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第三十七話 戦勝式典開始

僕達はとうとう国王の前に立っている……そして跪く。その後はオモテヲアゲーイではないが、起立して国王の話を聞きく。


式典の司会者が滞りなく進行し、現在は国王ガンガリア・フォン・ファンフートが、直接勲章を授けている。

順番は僕達が一番最後と言われているが、一番功績が高かった事から中央の一番前に並んでいた。



そして暫くすると僕達が呼ばれ、国王の前に歩み始めた。

一歩進むごとに周囲の反応を感じとっているが、向ける視線や意識はここでも様々だ。授かる爵位はすでに聞かされているだろう貴族は、叙勲に対する妬みの感情はないが悪意は感じる。


自分で言うのもなんだが、この容姿が一つの原因になっている。もう一つがどうやって自分達の戦力に取り込むかも考えているだろう。



そんな想像をしていたが、事前に説明を受けた通りの手順で動けたと思う。



僕達が列に戻り、国王が最後に挨拶程度ではなく話し始めた。



「今回の魔物討伐では、魔物を倒す役割だけでなく、討伐の準備から関わった人々……助かった。……わが国、この王都の賑わいを取り戻すために働いた余の部下よ……手数をかけたな。皆の力があってこそ成し遂げられた出来事だ」


うん、準備は大切だね!


「そして王都以外から駆けつけてくれた冒険者諸君!ありがとう。中には傷ついた者もいると思う。国が責任をもって傷が癒えるまで面倒をみよう」


王都で見かけなかった人もいたものね。

だけど、いつまでも治らない傷の冒険者はどうするんだろう?

ロード種に吹き飛ばされた人達は大怪我や命を落とした人もいたような……


「残念ながら命を落とした者もいる……。その者の家族やパーティーへも責任をもって補償する。大怪我を負い今後は今までと同じ活動が出来ないものにも、王国が活躍の場を準備する……」


へーーー


「最後に……ロード種二体を討伐した冒険者パーティー、【黒猫】のラウール、サクラ、クロウについてだが……」


おっ僕達の事か……


「この者達には王国が身分を保証し騎士爵とした……。おそらく色々な思惑で接触する者がいるだろう。だが、爵位が高いからと一方的に自分達の陣営に引き込もうとする行為は許さぬ」


おっ言ってくれるね。


「更に、この者達の容姿に引かれる者もいるだろう。だが、この者達は夫婦だと言う。婚姻や妾になどと迫ることも許さん」


うん、僕達はお互いがいたら良いよ。


「そのために最低限騎士爵としたのだ。……この者達を怒らせ、王国の民に被害が出ることは望まぬ……。ロード種を単独で討伐出来る戦力とは争わないことだな」


そうだね……僕達だけで、王国を滅ぼす事は出来るだろうし……


「【黒猫】には今後も王国の危機の際には助力を願う。何も縛るための爵位ではないがな……。冒険者ギルドのホワイティアやバムーンからも話は聞いているからな」


バムーンもか!

何を言われたんだか……

ホワイティアからは、副ギルにしたことも伝わったんだろうな……



「それでは……今後もファンフート王国を頼む!」


そう国王が言い退室し、続いて偉い順に移動し始めた。


これから僕達は食事会に参加する事になっているので、係りの案内に従い初めに入った部屋に戻った。



そこで暫く待っていると、係りに案内されて大広間に入る。



大広間は立食パーティー形式なのか、椅子がなく料理が並んでいる。


すでに団長と呼ばれていた騎士やSランク冒険者のサーマンがいた。

他にも防衛戦に参加したであろう者達が談笑している。


僕達の入室に気がついた者達が振り向いたが、食事会が開始になるようで、司会者が話し始めた。


そしてある程度食事会の説明が終わった頃に、司会者が「プッチモ王子が到着致しました」と言った後に、プッチモ王子が入室してきた。


王子が軽く挨拶をしてから司会者が「それでは皆さん今日は楽しんでください」と会の開始が宣言された。



僕達は食事会と言われていたので、滅多に食べることが出来ないものを選ぼうと、料理が置かれたテーブルを回ろうとした…………が、王子が近づいてきた。



「おう! 君達に一番先に話がしたかったんだ。俺はプッチモ・フォン・ファンフート……一度戦場で名乗っているがよろしくな! プッチモで良いぞ!」



またか……誰が王子をそう呼べるのか……



「我わかったよ! プッチモ、よろしく!」



ここにいたよ……

クロウ……おとなしくしているって言ったのに……


そう、今回はクロウも褒章伝達式と食事会に参加している。

クロウが大きくないことや、クロウを一匹単独で何処かに置いておくのが不安だったらしい。

あれだけの戦闘力を持つ魔物は、主人と一緒にいさせるべきだと言う意見が出たようだ。

これはクロスロード子爵から聞いたから正しいだろう。



「おうおう、それで良いぞ。君達の従魔は面白いな! 強いし譲って欲しいくらいだ……何て言うと兄貴や親父に叱られるな!」


兄貴……親父……


「出来たら俺の部下になってもらえるとありがたいが、無理だろうな……?」



「我は無理ーー! ラウールとサクラからは離れないよ! 我の親だし」



「親?」



「クロウそこまでよ! 私達の事は話さないの! 私達は自由な冒険者活動をするのよ。暫くはファンフート王国を旅するのも良いけどね……ねっラウール!」



「そうだね。暫くは一つの国にいるのも良いと思ってるよ。折角爵位も頂いたしね。……それで、プッチモ王子は僕達に何か用事があるの?」



そう、僕達と王子の会話が始まった。




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