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第百四十六話 母を訪ねて……


迷ったが、目的も多くない旅だから、一先ずその男の子に会ってみることにした。


場所はまたもや冒険者ギルドにしたが、今日はもう調整が大変なので、明日会うことにした。



それで今日が顔合わせの日、僕たちが冒険者ギルドに入ると、酒場にラーバンストと男の子が座って待っていた。



「お待たせ。ちょっと遅かった?」と僕は二人に挨拶をしながら椅子に座った。もちろん護衛だけではなく、一定期間一緒にいることになるから、サクラやクロウ、ソフィア、ヤマトに精霊と妖精もいる。ま~精霊と妖精の姿は消しているが……



するとラーバンストの横にいた身なりの良い子が話し出した。



「はじめまして! 私はバントール・フイユキンと言います。この度は父がご迷惑をおかけしました!」と頭を下げた。そして「私も数年はフイユキン伯爵家でお世話になっていましたが、身内贔屓とはわかっていましたが――あれほどとは……。流石に他人事とは言いませんが……どんなお詫びを領土の皆様にしたら良いのか……」と捲し立てた。



「それは今は聞かなくていいんだけど、僕たちへの依頼だと、母親を探すのだろうけど、何かあてはあるの?」



「あっ、申し訳ございません! ――こういう状況になって初めて私の……私や家族がいかに自分たちが良ければ、他はどうでも良いと暮らしていたことを痛感したので……」



「だからそれは今はいいから……」



……親が少し悪徳領主だった事を反省しながらなかなか話が進まなかったが、ようやく母親の話題になり、「――俺のおふく……」と急に口調が砕けた。



……



「……申し訳ないですが……伯爵家で数年の生活だったから、言葉がね。俺もこんなんだったから母に捨てられたのかな……」



……急に言葉遣いが変わっただけならいいが、何故捨てられたと言う話になるのか? 円満に別れたのではないのか?



「……悪い……俺の母は父には何か言ったみたいだが、俺には何も言ってくれなかったんだ……そう、ただ――サヨナラ――だけだった。……父も詳しく母の事はわかっていないみたいだから……。ま~、貴族家の力? ……何かどうしたか俺が産まれるくらいの関係だったみたいだけどね……。……いきなりの伯爵家での生活もな……」



何だ、急に一人語りか……

人の人生までは興味がないんだが……



「……でも母に……かあさんに会いたい……。今どこで何をしているのかな? ……父がこんなことになって……俺は居場所が……」



――ラーバンスト……これは面倒だから嫌だよ……。何この空気は……僕たちがこんな語る人と旅が出来ると思ってるのか?



「……頼む……、俺が兄貴と慕うラーバンスト様が言うからには……噂のキロネコなら俺の母を見つけてくれると思ってな……」



……

……



――アウツ――ワンナウト!



僕たちはいつの間にかキロ――ちょっと惜しいけど、黒なんだな! ……と言いたいが、何でこんなんを僕たちに紹介してるのラーバンスト! せめて名前くらいはね。



「だってラーバンスト――僕たちキロネコに頼みたいのはそれだって……」と、そう言うと……



「――! ――君たち! 俺は母を探すためにいくらでも移動するつもりなんだ! ――だから協力をしてくれよ! 俺はまだ十四だ! ……君たちみたいに戦いには慣れていない子供なんだ!」



……

……



「だってさラーバンスト……。これが君の友達なのか? ……友達の友達は友達って言いたかったけど…………何でこんなんと友達なの?」



……



「……すまぬ……」



「……すまぬなの?」



「……すまぬって何だ? 俺を連れていくって事でいいのか?」




バントール……残念な思考……



「悪い! ラウール! ――一旦解散でいいか!」



「……いいけど、僕はまたあなたにも会うとは言えないけどね……。友達があんなんだと思うと、その友達に会いたいって思う?」



……



「……だな……。……悪いなラウール……。……バントール、帰れ!! ――どうして急にそんな態度になったかわからないが、帰れ!」



「――は~、急に何ですか王子……。俺の母を探すために、キロネコを紹介してくれるって言ったじゃないですか! ――だから俺はここに暇でもないのに、たかが冒険者、平民に会いに来たのに!」



……たかが平民……。こんな言葉を言う人がどうやってラーバンスト王子に取り入ったんだろうね。


ん~、貴族同士の何かで仲良くなったんだろうかね。ま~僕たちもラーバンストは信用してたけど、ここまでの人物だったのかな?



「じゃあ僕たちは帰るからね。じゃあ! もう二度と会わないだろうけど~」と、バントールが引き留めそうだったがさっさと冒険者ギルドから出た。



冒険者ギルドを出るとすぐにため息が出て、移動する前に皆で話をしていた。


――何故あれがラーバンスト王子と友達になれていたんだ? それに、報酬も払わなそうだったし。

てっきり皆に好かれているって言うから、もっとどんな人にもだと思ったけど、貴族基準で好かれるだけなのかな。それでも伯爵家に行く前は、一般家庭だったようだけど、そこでも好かれていたって話は嘘かな?


ま~「良くわからないな~」とサクラと話していたらこんどは……



「俺の護衛になってくれよ! 母親の所に戻らなきゃいけないんだ!」



そう、庶民的な子供が僕たちに話しかけてきた。


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