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第百六十一話 ラカント村長の説明


俺たちがラカントの家に入り、大きな部屋に集まったところでラカントからの説明が始まった。



初めは聖女が倒れた。疲労などと理由をつけたが、疲労だけではなかった。この村にはラカントのパーティーメンバー、クランメンバーの回復術師が滞在している。話だけ聞くと、この辺ではこの村の回復術師が一番能力が高く、その話を聞いた聖女のお付きの人がここまで連れて来たと言う。

だが、そこまでして連れて来た聖女を回復出来なかった。そしてそうこうしているうちにゴーレムが現れた。

ゴーレムは初めは少なく、倒される毎に増え、最後は俺たちが増援に来たときの状況になっていた。

そして俺たちが到着してからの状況を経て、今のこの話し合いになっている。


で、聖女の事だが、トランバー侯爵家には事情を知ってもらいたいと言った。


現在の聖女は回復魔法でどうにか生きてはいるが、魔法を止めた場合は一瞬で命を落とす可能性があるそうだ。

だったら何故ここにいるのかと言いたかったが、先にラカントが説明し出した。


ジルアキラン教団はこの事を知り、密かに数名の回復術師と教徒、ラカントのもとクランメンバーをここに送り込んだ。

あまり不自然ではない程度に回復と守りを固めていた。これはラカントが今まで成してきた功績なくして出来なかったようで、ラカントの信用があってこその処置だった。


しかし聖女は一向に良くならず、逆に悪くなっていっている現状で、何かにすがりたくなった。

そこに現れたのが俺、勇者。――勇者とは言われなかったが、何か何処かの神に関係があるのではないかと思われた。更にラウールたちの活躍だ。主に防御に専念していたが、回復も担っていた。――ああ、今思うとここは村だから回復術師がいないのではなく、回復術師は聖女に係りきりだったのだな……


まあそんな感じでラウールたちに何かの可能性を感じたそうだ……。うん、ラウールたちの誰か一人で用事は済みそうだが……




~~~~~



「と言う事情だ。今も聖女は苦しんでいるが、俺たちには治せない……、その状況もトランバー家の者はわかっておいてくれ。……それでラウールとか言うものたちに助けを求めたい」



「僕た――」

「それは私が聞きましょう。おそらくこれはラウールよりはわかると思いますよ?」


ラウールが話し出そうとしたところで、妖精のソフィアが遮った。



「……話が出来る妖精……、戦場でもあの鳥が話していたな……」



「我鳥じゃなくてクロウ!」

「俺はヤマトだ!」

「えーー、私は見た通り人間のサクラよ!」

「……僕はラウール……」



「おう……俺はラカント、よろしくな」



ラウールたちみんなが話すと、今まで話している姿を見たことがない人は驚いていた。



「……それで妖精の……」

「ソフィアです」



「ソフィアは聖女をどうにか出来るのか?」



「ええ、簡単な方法から手間がかかる方法まで色々とありますが、どれが良いのでしょうね?」



――

――



「――出来るなら一番良い方法で!」と何故かマーリンが話に入ってきた。



「マーリンさん、あなたはそう言いますが、今決めるべきはラカント? 教団関係者? 聖女?」



「……私ではありませんね……」


「……それは……俺でもないな……」



「では聖女はどうですか? そこを考える事が出来ますか?」



「……ん、回復魔法を一時的に強くしたら……、いや、任せる、任せます」





~~~~~




ラカントがそう言う返事をした後に聖女の所に俺は移動した。

多い人数で押し掛けるべきではないと、ラウールたちと俺とダイヤ、マーリンダイアナだけ移動した。



移動した先には苦しんでいる女の子がいた。周りには回復魔法を唱えている人と、ジルアキラン教団の紋章をつけた人がいた。


先に誰かが事情を説明したのか、誰も何も言わずにこちらを見た。



……



「……ん~、これはやはり呪いですね。簡単には解けない呪い……。ラウール、光の精霊は多く集まったので、もといた集団には帰らなくても良いと言っています。光の精霊と妖精の居場所を聖女に指定しても良いですか?」



「もちろんいいよ。僕は何となくしか精霊を感じれないし、何か恩恵を受けている感じもないし」



「そうですか、では始めましょうか」



「――ちょっと聞いていいか?」とラカントがここで話に入ってきた。


「――光の精霊がいるのは何人か気づいている。それも数が尋常じゃないこともな。だが、光の精霊が聖女に何かして治るのか?」



「治りますよ。こんなにいる精霊が何も出来ないと思いますか? それに治すだけであれば私たちの誰でも治せますよ。でも今後も同じことが起きるのは避けたいでしょ?」



「それはそうだが…………信用してもいいのか?」



「信用してもいいのかと言われましても、それはあなたたちが決める事でしょう。私たちはどちらでも良いですよ。信用していただけないなら何もしませんし、敵対するなら返り討ちですね」




するとジルアキラン教団の紋章をつけた中年の男性が……

「――何だと! それは聖女様を! 私たちの教団を馬鹿にしているのか! 何だその態度は! ――やめましょうラカント殿……こんな何処の誰だかわからない奴らの言うことを聞くのは!」



……

……



こいつは今の状況がわかってるのか? 確かに急に出てきた者たちに助けられるのは嫌だろう。信用もならないだろう。だが、反発するだけの言葉は避けるべきだろ……




この男の言葉で先がまたわからなくなった。


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