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第二十一話 返事を待ちながら依頼をこなす

僕達は副ギルと別れて宿に戻った。今日はあれくらいオークを倒しているから、報酬もそれなりには貰えるだろう。何時まで滞在することになるかわからないから、稼げる時に稼いでおこう。



だからこそ休むときはきちんと休む。僕達は夫婦で過ごす時間も大切だからね。



そんな考えがあり今日も何時ものように宿で一夜を過ごした、そう過ごした。




次の日も僕達は冒険者ギルドで依頼を受ける事にした。副ギルが不在だったので、何時もと勝手が違ったが……


長い列に並ぼうとしたら、僕達が並んだ列がなくなった。だから真っ直ぐに綺麗な受付さんに向かって歩いたが、顔がひきつっていた。


これはやっぱりあれだろう、一寸だけ失敗したと思った。だけど僕達が構わず声をかけるものだから、受付さんは何度も深呼吸して対応してくれた。


依頼は副ギルから暫くはオークを狩っていて欲しいと伝言があり、僕達も承諾した。


僕達が依頼を受けるために冒険者プレートを受付さんに渡すと、ランクを見て驚いたようだ。流石にこの依頼を受ける適正ランクではないからね。



だが僕達は副ギルから特別扱いを受けているので問題なく手続きは終わった。良いのかな冒険者ギルドが誰かを特別扱いして?

いいのか? 適正ランクもギルドの意向だから良いと思っておこう。



相変わらず遠巻きから観察されているが、僕達は王都の外に出た。




王都を出てからは昨日と同じ依頼のオーク討伐にに向かうが、どっちの方向に行ってもオークがいる。暫し考えたが他の冒険者の気配がない方向をクロウから教えてもらい、そっちの方向に進んだ。



オークがどんな集団になっているか興味も出てきたので、森の手前側ではなく奥に向かって進む。


手前にはオーク以外にもホーンラビットや獣の猪などがいた。

そこから奥に進むと熊や何処にでもいるゴブリン、フォレストウルフが出現した。

更に進むとようやくオークを見かけるようになった。

昨日はもっと手前にもオークが出現していたから、場所によっても魔物の分布に変化はあるようだ。



そこからは僕達の辺りにいる魔物を狩っていく。動物の肉も料理には使えるから手にいれる。狩のペースを上げると、おそらく普通のEランクの一日の成果には収まらない量の魔物を討伐したと思う。



今まで倒した魔物は通常のオークだが、今のところ上位種に出会っていない。

このくらいオークが現れるのであれば何処かに集落があり、上位種が指揮をしているだろう。

今日はそこまで探索するつもりで王都から出てはいない。

だけどどうしよう、上位種がいるか気になってきた。



「サクラは今日はどの程度のオークが狩れたら満足?」


「ん~今ならただ生活できる位でいいかな? 私は昔からあまりお金も使わなかったでしょ。特定の拠点がまだないから宿代くらい稼げてたらいいわよ」



ん~そうだった。サクラだけでなく僕達はあまりお金を使ってなかったんだ。魔の森には肉や野草、天然の野菜もあったしね。買う物といったら小麦粉や米、調味料位だったしな。買い物もヤマトが荷物運びの依頼を受ける時に、一緒に買ってきてとお願いしてたしね。


そう考えると、僕達は今何故ここまで頑張って稼ごうと思ってたのだろう。


「うん、サクラと話していたら僕の悩みは解決した。僕はこの世界の魔物の上位種を見てみたかったんだけど、そこまで急がなくてもいいね。ゆっくり旅をしながら、新たな発見を楽しんだらいいんだね。サクラ、ありがとう」


「何か一人で納得しているようだけど、どういたしまして。そうやって今後も話し合って生活していこうね!」


「我も仲間に入れて! 我も一緒に旅をするんだから! それでラウールは今日これから何をするの?」



「うん、今日はこの位で魔物討伐はやめて、森の探索をしようかなと考えているよ! どんな物があるのか皆で散歩しよう!」



僕のこの思い付きにサクラとクロウは賛成してくれた。クロウは得意の探索で珍しい物があった場合は教えてくれるそうだ。サクラは僕と一緒に歩いて、森の中がどうなっているか知れたら良いと言う。


何となく物騒な散歩にはなるが、邪魔をする魔物や獣を倒しながら森を観察した。



森の中には魔物もいるが、熊などの獣はゴブリンを倒せていると前世では聞いていた。

今世でも熊は強いのか考えていると、前の方から戦闘の気配を感じた。隠れて見てみると一匹の熊に三匹のゴブリンが攻撃を仕掛けていた。


ゴブリンは冒険者などが捨てたか落とした武器を装備しているようで、途中から折れた片手剣を一振り所持していた。

二匹のゴブリンは素手で熊を牽制し、時々抱きついて動きの邪魔をしている。

その隙に折れた片手剣でゴブリンが、熊の頭を力一杯叩いている。

熊も負けじとゴブリンを爪で引き裂き、時には噛みついてダメージを与えていた。



ゴブリンと言う弱い魔物の代名詞となっている魔物だが、流石は魔物だ。

人間と比べると体の基本能力が高い。知能はそこまで高くないから、攻撃は力押しになってしいるが目の前では熊を倒しきるところだ。



熊への止めは折れた片手剣だった。

折れているとはいえ力一杯傷口から刺し込んだゴブリンの一撃。それが熊の命を消す事になった。



僕達は今まで魔物の色んな姿を見てきたが、獣と戦っているゴブリンを見た事がなかった。


冒険者などはゴブリンを倒せるだろうが、これは一般人にとっては死活問題になる魔物だと再認識した。



その後の僕達は弱い魔物でも一般人を殺せるものだと再認識し、冒険者として初心に返ることが出来た。


ま~Eランクの駆け出し冒険者に初心も何も無いんだけどね。

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