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第三十八話 プッチモ王子のお願い

僕達は王子と共に壁の花ではないが部屋の隅に移動した。他にも話しかけたそうにしている人達はいたが、流石に王子が隣にいると近づいてこない。



王子の横には団長と呼ばれていた男が護衛についている。

まーー団長も僕達に興味があるのだろう。



「早速だけどクロウは何者……と、んーー何て生物? クロウは鳥? クロウみたいな魔物は見たことがないが……」



「我は魔物だよきっと! 魔物の卵から産まれたしね」



クロウ……この世界にあるかわからないよ、魔物の卵は……



「魔物の卵……。稀に手にはいると言うレアな……。そこから産まれたクロウを従えている君達も何者だ? 見た目通りの年齢で、その強さ……俺が君達の歳の頃は流石に……。って言うか、俺より強いな!」



「僕達の事はあまり話したくないんですけど、一寸だけなら……」



「ラウール? あれ以外なら話してもいいんじゃない? 私達が出来ること程度ならその内冒険者活動をしていたらばれるわよ。だったら、王子に後ろ楯になってもらったら?」



ん……後ろ楯か。

悪い王子ではなさそうだし、自ら戦場にも出るし……



「うん、ありがとうサクラ! 流石僕の妻! ある程度は話しておくよ。それでプッチモ王子……王子は悪い人ですか?」



「直接悪い人と聞かれたことはないが、俺は悪い人ではないと思うぞ! なー団長?」


団長は縦に頭を動かした。


じゃあ良いかな教えても……



「じゃあ……僕達は田舎で生活していました……」


と話し始めた。


僕達の設定は山奥にある名もなき集落。そこで世捨て人達が集まり生活していた。

そこで十二歳まで成長した。色々な特技を持つ人達に鍛えられ、ある程度の事なら何でも出来るようになった。


そしてクロウはそこで僕達が従魔とした。何の種族かは内緒だけど、クロウも何でも出来る魔物だった。


だからそろそろ見聞を広げようと思い、大きな町を目指した。

そこでたどり着いたのがファンフート王国でクレイダの町だった。


クレイダの町に入るために必要な身分証明は集落では聞いたこともなかったので、仮身分証明から、冒険者ギルドで正式に冒険者プレートを手にいれた。


そこで僕達が一寸目立ってしまい、クレイダ領なのだろう所の領主に目をつけられた。


だから僕達はクロスロード子爵の後ろ楯を得ようと思い、王都に移動してきた。幸いなのか、クロスロード子爵の子を助ける手助けをしていたため、面会日を待っていたところだった。


そうしたら色々とあってあの戦いに参加した。


そこまで話すとプッチモ王子が口を開いた。


「ふむ……。その集落は気になるが、ファンフート王国の恩恵がない場所であれば……、んーー。だが、まだ君達の得体は知れないな。その強さでこの国に害となる行動はしないか?」



「ラウールも私もそんなことはしないわよ! クロウ何て勝手に何処かの魔物も狩ってるんだから、王国を守ってると言ってもいいんじゃないの?」



プッチモ王子は少し驚いたようだ。



「クロウが勝手に? どんな魔物を狩っているんだ?」



どこまで話したらいいんだろう?

黒いワイバーンくらいなら良いのか?



「我はまだこの国からは出てないけど、ゴブリンから飛んでる魔物も倒してるよ! もちろんトカゲっぽい奴もね!」



クロウ……多少は誤魔化しているんだろうが、トカゲっぽいって……



「トカゲ……リザードマンか……」



プッチモ王子の独り言が続く。

そこにクロウが畳み掛けた。

何と亜空間収納からドラゴンの鱗を一つ取り出した。


ちょっと……でかいんだけど目立つよクロウ……



「「はーーー?」」



「これが今のところ一番強かったよ! まー我の敵にもならないくらいの強さだけどね! もちろんラウールとサクラも余裕過ぎるくらいだったよ! 魔物は大体どこでも同じような強さだよ!」



ほーー、良い情報だけど、こんなところで……



「ラウール! これくらいなら知られて良いよ! まだ遠慮してるでしょ!」



そこにサクラも話し出した。



「そうね、そうよね……ラウール、これくらい見せた方が良いのよきっと! 半端に隠すとあの領主みたいに絡まれるわ!」



プッチモ王子も我に返ってきた。



「クロウがどこから何を出したかは教えてくれないんだよな?」



「出した方法は内緒だけど、クロウが出した物は……ブラックドラゴンの鱗だよ……」



「はっ……ブラック……ロード種どころじゃ……。それは……この国にいたのか?」



「いたよ! 我が近づいたらいきなり襲ってきたから倒したよ! ここからは……我が飛んで三十分くらい?」



「飛ぶ速さがわからないが……それは冒険者ギルドに報告していないのか?」



「クロウが勝手にやってるから、僕達もわからない時があるんですよ。だけど敵対しないものにはこちらから何もしませんよ、僕達は……」



「ん……出身地が問題になるか……。ん~、ラウール達は暫く俺の側にいないか? 部下になれなどとは言わない。俺と知り合いなら、後ろ楯として十分だろ! その代わり、俺を鍛えてくれ! あとはついでにその間は護衛となってくれ! 冒険者ギルドには指名依頼として届ける」



んーー護衛依頼と鍛えるか……

それも良いかな。

サクラもクロウも良いと念話で伝えてきたし、受けるか。



「わかりました。依頼を出しておいてください。護衛と訓練でお願いしますね」



プッチモ王子は意外にも大喜びだった。隣にいる団長も何故か喜んでいる。


他にも僕達が王子と仲良くしている姿を見て喜んでいる貴族、悔しがっている貴族が別れた。



詳しい条件は冒険者ギルドを通して伝えると王子はこの場から離れた。



すると待ち構えていたかのように、クロスロード子爵とサーマン、ホワイティアが近づいてきた。




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