第四十二話 冒険者ギルドに素材を売るよ
僕達は今日もまた冒険者ギルドにいる。少しは貴族からの接触があるのかと思っていたが、予想以上に平和だ。
貴族は今後僕達にどんな接触をしてくるかと想像していたら、もう解体場についていた。
解体場は綺麗にかたづけられ、おそらく今回で素材の売却は終了すると思われた。
今日は副ギルだけでホワイティアはいなかった。何故なのか確認すると、王都はもう大丈夫と判断され、ファンフート王国の冒険者ギルドの視察に再度旅立ったそうだ。旅立つ際には僕達が納める魔物が見たかったと悔しがっていたそうだが、出発を延期することも出来なかったらしい。
「さあ! 今日はいくらか出しても構わないぞ!」と副ギルが説明しだした。
何でも今ここに大勢のギルド職員がいるが、別にも素材を運び入れるための場所を確保したそうだ。
解体場に収まりきらないと判断されると、そちらに運ぶため、ここまでの大人数が今日は配置された。
だから僕達は遠慮なく魔物を出し始めた。
クロウだけに出させるのは目立つと思い、冒険者ギルドに来る前に別けていた。
「じゃあ僕から出すよ!」と僕は右奥、サクラが左奥、クロウは右手前と皆が隅に位置どった。
出した魔物は……
全長八メートル程のブラックワイバーン
全長二十メートルのシーサーペント、解体済み
コカトリス三匹
ビックボア十匹
ハーピー三十匹
サイレントウルフ五十匹
ポイズンフロッグ五匹
ハーピーの上位種二匹
キラービー無数(数えたくないクロウ)
ゴブリン無数
オーク無数
コボルト無数
ワーム系無数(様々な種類)
ラピット系無数
オークの上位種多数
ゴブリンの上位種多数
コボルトの上位種多数
オークキング三匹
ゴブリンキング三匹
ハーピークイーン一匹
レッドファング一匹
ワイバーン十匹
と所狭しと置いていく。
魔石も同様に全て並べていく。
途中で一旦冒険者ギルド職員のために休憩は挟んだ。その時に副ギルからは「ブラックドラゴンの買取り料金と一緒で、少し待ってくれな!」と言われていた。
流石にこの量で即金は求めていなかったので同意したが……王都の……冒険者ギルドはお金が一杯あるんだなと感じた場面だった。
この量を一気に買い取ってもお金は払いきれるんだろうな。
解体場が狭く感じるが、一応は置くスペースが今はあると感じてミスリルを出すことにした。
「副ギル! あとはミスリルを置いて最後にしますよ~!」
そう僕が叫ぶと、解体場の中央で指示を出していた副ギルが走ってきた。
サクラとクロウは素材を出し終わり、既に僕の横に待機している。
「クロウ……凄いなお前は……。そしてクロウの主人のお前らも凄いな……。ほんと……聞きたいことは山ほどあるが、答えてはくれないんだろ?」
「私達の事は内緒よ! でもこんなに素材を売るなら十分でしょ! 冒険者ギルドも儲けが凄いんじゃない!」
「そうだな! お前らには悪いが、冒険者ギルドも大儲けだ! 何せ保存状態も最高だからな! その方法が聞きたいがな……」
「内緒……出来る人が他にもいるんじゃないの? 私達は何とは言わないけど、見てわかるとおり魔法よこれ」
「スキルじゃなく魔法か! ん……確かにお前ら全員がレアなスキルを持っているのもおかしいしな……。ん~特殊魔法か……。アイテムボックス系のスキルもここまでの量は入らないからな……」
「へ~、スキルにそんなのもあるのね? 私達はスキルはよくわからないから、いつか教えて欲しいわね」
「おう良いぞ! と言っても、俺も忙しい時もあるからな……。あっ! お前らは王子の依頼を受けるんだから、王宮の誰かに教えてもらうか、学園に口利きしてもらえば良いんじゃないか?」
「学園? 王子の手紙にも書いてたけど……学園でスキルのことを学べるの?」
「おう! 学園は色々と教えてくれるぞ! 一応入学した年でクラス分けして、卒業まで同じ顔ぶれが近くにいるが……学びたい事がそれぞれ違うからな、単位制度と言ったらわかるか? それでスキルの授業を受けたら、俺よりも色々と教えてくれるぞ!」
へ~単位制度。それで最低一年は学園に通える時間が必要なのか。
「その顔は学園に興味があるな!」
「私はあるわよ! だけどラウールが他の女の子の目に入るのは嫌ね」
「グワッハハハーー! お前らは仲が良いからな! 流石に夫婦! ……だがなサクラ、それはラウールも同じだと思うぞ! 美男美女夫婦だからな! 」
流石に僕達は赤面した。
「そうだったわね……。ま~それなら一度は学園編に進んでも良いかもね」
「学園編?」副ギルは何の事だ?といった顔になっている。
「こっちの都合よ! ま~良いわ、良い情報だったわよ! 流石に副ギル! よっさすふくぎ……違うわね……」
脱線した会話となったが、ミスリルは忘れずに渡した。
ミスリルは副ギルが想像していたよりも多量で驚いていた。
「確かに魔物の素材とミスリルは受け取った。今から受け取った証明書を発行するから、もう少し待っていてくれ」
そうやってこの場から副ギルが離れた。
そこで僕達は学園も今世は良いかもしれないと話し込み、十四才までに機会があったら王子に頼んでみようと決めた。
そして、行き急ぐ必要もないので、飽きなければ年単位でファンフート王国を楽しんでも良いかな、と話していた。