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第十九話 ラウールは怒る

走った僕達は速く、冒険者ギルドにも直ぐに着いた。門での手続きが一番時間がかかったくらいだ。


僕はややイライラしながら冒険者ギルドに入った。そして今もガラガラな副ギルドマスターの受付に進んだ。


一歩進む毎に怒りからか、つい皆にも見えるように魔力を調整し、一段一段放出する魔力を増やしていく。威圧を与えながら副ギルドマスターの目を見て逸らさない。



僕の姿を捕らえた瞬間から副ギルドマスターの表情が固くなっていく。頬もピクツキ冷たそうな汗が流れている。


普段は足音も聞こえないように歩いているが、今は音が出るように歩いている。革なのにカツンと音がなるように。



カツン


副ギルドマスター以外も異様な雰囲気に気づき始めた。



カツン



高ランクと思われる冒険者が武器に手をかけた。



カツン



中堅くらいの冒険者も何か落ち着かないのかキョロキョロとし始めた。



カツン



既に幼い冒険者は恐慌状態だ。

可愛そうに震えている。



カツン



もうすぐ副ギルドマスターにたどり着く。



カツン



高ランク冒険者も耐えられなくなったのか直ぐに武器を抜ける体勢ではなく、何時でも逃げられるような姿勢となった。



カツン



動けないからか受付に並んでいた冒険者は立っていられなくなった。



カツン



副ギルドマスターの顔が真っ青になっている。


「さあ言い訳を聞きましょうか? 副ギルドマスター?」



僕は声を出すと共に魔力も放出した。

この声には恐怖の感情を呼び起こされるだろう。



そう簡単に考えていたが、副ギルドマスターの反応が無いから確認すると、座った姿勢のまま失神していた。



ヤバイ、やり過ぎた?

ちょっと焦って回りも見てみると地獄絵図だった……



初級冒険者だろう、粗相をしていた。

中級冒険者だろう、腰が抜けたかのように逃げたいが立つことが出来ず這いずり回っていた。

高ランク冒険者だろう。今にも逃げますと言う姿勢で僕たちを凝視していた。



直接魔力を当てられた副ギルドマスター以外にも被害が甚大だ!

だけど規約では冒険者ギルドから退去じはさせられないよね?

僕はただ歩いていただけだし。

ちょっと前世で比較するとSランクの魔物が動けなくなる程度に威圧は押さえたけど……



~~~~~



皆が復活するまで時間がかかった。

いち早く正常に戻った冒険者ギルドの職員が他の職員に指示をだし始めた。


その姿を見た高ランク冒険者も仲間に声をかけて中級冒険者から正気に戻し始めた。初級冒険者については職員が頑張って綺麗にしていた。



所は変わって僕達は今ギルドマスターの部屋にいる。何でも王都の冒険者ギルドマスターは王国中の冒険者ギルドのトップで、各地の冒険者ギルドの査察があり現在は王都にいないらしい。



だから今この冒険者ギルドで一番偉いのが、目の前で土下座している副ギルドマスターだった。



「すみませんでした。何かお気に触ることでもしてしまいましたか?」



「こちらもちょっとやり過ぎてしまいましたが、冒険者ギルドが不適正なランクの依頼を受けさせるのは駄目では? 僕達に死ねと?」



その言葉を聞いた副ギルドマスターは反省しながらも、内心で実力では適正でないかと言いたかったが言えなかった。

それに死ぬわけがないじゃないかと。あれが出来る冒険者がオーク程度に殺られるわけがないだろとは…………言えない。


「申し訳ありませんでした。これからは依頼の詳細を説明してから受けていただけるか確認します」


誠意のこもった謝罪を受けた。



「わかりました。僕もやり過ぎたので謝罪を受け入れます。だけど何故こうなったかの経緯だけは教えてね」



「わかってるぜ! すべてはバムーンが悪いんだぜ。手紙に貴族との絡みの事を書いてきたが、他に俺が興味を持つことまで書いてきやがった。何でもこの手紙を持った冒険者、お前らの事だが途轍もなく強いと思うと書いていた」



バムーンめ、面倒なことを。



「だから今後上手く後ろ楯が出来るように協力してやってくれと」



ほう、バムーンゴメン。



「だからランクが設定されているが、お前らが受けることの出来ない依頼を副ギルドマスター権限で受けることが出来るようにした。達成した暁には、箔が付くと思ってな!」



バムーンじゃなくてやっぱりこの副ギルドマスターが元凶じゃないか!

謝罪を受け入れたからもう怒らないけど。


「経緯はわかったから、次からは説明してよ。説明さえあれば高ランク依頼でもいいから。しばらくはお金も稼ごうと思っているからね」



「おう! そう言うことなら任せとけ。今回のオーク討伐が集団戦を想定しているからCランク以上が複数人で受ける依頼だ」



Cランク以上であれくらいか。



「だったらあれ以上でもいいよ。実力を示したら副ギルドマスター権限で高ランク依頼も斡旋してくれるんでしょ?」



「おうそんなに簡単に言えるのか? 一先ず今回の依頼の結果を見てからだな。どうだ? 五匹は倒してきたか?」


五匹? それくらいで良かったのか?



「ちょっと副ギル! ラウールを舐めないでよ! 私のラウールがそんな数で済ますわけないじゃない!」


サクラ……そこまで主張しなくてもいいんだよ。そんなに自重しないのと正直に話すのは違うよ。これは夜にでも話し合わないとな。



「さあ、何処に出したらいいの!」


「どこって、お前らは手ぶらだと思ってたが、マジックバックでも持っているのか? 強くても低ランク冒険者が持てる値段じゃないぞ!」



「そこは秘密よ! さあ、こんな部屋じゃあ入りきらないわ…………ではなくて解体されてたんだった。討伐証明部位はどこよ!」


「素材として全てが使えるが、討伐証明部位はオークも右耳でいいぞ!」



それを聞いたサクラは僕達に持っている全ての右耳を出してと言った。

既にサクラはオークの毛皮を床に敷き右耳を出している。


僕とクロウも了承し全ての右耳を出した。

ついクロウが何もない空間から右耳を出している事を意識しないで。



「おい、ちょっと聞きたいことがある!」


副ギルドマスターの声が部屋に響いた。

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