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第百五十二話 セラミヤの冒険者登録

俺は冒険者ギルドに到着した。冒険者ギルドの外にはまだラウールたちはおらず、少し待つことにした。



俺が冒険者ギルドの前で立っていると、続々と冒険者がギルドに入っていく。

入っていく冒険者は様々で、俺よりも小さい子や、強そうな人、様々な種族の人がいた。


俺を見る目も様々で、全く気にする素振りがない人から、じ~と観察するように、値踏みするように見ていく人もいた。


一応これでも地元では見た目は良いと言われていたから、見られることには慣れている。それに、セーラ母さんが奮発してくれたから、俺の装備は駆け出しの冒険者が着るものではない。


――ちょっと目立っちゃったか?



そんな反省点も考えていると、遠くからものすごく目立つ人たちが歩いてきた。


大勢の人がいても自然に目がそちらに向く……ラウールとサクラ、それに従魔が三匹だ。妖精をそこに入れても良いかはわからないけど。


それに、見る人が見たらわかるが、精霊も初めて見たときより多く側にいる。ラウールたちは気づいていないようだけど。



「「お待たせ」」

「おはよう!」


そう挨拶を交わし、冒険者ギルドの中に入った。


そして周りの視線を気にしながら受付に到着し、俺たちの前の人が用件を済ませ、ようやく俺の順番が来た。



「ご用件は?」と受付の綺麗な女の人が俺に声をかけてきた。



「冒険者登録をお願いします!」



「――それはあなただけですか? それとも後ろに控えている人もですか?」と綺麗な若い女の人が言う。


この人は若いし、新人なのかな? そんな印象だ。


「俺だけだよ。後ろの二人はすでに冒険者だよ」



「はい、ご用件を承りました。それでは身分証明が出来る物はございますか?」


――身分証明か、貴族用の物は不味いだろうな……。ここは商人ギルドのプレートがいいな。


「じゃあこれで」と商人ギルドのプレートを渡した。



……

……



それで冒険者登録は終わった。


「それではパーティー登録はいかがなさいますか?」


俺の後ろからラウールが「今は無しで」と言った。


「はい、では最後に冒険者についての説明はいかがなさいますか?」


……聞くか?



「ラウール、聞いてもいい?」


「いいよ! 僕たちもそれを聞いて、冒険者になったんだなって思ったし」


「うん――じゃあお願いします!」



俺がそう返事をすると後ろから怒鳴り声が聞こえてきた。



「おい!! 俺のミランダを口説くのか! 長いぞお前ら!」



「誰が俺のですか……クサットさん、いい加減な事を言わないでください……」



「あー! ミランダ! 俺の何が駄目なんだ!」と言いながら俺たちの近くまで歩いてくる。そして手が届く距離まで来て止まった。


「こいつらが俺とミランダの時間を奪ってやがるのか! ――テメーら! ガキが冒険者だと! ――ガキはママに抱かれて泣いてるんだな!」


クサットと呼ばれた臭そうな、体格だけは良い冒険者はそう言うと、顔を近づけ睨んできた。



息が臭いな……と一瞬考えてしまったが、僕たちの横に来たラウールとサクラが話し出した。



「――ラウール! 久しぶりのテンプレの予感よ!」

「――そうだねサクラ。ここは誰かな? 僕たちに来るかな?」


何か楽しそうだ。


更に冒険者ギルド内も……



「おいおい~、クサットがまたやってるぞ~」

「ああん、何だってあんな目立つ所で……」

「最近ミランダを口説いてたからな! ――他の受付嬢にはフラれてるしな!」

「――あ~あ、師匠に……」

「だがクサットもCランクだぞ? あいつは今冒険者になったんだろ?」

「ふっ――新人や見た目が若いだけで、実力はわからないだろ……」



そんな声が聞こえてきたが、クサットはまだ顔の位置を変えながら「ああん!!」と睨んでいる。



「ラウール! ここにも弟子がいるみたいね」

「――そうだね、皆頑張ってるね。だけど意外に囃し立てる冒険者はいないね」

「そうね、これだと比較的居心地はいいかもね」



ラウールたちも余裕だな。


俺もおそらくこんなのにはやられないけど、どうしたら良いんだ? そう思っていると


「何も話せないのかな~、だからお子ちゃまはこんなところにくるんじゃありませんよ~」と、クサットと呼ばれた冒険者が気持ちが悪い赤ちゃん言葉になった……



「クサットさん、それ以上は止めてくださいね。流石に登録仕立ての子に何かをしたら、罰則が適用になりますよ!」



「――あーミランダはこんなガキの味方か! あ~気分がわりーな、おい、俺の気分を悪くしたんだから、お詫びを寄越せ!」



「何で何もしてない俺がお詫びをしなきゃいけないんだよ!」



「――あ¨ーー、黙って横にいる女をミランダが俺の横に来るまで寄越せば――」


zokuzokuzokuzoku!


――

――


「あ゛っ!?」



ラウールが――



「あっ、師匠に……」



「――横? サクラに?」


zowa


「――僕の大切なサクラに?」


ザワザワ


「――寄越す?」


「――い……いや……」


「――あ゛!?」



ラウールの周りが歪んでいる――


何これ、怖い……


魔力――力――



「はい! ラウール、我は止めておくよ! こんなのにはもったいない!」



――鳥が話した? ――何? 一応魔物って聞いてるけど?



「我は思うよ――――お前邪魔」



ラウールの肩に乗っている鳥が、クロウって言ってたな。ソフィアが話をするのは知っていたけど、ん?



クロウ?が邪魔と言うと、クサットが吹っ飛んでいた。



……

……

……



「ええと……」と、ミランダさんが先に我に返ったようだ。



「……冒険者ギルドでの諍いは止めてください……。従魔がしでかした事は、持ち主の罪です……」



「――私たちが悪いって言うの!! ――何? ここは絡まれた方が悪いの!」



「――僕も納得出来ないね。何ここ? まともに仲裁に入る職員もいないし、周りの冒険者も、一部を除いたらただ見てるだけだし……。強いて言うと、僕たちの弟子くらいじゃない、まともに構えたのは……」



弟子? 俺と同じ歳だったよな。それで弟子?



「――ラウール師匠……」

「師匠たちゴメン!」

「クロウししょー、お久しぶりです!」



ん? ラウールたちに何人かが……



俺はラウールとサクラのことがわからなくなった。


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