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第百六十四話 トランバー侯爵と


俺たちはトランバー侯爵からの伝言を聞いて移動した。


一応マーリンを助けたお礼と、聖女を守ったお礼などと色々と言いたいことがあるらしい。そこにはラウールたちも連れて来てほしいと言われ、頼み込んでラウールとサクラだけは来てくれる事になった。




~~~~~



それで今は既にトランバー侯爵の前にいる。王城とまでは言わないが、侯爵の城の立派な謁見の間に俺たちはいた。


礼儀として俺たちは頭を下げているが、ラウールとサクラは突っ立ったままだ。


――いいのか――



「――うむ、普段通りで良い。Sランクの冒険者に他国の貴族、強い者……。此度は私の娘を助けてくれてありがとう。そして聖女も普段の聖女に戻ったようだな。助かったぞ」



目の前にいるマーリンの父だろう男が軽く頭を下げた。



「……それでだが私が恩に報いたい。何か欲しいものはないか。――――ダイヤと言う者には爵位を与えようと思っているが、他の者はそれはいらぬだろう。さあ、何が欲しい?」


……


「――私に爵位をと言いますが侯爵……、私も他の仲間と同じでも良いのですが……」


「ふむ、君は我がトランバー家に繋がる者として活動して欲しい。特に他のものが爵位を受け入れないだろうからな。……こんなことを言ってしまうと誤解されるかも知れぬが、君や他の者の能力を全て欲しいのだがな」



「……ん、俺は……いえ私はタラトン王国に籍をおいています」



「私たちは嫌よ。東大陸の何処かの爵位はあるけどね」



……サクラたちは何処かの貴族だったのか……。東大陸……



「うむ、わかっている。そこは悪いが調べさせてもらった。だからそなたたちには爵位以外の褒美を考えているのだ。……で、ダイヤ、君は私からの爵位を得るか? 収める土地の有無は希望に沿うぞ」



……

……


ダイヤは何かを考えているようだ。そして俺を一度見て、サクラと目を合わせてニヤッとしてから答えた。



「――ありがたくそのお話を受けたいと思います。そして出来るのならラカント村の周囲をいただきたいと思うのですが」



ダイヤは注文をつけたよ……。これはジルアキラン教国ではありか?



「……んーー、爵位は問題ない。だが土地に関しては、場所は教皇さまにも許可を得ねばならん。そこは暫し待て」



「はい、私ダイヤは、ジルアキラン教国に忠誠を誓います。この後の事は全てお任せ致します」



「ふむ。ではダイヤには我が娘、マーリンを付き添わせる。更にダイアナの部隊も合わせ護衛にする。教皇様の許可があるまではラカント村かここトランバー都にいるが良い」



そんな話をされた後に俺たちには褒美を考えておくように言われ、謁見の間を後にした。




~~~~~



謁見の間を出た後には、トランバー侯爵に呼ばれるということもなく、領都にある食堂で昼食を摂っていた。



「ダイヤ? 何で素直に貴族になったの? 俺は何か違う褒美を得るかと思ったんだけど?」



「フフフフフフ……。サクラ師匠! ここは是でしょう?」

「そうよ是よ!」

「貴族はなるべきでしょ?」

「正統派は成るべきよ!」

「ではこれは……」


「「テンプレ!」」



……



「だから私は貴族になるのだよセラミヤ! ここから俺が何かをする度に何かが起きる。――そして何かが起きる度にセラミヤ! 君の問題も解決していくのだよ!」



「……わからないが……そうなのか……」



「ああ、泥舟に乗ったつもりでいてくれ」



「……泥舟……」



何かが進む気がしてきたが、心配事が増えた気もする。だが俺がジルアキラン教国で神に認められるためには良い気もする。

ここは諦めてダイヤに任せるか。




……

……



そこで話し合ったのがこの後の事だった。サクラたちは褒美は俺たちが良いように考えて良いと言った。だからどんな褒美が良いのか考えていた。



ダイヤが領土持ちになるから、それの助けになるものが良いのかと考えていたが、なかなか良い案が浮かばなかった。


……

……


だがそこでラウールが良い案を出した。領土持ちの貴族の助けになる報酬……



「ダイヤは政治は出来るの? もし出来ないならその助けになる人を望んだら? 僕たちの分の褒美もそれでいいよ」



「――いいのか? 私だけそんなに貰っても?」



「いいよ、サクラもそれでいいでしょ?」



「私はダイヤのテンプレを応援するわよ! ダイヤ! ここからはナイセイよ!」



「――ナイセイ……だがサクラたちはまだ一緒にいてくれるのか?」



「これは見ておかないといけないでしょ! 私たちには不向きな事をする人を身近で……。もう少し一緒にいるわよ! でも、セラミヤはいいの? 倒すべき相手がいるでしょ?」



「ん~、俺もいいぞ。今はまだ何の情報もない。だったらゴーレムが襲ってきた辺りにいるのもいいだろ」


そう、まだ何もわからない。もしこの先にダイヤと別れなければいけない状況も考えなければね。



「セラミヤ……私はナイセイをしてもお前と一緒に行くぞ。そんなに考えるような顔をするな。何処かに行く前までに私がいなくとも良いようにするぞ」



「ダイヤ……。ありがとう……」



「決まったわね。じゃあこれからダイヤは頑張って! 私たちは何かを作るときに協力をするわよ! ――謎の多い領主……いいじゃない。でも、どの爵位なんだろうね?」



「う~ん、ラカント村だけなら騎士爵程度だろうけど、周辺も合わせると準男爵くらい?」




爵位がわからないままダイヤの中でどう動くかを決めているようだ。


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