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第十七話 王都ファンフートへ

装備を迷っていた僕達は結局手元に残った盗賊のお宝から気になる物を選ぶことにした。


あまりクレイダの町に居ても良いことが無さそうなので直ぐに出発することにした。



道中街道をそれて身を潜めて装備品の手入れというか魔法で改造した。


材料はありきたりな鉄として、僕は片手剣にしサクラは相変わらずの大鎌にした。形も一般的な何処にでもある物にしたがこの世界ではどうだろう?


防具も鎧は堅苦しいので一般的なローブを身に纏う。魔法で防御力を上げたら完成だ。


何処から見ても怪しい黒ローブの冒険者が出来上がった。



そんな装備で首都ファンフートに向かっているが特にすれ違った人達に何か怪しまれる事もなく移動できた。


意外にこの世界基準ではこの程度では怪しくないようだ。



装備を整えたあとは街道も逸れず先に進んだ。途中でホーンラビットやゴブリンに出会ったがサクラが試し切りと言いながら「私の大鎌の餌食になって!」とあっさりと倒していく。



クロウは薬草など自然にある採取品を集め、移動だけでも小銭は稼げていると思う。



クレイダの隣町ラースンを過ぎ王都に近づいてきた。



流石に王都に近くなるにつれ冒険者の姿や騎士、商人、一般人と思われる人が多く見られるようになってくる。


勿論貴族もいるのだろう。紋章入りの馬車が何台か動いていた。



やっぱり人が多いな~、と思いながら先に進むと立派な城壁が見えてくる。

これならある程度の魔物の攻撃を防げるだろうと思わせる壁だ。



中に進もうとする人の波はいくつかに別れており、僕達は出来るだけ同じような姿に見える人のいる列に並んだ。


その列は冒険者の姿で若手が多く並んでいる所だった。


意外にも列の進みが早く、手荷物が少ないからかと回りを見渡した。


余り此処まで注目を浴びないと思っていたのだが、何人かとは目があってしまった。

特にサクラの大鎌は担いだままだったので目立っていた。


やはり王都に入る場合は大鎌は目立つか?



そんなことを考えていると僕達の順番が来た。



「身分証明を見せて」


平坦な口調で話しかけられる。

その言葉に僕達は冒険者プレートを見せた。


それだけで先に進むことは許可されたが、大鎌は何かで包んで欲しいと話された。

刃物を抜き身で持ち運ぶことは良いことではないらしい。


そこでサクラは高速で包帯を巻くように長い布を巻き付けた。

勿論盗賊のお宝に一緒にあった物だ。



そこまで大きな問題もなく僕達は王都に入ることができた。だがここは人が多くいる。門番に冒険者ギルドの場所を聞き忘れた為、どちらに進むべきか迷ってしまった。



それを解決したのがクロウだった。

歩いている人の姿を観察し、冒険者らしき人が進んでいる方向を探知し、念のため人を鑑定していたようだ。行くべき方向を示してくれた。



僕達はクロウに導かれるまま先に進むと大きな剣と盾が描かれている建物を発見した。

剣と盾の紋章だけが大きいのではなく、建物も大きい。



確実に冒険者ギルドだと思い、オープンな入り口の先に進んだ。入り口はどこかの西部劇に出てくるような形だった。


流石に大きな建物に大勢の人が出入りしているからか、直ぐに注目されることはなかった。

入ってくる人を観察している人以外は各々の目的にあった行動をしているようだ。



さて、僕達は何処の受付に並ぶべきか観察していると、ここでもほとんどの人が並んでいない受付があった。

そこの受付さんは筋肉もりもりな男で、ギルド職員と言われるより冒険者と言われた方が似合っている男だった。



僕達は早く用事がすませられることを優先し、筋肉もりもりさんに声をかけた。


「こんにちわ。今日はクレイダの町のギルマスから預かった書状を持ってきたのだけど、この受付で手続きは出来ますか?」


そう聞くと目の前の男はいい笑顔を向けてきた。


「大丈夫だぜ! 俺の所は何でも受け付けている! 俺の筋肉を作るのと同じくらいには事務作業も鍛えているからな~!」


おう、筋肉はどうでもいいよ。


「じゃあお願いします」と書状を手渡した。



僕達から渡された書状を読んだ男は幾分不思議そうな顔をしたが、書いている内容に心当たりがあるのか質問をしてきた。


「君達が本当に盗賊を倒したのか? 書いてある内容と君達の外見の特徴は合っているが」



「そうですよ。あの貴族さんが危ない時に起きた出来事だよ」



「流石に貴族さんはないだろう……。だが、それだけでいいか。ではこの事を伝えておく。返事は何日かかかると思うぜ! 何か依頼でも受けたらどうだ? 俺の所に持ってきたら直ぐに手続きができるぜ!」


気になる言葉だ。



「何故彼方の所はこんなに空いているんですか?」



ニヤッとした男は即答した。



「そりゃ~俺が冒険者ならこんな男の所に並ぶよりなら綺麗な女の所に並ぶぜ! 君達が珍しいんだぞ? 後は俺が副ギルドマスターだ! 俺が口を開くと小言に聞こえるんだろうな!」



副ギルドマスターか。

偉い人って分かっていると並びたくないね。



「じゃあ次からは遠慮しようかな。僕達も他の列に並ぼうかな?」


「ラウール、それはダメよ! この筋肉マッチョで我慢しなさい!」


サクラ……


「はい」



「おう、尻に敷かれてるな! だが、それが夫婦円満の秘訣だ!」


夫婦と初めて言われたかも。

ちょっと嬉しいな! 何か雰囲気が伝わったのかな。



「バムーンが書いてたぜ! 夫婦の冒険者がとな。これで本物だと証明したようなものだな! 流石にこの書状を盗んで内容を見て騙そうとするなら、初めから夫婦と名乗ると思うしな!」



意外に頭を使ったのか?

頭まで筋肉ではないようだ…………なんて副ギルドマスターだな流石に。



そのままの流れで僕達に依頼を紹介してくれるようだ。このまだEランクの僕達に……

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