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第百六十六話 ダイヤ・ハルトビ家


ダイヤが貴族になり月日が過ぎるのが早く感じる。今日は去年と一緒でラウールたちがいなくなった。今年も誕生日パーティー? だと。

『探さないでください。一週間で帰ります』と書かれた書き置きを残し何処かに行った。



去年も何処かに消えたが、今年は十六歳になるんだよな。何かあの人たちが同じ年とは思えないが、何時でも熱い夫婦だ。



新年を迎える前に思うが、この数ヵ月は忙しかった……


俺はそこまで政治に参加はしていないが、ダイヤは凄い……



初めにやったのが税率の変更だった。

今までの税率より低く、だが細かな税制を導入した。更にその後はダイヤ自らが商品を考えて、商人ギルドに作り方や遊び方を伝えた。……何かラウールたちが先に売り込んだ物もあったようだが……


で、クロウやヤマトの暇潰しと称した領地の拡大。

「暇だ!」と言ったヤマトに軽く将来設計を話したダイヤだったが、予想以上にやらかされたようだ。


クロウは今までのラカント村の範囲の三倍ほどに防壁を築いた。

ヤマトはそれに対抗し、ラカント村の周囲の森を開拓した。木を伐り土を耕し、整地し、皆が一目見てわかるような区切りをつけた。

更に対抗意識を燃やしたクロウが何故かダンジョンを発見し…………発見出来るものなのか? …………そのダンジョンまでの道を作った。


更に更に対抗したヤマトが、ダンジョンの入り口をラカント村から見える所に作った。


――ダンジョンの入り口って変えれるのか?



更に更に更に対抗したラウールとサクラが、「村には愛の巣が必要!」と、集合住宅や一軒家を建て続けた。



――どうやって作ってるんだ?



それに更に対抗したソフィア……。何か微笑ましいものを見るように、そこらかしこに精霊の光が見えるようになった




~~~~~



「ダイヤ? これだけ発展したのなら、私を貰っても良いのではありませんか?」



「マーリン……。発展はしたけど、まだ人口がね……」



「人……? 通常の町以上の……都市に凄まじい早さで近づいている村なのにですか?」



「……俺は何もやってない!」



「ダイヤはね。でも側にいた人がね……」



「……だから俺の力で何かを成さないと!」



「――一緒にいる、近くにいる人の力は、あなたの力と同じよ! あなたを嫌いなら、あなたの良となる事はしないわよ!」



「だけど……、思っていた以上に……」



「黒猫が?」



「……うん、師匠たちが……」



俺がいるにも関わらずイチャイチャしている。俺は勇者……。ダイヤは転生者……。勇者は……、いや、俺はジャックを……


何も考えないでおこう。



そう思うとダイヤは立派に貴族の役割をこなしている。長く爵位を持つ者もここまでは出来ないだろう。



あんな会話をしているダイヤはもうすぐ結婚するだろうな。


そんな時に俺はこの村に出来た冒険者ギルドである情報を手に入れてしまった。



ものすごく近いところだが、数村離れた所がゴブリンの群れに襲われたそうだ。そこにはもちろんゴブリンが大量にいたが、何か人間にもわかる言葉を話していたゴブリンもいたそうだ。

そのゴブリンがルビック様と呼ばれていたとソフィアに教えると、「ルビックはジャックの四天王ですよ」と言われた。



この情報が本当であれば、ラカント村のそばにジャックの……ピックイの……俺の仇に近づいている。相手が勝手に近づいて来るなら俺は――


だからこそダイヤ・ハルトビにこの事を言うか迷った。


初めから俺に協力すると言ったダイヤだが、ここまで想像以上に上手くいっている政治を止めてまで連れ出せるか……



そんな悩みも小さなことと言うようにラウールたちがまた張り切り出した。



「僕はダンジョンの入り口がそこにあるなら……防壁を二重にしてでもラカント村をもっと大きな範囲で囲むべきだと思う!」


「私はラウールの言う通りにやるわよ!」


「我は何する!?」


「俺もやるぜ!」


「私は別を担当ですね」



そんなただ会話しているだけだと思ったが、ラウールたちには常識がなかった。



――次の日にはラカント村の範囲がトランバー都位の広さに変わっていた。何故か無人の家や畑まで作成されて……




~~~~~



俺はまだダイヤに何も言えないでいる。あれからまた忙しくなったからだ。


ダイヤ・ハルトビ男爵領は人口増大に歯止めがかからない状況になっていた。


何故かジルアキラン教国以外の、北の小国群からも人が流れ、帝国や共和国、俺の故郷のタラトン王国からも人が入り始めた。


いくら移動する時間があったとはいえ、何故こんなに多くの人が来たんだ?



――ある街道で――



「ラウール師匠たちは元気かな?」

「ラカント村は理想郷だ!」

「クロウ師匠がこの前来てたよ。今はラカント村で頑張ってるって!」

「師匠たちが頑張ってる!?」

「「「やばくない~」」」

「「「ヤバイヤバイ!」」」

「おい、その話は何だ?」


「あ~、それはね………………」



こんな会話がその辺でされていることをセラミヤは知らない……



~~~~~




今日こそは言い出さないとな。

俺はジャックの影を追う!





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