表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/167

第百六十五話 ダイヤは貴族


――トランバー侯爵邸――



「マーリン、あの者たちはどうだった?」


「お父様、ラウールさんは光の精霊をおそらく百以上は連れて歩いていました」


「ふむ、百……」


「それにラウールさんの肩にいたクロウさん、鳥ですが、暇だと言って強固な防壁を築いていました。ラカント村は広くなりました」


「鳥……従魔か。だが聞いたことがないな」


「それにソフィアさんは妖精で、ヤマトさんは猫でした」


「ん~、それも従魔か……」


「サクラさんはダイヤさんとセラミヤさんが一緒に戦っても勝てませんね。訓練ですので正確な戦闘力はわかりませんが……」


「あの女の子もか……。俺が得た情報だとセラミヤは勇者だぞ」


「ええ! それは初めて知りました……。勇者……。東大陸では英雄と呼ばれますが、人を越えた存在の……」


「そうだ。その勇者、光の勇者と聞いた。その勇者と最近肩を並べて戦っていたのがダイヤだ。ダイヤは魔法ではセラミヤを越えるようだ」


「あのダイヤさんの魔法ですね。その魔法も簡単にサクラさんから防がれて、いえ潰されていました……」


「やはり東大陸から来た冒険者パーティーの黒猫は情報以上だな。それでラカントはどう評価した?」


「……ラウールさんたちには敵対するなと……。ダイヤさんとセラミヤさんはまだ今はどうにかなる。だがいずれは俺を越えていく……そう評価していました」


「ん~。そうか、そうするとダイヤにはどの爵位を与えるべきか……。俺から決めることが出来るのは男爵までだがな。だが、ダイヤはまだ教団にとって何も成してはいない。お前や聖女を守ったが……」


「そうですわね……。ですがお父様、あの者たちは善です。善の者で力があるのでしたら教皇様も御認めになられるのでは?」


「そうだな。教皇様は一部の性根の悪い公爵連中とは違うからな」


「でしたら私が嫁いで行けるような爵位をお願い致しますわ。私はダイヤさんを好きになったようです。あの方の前に行くとドキドキと……」


「――何! いくら他の貴族家から言い寄られても、俺がいくら進めても嫁には行かぬと言ったお前がか!」


「はい……」




~~~~~



トランバー侯爵邸に行ってから数日がたち、俺たちはラカント村で修行をしたり、聖女とたわいもない話をして楽しんでいた。

そしてようやくトランバー侯爵邸に再度呼ばれ、今はまたトランバー侯爵の目の前にいる。


今日は爵位を賜る日と言われていた。



「頭を上げよ。――今日はダイヤの忠誠心を確かめる。お前はジルアキラン教国並びに教皇様に忠誠を誓うか?」


「はい、忠誠を誓います」


「ジルアキラン教国に危機が訪れた時、お前は剣にもなり盾にもなるか?」


「はい、私はジルアキラン教国の為に戦います」


「ジルアキラン教国の繁栄に寄与するか?」


「全力を尽くします」



「うむ、ではお前は今日からダイヤ男爵だ。領地はラカント村周囲の村を幾つか受け持て。ここは私の管轄している範囲だ。私を親と思い何でも相談し、私の役に立て。……では名を何とする……」



「はい。私はダイヤ・ハルトビを名乗りたいと思います。元の地名ではありませんが、初めての相談を致します。ハルトビと名乗ってもよろしいでしょうか?」



「うむ。ラカント村を含むその地の名はハルトビとする。町や都市を作り、領土としてハルトビを名乗れるよう努力するが良い」



「ははーー」



「――以上だ。これよりは娘を救った男として構えてくれ。――我が娘マーリンと婚姻を結ぶのだ。娘もそれを望んでおる。どうだ!?」



「……どうだと言われましても……。いきなりなもので……」



「うむ、だろうな。今すぐに返事をしなくとも良い。いずれ返事を聞かせてくれ」



「……はい」



「それとセラミヤ。いや勇者セラミヤ。お前はどうするのだ?」



いきなり俺に話を振ってきたか。それに勇者ってばれてるな。



「はい。出来るならダイヤの元で我が敵の情報を集めたいと思います。それにジルアキラン教国の神、創成神様からも認められたらと……」



「……そうか……。それではセラミヤはいずれジルアキラン教国の教都に行くが良い。私が便りを出しておく」



「はっ! ありがとうございます」



そんな感じで俺とダイヤの謁見が終わった。ここにはラウールたちもいたが、トランバー侯爵はラウールたちには何も言わなかった。


そんな対応を無視したとラウールたちはとらえず、「やるね!」とサクラがトランバー侯爵を評価していた。何故冒険者が貴族を? とは思うが、この人たちはこんなもんなんだろういつも……



~~~~~



謁見が終わったら俺たちはトランバー侯爵邸から出て、この都市を見て回っている。ダイヤの横にはマーリンがいて、マーリンの後ろにはダイアナがいる。端から見るとダイヤが二人の美女を連れて歩いているように見える。



――だがラウールとサクラがそれ以上に目立つが――



ダイヤはマーリンに向かって饒舌な感じだし、ダイアナは何故かそれを微笑ましい表情で見ていた。



そんな光景を俺は見ながら考えていた。明日からは早速ダイヤが貴族として働く。その間に俺はどうやって情報を集めようか悩む。冒険者ギルドで依頼を受けてみるか? それとも情報を集める人を雇うか。




――さて、俺はどうしようか――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ