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第百四十話 オークション開催


――とうとうオークション当日となり、僕たちは朝からオークション会場にいた。


参加証を入場口で見せると、番号札が渡され「番号の書いてある椅子にお座りください」と言われた。


僕たちは参加証を購入したときに、二人と小さな従魔が三匹と登録していた。この従魔の入場の保証もあり、他の人よりも参加証は高かったのだ。

入れないよりは良いが、何かあったときの弁償は高額になると言われている。


――普通の人よりも大人しいのに。



――僕たちの席はすぐに見つかった。後ろに行くほど席が高くなり、扇状で、ステージが皆から見える会場。

――その一番後列の一番端。

僕たちの見た目でなめられた? それとも従魔も一緒に入ると登録したから? ま~わざとだろうな。



それに文句を言う気もないが、皆で雑談し自分たちの席で開幕を待つ。



――続々と人が入ってくる。


――護衛を連れた貴族や商人、その辺を歩いている一般人など様々な立ち位置の人。

――様々な人種。

――幅広い年齢層……大人と一緒に入ってくる子もいる。



奴隷となる人のオークションもあるようだけど大丈夫か?



――僕たちも見た目が良いから自分の身を守らなければいけないな。

ここに入ってきて、僕たちを見る目が危ない奴もいたし……



……

……



ステージの幕が開く……開幕だ!



「――それでは第――回目のオークションを開催します。私は本日の司会の――です。よろしくお願いしますね。――私の進行を邪魔した場合は、あっちから厳ついオッサンが出てきますから――」



軽快なトークがやや続き、オークション品が司会の人の合図で運ばれてくる。



……

……



「さあここまでお買い上げありがとうございます! 続きましては目玉となってはいない商品――ですが、良い品ですよ。それではこちらに……」




――運ばれてきた物――貴重な物――


――ミスリルの片手剣だ――



……貴重?


……貴重なんだな。


……貴重なんでしょう。



ミスリルがその位置にあるか……だったらもし僕が創った武器なら、これ以上は価値があるか……。ま~、価値を証明してからだけど……



……



「百万!」

「百二十万!」


――――


「六百万!」

「六百五万!」

「――六百二十万!」


「――はい、次はありませんか! なんと今のところはゴブリンの魔石込みの売却額が五銅貨ですが、それだけの数を倒してもおそらく刃こぼれもしない剣が……はい、五百E――今は五百万E越え! 何匹ゴブリンが出てくるんだって言いたい! さあ、まだいませんか!」




「ふっ! 七百万……」と言った冒険者風の青年がいた。


――煽られたな――若い――だが――



「――はい、後はおりませんか! ――――ん――――はい、七十七番! あなたが落札です! ――」




――その額を稼ぐには……ゴブリンを何匹タオサナケレバイケナインダ……。ゴブリンだって三つの能力を平均すると百……ほとんど魔力がないゴブリンは、魔力以外の数字が高い……そんなゴブリンを何匹倒さなければいけないんだ。


――あいつらはすぐ増えるし、意外に厄介だし…………あの冒険者はここまでお金を出せるのに、ゴブリンと比べると途端に勿体なくなる武器――ミスリルの片手剣……



「――んん、やったな」

「おう、やっと次のランクに挑めるぞ」

「――ようやくBランクイン冒険者に挑戦ですか……」

「何言ってるのよ! 私たちはSランク冒険者になるのよ! ――やっと貯めたお金なんだからね! 頑張ってよ――」



――方針、なかなかリア充だ。

――ほほう、彼女は……やるな。




……

……



ここまでの出来事はおいておいて、オークションは進んでいった。


時々目玉商品を混ぜながら、運営の思惑通りに高く売りつけている印象だ。



「では一旦昼食としましょう。皆さんはご自由に、しかし時間いには間に合うように……あなたたちが思う貴賤は関係なく、オークションは進みますよ!」



……

……

……



昼食タイムの宣言があり、僕たちは栄養分を摂った。 ――ある程度僕たちの行動は、目的に合わせた準備をしている。



だから今は移動をしなくて良いように、ブロック型の栄養が計算された食べ物を口にした。



……しかしこの時僕たちは油断していたのだろう。 ――僕たちの後方にあった気配が話しかけてきた。



「おう、やっぱり君たちか。――俺がいたのはわかってたと思うから、ハナシカケてくれていいだろ」





――――ああ、まあ時間は合ったからな。



「ラーバンスト王子…あのお久しぶりです……」と僕は仕方がなく返事をした。


僕は初めから気がついていたが、出来るなら相手に気づいてほしくなかった。


ラーバンスト王子は今までは何にも入札せずにいる。――何を狙って……いや、偶然なのか何故このオークションに参加をしているのか……



「――――なあラウール……率直に言うと……俺は……妖精を競り落とすぞ」



――競り落とす――妖精――

――何か最悪な展開だな。


「だが君たちが競り落とすと言うなら――――俺は手を引くぞ……


そうラーバンストが話した。


だから一応僕たちは妖精を競り落としたいと言ったら、ラーバンストはあっさりと引き下がった。



――だが――



「――これは頼みだ……。俺は国家予算を使っても妖精を手に入れるために動く。――それが例え君たちがいくらお金を積んでも……。だが今は協力をしたい……。アルグリアン王国……俺の国が病気に支配され始めている……サポイタンヒュージュン病が我が国でも流行り始めたのだ――」



――ここでサポイタンヒュージュン病がまた……



これはソフィアたちに頼みっぱなしは――――無理だな。




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