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第百三十二話 パナックさんからの聞き取りと情報収集


「本当に治ったんですかい? ――見てましたが、何も変わっていないように見えますぜ! これじゃあ治療院と変わらないじゃないですか!」とまだ良くわかっていないパナックさんが言う。



「治っていますよ。この私、妖精が保証しますよ。」



「――だが……」



「まあまだ信じられないかもね。でもこれから美味しいものを食べて、体力が回復してきたら元気になるよ。それに、怪しげにお金を寄越せ! なんて言わないから。」



僕がそう言うと少しは安心したのか、妻と孫を覗き込み涙ぐんでいた。



……

……



少しパナックさんが落ち着いた頃に状況を確認した。

病気になった原因がわかるならいいが、わからないなら何か変なことがなかったか聞いてみた。



その問いにパナックさんは思い出すように答えた。



「はじめは…………ボフトが遊ばないで寝てばかりになった……まだ五歳で遊びが大好きな孫が……。娘夫婦はなんともなかったんで皆が心配してボフトを治療院に連れていったんで……それで同じような子供がいるって治療院で言われ……これで良くなると薬が出されたんだ。」



ほうほう。



「それで少しボフトが良くなったと思ったところで……しばらくして妻が倒れたんだ。俺たちは何ともないのに妻が……。それで妻も治療院に連れていったら、ボフトと同じ病気だって言われたから……。同じ薬を飲んで妻も治ってきたと思ったら……今はもう起きれないぐらい苦しいと言うんだ。」



感染性?



「……で、俺もかかってると言われたが、少し疲れやすいくらいで働けるから、薬代を稼いでいるんだ。……娘夫婦は治療院でも何も言われてないしな。」



何で同じ家で暮らしているみたいだけど、ボフトの親にあたる娘夫婦は病気になっていないんだろう?



「あとはご覧の通りあなたたちに助けられました……ありがとう……」



パナックさんがお礼を言ったあとは何かヒントになる事が聞けないか質問をしたが、病名すら出てこないからこれ以上の情報はなかった。


だから娘夫婦が帰ってくるまで待っててくれと言われたが、またそのうちパナックさんの家によることにして、僕たちは冒険者ギルドに行くことにした。



……

……



治療院に冒険者の肩書きしかない僕たちが行っても怪しまれるだけと思い、冒険者ギルドで情報を集めることにした。



その道中でクロウとソフィアからわかったことを聞いてみた。



何でも病気の名前は『魔力放出病』と言う見立てだった。何故この病気が回復魔法で治ったかは、僕たちの力だからとしか言えないが……薬で少しは回復するのは、治療院が出す治療薬は、少し魔力が回復する効能があるからみたいだ。


あとは誰もこの病気についてわからないのは、魔力が通常より少しだけ多く放出される他の病気と同じような症状が出ているかららしい。

更に治療薬が少しは症状を回復させているから、普通の人には違いがわからないそうだ。


これは鑑定や色々わかる能力を持ったクロウたちでないとわからなそうだ。



ん~、どうやってこの情報を広めたら良いんだろう? いくらSランク冒険者とはいえ、治療の素人がどう証明したら良いか……


他にも何故この病気が広まっているのかも気になる……昔からあるのか? それとも急激に増えたのか? クロウたちは感染するような病気ではないから、家族で三人も罹っているのは不自然だとも言った。


あ~、娘夫婦も診てきたら良かったかな? もしかするとパナックさんよりも更に症状が軽いだけかもしれないし……



そんな感じで情報を整理していると冒険者ギルドに到着した。



……

……



僕たちが冒険者ギルドに入ると出迎えてくれる人たちがいた――弟子たちだ。

海を渡り、こちらにも僕たちが戦闘技術を教えた弟子がいる。特に年上の弟子はランクより少し強いくらいにはなっていたので、オーション市から旅立っていた。その弟子が僕たちを見つけたのだった。



「クロウ師匠! チース!」

「此方に来られたのですか! ちょっと護衛でてこずっていたので、もう一度鍛えてください!」

「おい! ラウール師匠たちが来たって皆に教えてこい!」

「ギルドにもサクラ師匠が来たって、ランクもおしえ「馬鹿! 人の情報を勝手に教えるな!」……すまん……興奮してた……」


そんなまだ幼く見える僕たちを迎える強面な冒険者を不思議そうに見ている冒険者たち……

いきなり目立ってしまったな。


だが、交易国の冒険者ギルドは思っているよりも冷静な人が多く感じる。

チラッと掲示されている依頼を見たが、護衛依頼が多いから、無駄にトラブルを起こさないようになっているのかな?


人種も人間族は少ないし、ここもやはり実力主義か? 見た目では侮らないか。



「それで師匠! 今日はどうしたんですか? 我々がわかることはお教え出来ますが……今日初めて来たんですよね?」


あ~、弟子たちも病気になっている人がいたりして。



「そうなんだよ。僕たちはちょっと調べたいことがあるからね。――誰か最近病気になって、治療院でサポイタンヒュージュン病って言われた人はいない?」


サポイタンヒュージュン病……これがパナックさんが覚えれなかった病気の名前だ。


もし本当にサポイタンヒュージュン病でも治せると思うし、魔力放出症でも色々確認が出来るから、僕たちは弟子たちがいたことにより、行動方針を変えた。


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