も怒ってはいない。

ん~心が広いのかな?



「まーーそれはおいておいて、続きの話をしてください」



「そうだな……どこまで話したかな? とりあえずは報酬の話をするか。俺が今回用意する報酬は金銭以外に、家を考えている!」



家……マイホームが手に入るのか? ファンフート王国に一生いるわけでないからもったいないかな……



「何も君達を縛るものではない。ただ騎士爵とはいえ貴族……宿暮らしも良いが、この国にいる間だけでも使ってくれ。そこまで大きい家ではないがな」



「ん~ファンフート王国から旅立つときはどうしたら良いの? 売却する?」



「……もしだが、戻ってくる気があるなら、俺に声をかけてくれ! 俺が管理を委託しておくから!」



条件が良いな……何か企みでも?


「僕達にとってはありがたいですが、何か思惑でも……」



「まー思惑はあるな! 君達は強い! 何かあった時にファンフート王国の味方になってほしいな! それが出来なくとも、敵にはならないでくれ……それが俺や……国の思惑だ!」



正直だな~。それが本当かはわからないが、まー良い条件だし、敢えて敵になることもないしな。



「それじゃあお願いします。その報酬を受け取り、サクラとの愛の巣にクロウも入れて住みます! 何時から移れますか?」



「これから指示を出すから、二~三日は待ってくれ。準備ができたら教える!」



「わかったよ、じゃあ依頼は今から開始で、どれくらいの頻度でプッチモ王子に会いに来たら良いの?」



「しばらくは毎日頼む! 俺が他の仕事で忙しい時は、騎士団を鍛えてくれたらありがたい! あとは、学園に通っている弟や妹にも魔法でも教えてくれたら嬉しいな!」



学園生かーー。青春……何か僕もサクラと通いたくなってくるな。

青春のある学生生活……良いかも!

機会があったら行こうかな?



「わかったよ! ちょっと学園にも興味が出てきたし、こちらからもよろしくお願いします」



王子はやや微笑んでいる。

僕が興味があることがわかったのか?



「おう! 俺の弟と妹は優秀だからな、色々学園生活について聞いてみたら良い。君達が学園に入るなら応援するし、依頼の日数も調整する! なんと言っても最低一年はファンフート王国にいることになるだろ!」



話す時間が長くなるにつれて、僕達の口調も砕けていった。周りの人が不快な表情もしないので、これでも良いのだろう。

クロウは少し言葉に気を付けさせるが、この短時間で仲良くなった気がする。


プッチモ王子は今はあまり年下扱いをしていないとも感じるし……




その後も依頼や学園、ファンフート王国についての話をしていた。僕達を引き留めておきたい気持ちが伝わってくる。


僕達のような戦力は貴重なようで、今のところは居心地が良い場所になっている。


そんな楽しい気分になりながら、今日は宿に戻ることになった。




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