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第百二十八話 一旦さらば東大陸

さて、東大陸のオーション市のある半島の西端と、西大陸の東端にある半島は船で移動できる。


西大陸の東端の半島は一応一国として成り立っている。

ナイデラ交易国はオーション市のように多民族が暮らしているが、都市の規模を越えて国となっている。だが巨大都市が国として成り立っているだけとも言える。



僕たちはオーション市に留まっている弟子たちからそんな情報を得た。


すぐに西大陸に旅立とうと思っていたが、弟子たちから頼まれ、更に新しく冒険者になった子たちにも稽古をつけてとなかなか見放せないでいた。


幸いなことにバイアント王国からの報酬でお金には困らない……外壁などを修理していた時に倒した魔物も……その報酬もかなりのものになっていたから。



ここにきて別途の報酬にすると交渉していたのが効いている。



ま~それだからこそ呑気に旅立たずここにいるのだが。



……

……


だが数ヵ月もオーション市で過ごしてしまい、もうすぐ十四歳になる。


これが良い区切りと思って西大陸に旅立つつもりだ。

このことは弟子たちにも伝えているが、まだまだ色々と教えてほしいと、子犬のような目で見られることが多い。


ついでに言うと、冒険者ギルドも僕たちが若い冒険者に様々なことを教え、依頼達成率が上がっているので、留まってほしいと言われていた。



そんな状況だが、若いうちに世界を見て、いずれは何処かを拠点にして留まりたいからと説得をして、自由な冒険者という立場も全面に出した。



それでようやく弟子たちや冒険者ギルド職員もしぶしぶ納得してくれた。

出来るならここを将来的には拠点にしてほしいとは言われたが……



それにバイアント王国からもラブコールがある。

今は諦めるが、望むなら爵位を与える……いや、貰ってほしいとまで言われていた。

距離的に遠いから、冒険者ギルドを通しての打診だが……



……



そんなしがらみがそろそろ重いとも感じているから、旅に出たいんだけどね。



だから誕生日後に一番早く出港する船を探した。


僕たちが乗れる船は一般人用以外にも、王家のプレートがあるから貴族用のもある。

だけど気楽に行きたいから、一般人用の船を予約した。



……



「東大陸じゃあちょっと目立っちゃったわね」


「そうだね、ちょっとでもない気がするけど、結果的には三つの国の全てで王家の人と知り合いになったね」


「そうよ、何で知り合いたくないって思ってると知り合うのよ!」


「……ま~、そのお陰で少しは自重しなくても良かったからいいんじゃない?」


「まあね、まあ私たちの実力を知られたから、あれだけですんだのよね。それでないとはじめのファンフート王国の貴族みたいなのに何度も絡まれただろうし……」


「……ガイブン」


「……ラウール……」


……


「我たちが一緒だよ! ラウール、辛いなら我が代わるから……」


「そうだぜ! 俺たちが殺るぜ」


「そうですよ。あんなことは……こちらに来てすぐだったからですよ。流石にラウールも心に余裕がなかったんですよ」



「……ん、ありがとう……」



……

……



僕の嫌な記憶で暗い雰囲気になってしまったが、その後は西大陸で何があるかと、何をして楽しむかなと話をした。



弟子たちからナイデラ交易国の情報を得ているが、ナイデラ交易国の隣は宗教国家だそうだ。

ナイデラ交易国の南は小さな王国がある。他にもいくつかの国はあるが、西大陸の北は小国がいくつもあり、国によって特徴も違うから、旅をするには楽しいかもしれないと言われた。



そのためにもジルアキラン教国を通らなければいけない。



ジルアキラン教国だが、この世界では神の存在は明らかになっていない。

普段生活をしていても神に祈るという行動はない。だがジルアキラン教国だけは独自の神を信仰している。

ほとんどの国は信仰していない神なので、東大陸では稀にしか見ないが、極たまに大きな都市には教団が存在した。


この世界に神がいるのは僕たちは知っているから、その神と同一のものを信仰しているかは確認してみたい。



……

……



ジルアキラン教国の話をしていたら、僕たちをこの世界に集めてくれた神を思いだし、ついシチランジンの神々に祈りを捧げてしまった。


ここは僕たちが泊まっている宿だったが、何故か祈りを捧げた瞬間、辺りが神聖な雰囲気になった気がした。



そして……



『我が眠りを邪魔をするものは誰だ? ――我のもとに声が届くなど……誰だ?』



……は?



「我だよ我! ゴメン!」



『……ああ……お前たちか……』



「おう! つい前のとこの神に祈ってな!」

「ごめんなさい。あなたに用事があったわけではないんです」



『さようか……ではあまり我を起こすなよ……さらば……』



「我も気を付けるよ! ゴメン!」



……ん~?



……

……



一応クロウたちに聞いてみた。

あれは何だったのかと……


でクロウたちが答えてくれたのは、この世界の神だということだ。

何でもソフィアやヤマトがここに来る時にも力になり、クロウが世界を渡った時にも何も言わないでくれた。


特にクロウははじめに世界を渡った時には会ってもいないが、その後に話をしていたらしい。その繋がりでソフィアもヤマトも面識があるそうだ。



……流石に驚いたが、僕とサクラには必要がなければ関わらせないそうだ。

この世界の神は前から聞いていたように、ほぼ世界に干渉はしない。それが僕たちのように世界を渡っても……例えるなら勇者召喚があっても何もしないそうだ。


だから僕たちに関わりがないことは、クロウたちまでで情報を止めると改めて言われた。



……

……



まーそんな大きな衝撃もあったが無事に十四歳になった。

そして大勢の人の別れの挨拶を聞き、僕たちは西大陸への旅に出発した。




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