表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

128/167

第百二十七話 ズインブンからの報酬


「この度は我がバイアント王国の為に……ありがとう。この国王であるズインブンが自ら礼を言う」


そう、僕たちの移動速度は早いが、三ヶ月弱の時間をかけてバイアント王国の生き残った都市や町の壁等の補修をしていた。

その間にズインブン王子は国王になっていた。残りの王女王子も変わらずに国政には携わるようだ。



「各地から聞こえてくるあなた方の活躍……お陰で復興が早くなる。それにあなた方の人脈から繋がった王子のお陰で、ファンフート王国、アルグリアン王国も復興に協力してくれる。……いくら感謝を述べようとも、足りないと思える……」


こんな感謝の言葉を、僕たちは一度も謁見の間で頭を下げることなく聞いていた。


お礼の言葉がズインブン国王だけではなく、王女王子からも言われたあとに、ようやく隣にいたナイスミドルの人から報酬についての話があった。



「一つ……目録にかかれた金銭を……。一つ……西の大陸でも通用するように、我がバイアント王国とアルグリアン王国、ファンフート王国の紋章が入った身分証明のプレート。これはあとで登録を行います……。最後に……我ら東大陸の三つの王家から、Sランク冒険者に推薦する……。そして推薦後に冒険者ギルドで討議され、黒猫のお二人はSランク冒険者となります」



ん~、無難かな?

大体想像していた通りだ。……なんて、Sランクへの推薦だけだと思ってたけどね。Sランク冒険者の肩書きは、旅には役立つから、王家の紋章入りのプレートは無くても良いかな……。まーーもらっておくけど。



……


その後は報酬の引き渡しだった。

僕とサクラは王家のプレートに血を一滴、魔力を少々込めて個人登録をした。


そして冒険者プレートの書き換えもこの場で行ってくれた。

これは何か国でも装置を持っているのか、冒険者ギルド職員とエントルギルマスが受け持った。


最後に金銭だが、何故か僕たちはお金が貯まってきていて、無造作に収納してしまった。


「ん? どこにしまったんだ?」とエントルギルマスには言われてしまったが、適当に誤魔化しておいた。



……

……



その後は晩餐会があった。

参加者はズインブン国王と生き残った王家の者、宰相の目録を読み上げた人、何人かの若い貴族、エントルギルマス、騎士団団長が数名だった。


会は特に――いや、国への勧誘イベントや婚約者にしないか等と言った誘いはあった。だが僕に女の子を紹介しようとしたところで、サクラが大変に不機嫌になったので、無事? に避けることが出来た。



……

……


晩餐会から一夜明け、僕たちはここに留まる必要はないと、ズインブン国王に断って王城を去った。

引き留めたい気持ちは伝わって来たが、サクラの昨夜の不機嫌が相手にまだ効いていたようだ。


誰も強くは引き留められなかった……



……

……


王城から出た僕たちは、特に行き先を考えないまま道を歩いていた。


「これでまたSランクまでは上がったね。一つの冒険者としての目標は達したから、また気まぐれに旅をしますかサクラさんや」


「そうねラウールさん。私もこれで一つの目標は達したわね。……西の大陸にでもいきましょうかラウールさんや……」


「我もこっちはもう大丈夫だと思うから、何処かに行こう!」


「でもクロウ? 西の大陸で何をするのですか?」


「もちろん戦いだろクロウ! これでラウールについていったら強い奴らにまた会うだろ!」


「ヤマトはいつでも戦いですね……。でも、ラウールとサクラは運が良いのか悪いのか……。こちらに来ても何かに出会ってしまっていますね。だからこそ二年とかからずにSランク冒険者になってしまうのですよね」


「我も思った! 普通はここまでの出来事は起きないよ! ふ・つ・う・はこんなに物語の中心にいるような冒険は出来ないよ!」


「はっはっっはっはーー! それが俺たち黒猫だろ! 何かに出会うように旅をする」


「……嬉しくないけどね……」


「でもラウール。私は楽しいわよ! あなたと一緒に思い出が増えていく……。幸せよ!」



……

……



そんな話をして結局は宿に戻った。

どんな綺麗な所よりも、旅をして立ち寄る宿が楽しい。拠点を持ち過ごすのももちろん楽しいが、毎回違う雰囲気を感じる宿屋……



そんな宿に一泊し、一応冒険者ギルドに報告をして旅立った。


エントルギルマスも今日は既に冒険者ギルドにいて、引き留めたそうにしていた。

だが僕たちを止める理由も弱いものよりなく、王城にも立ち寄ってほしいと言う言葉を無視して、王都バイアントから旅立った。



……

……



出会いは一瞬、旅立ちは気まぐれに……


僕たちはミスリルゴーレム馬に乗りアルグリアン王国に向かった。

そしてアルグリアン王国に王家のプレートを見せて入国した。



王家のプレートの効果を試す意味もあったが、効果は絶大であった。

普通に一般人の列に並んでいたのだが、門兵に王家のプレートを見せた途端、貴族用の通行門に移動させられ、皆に丁寧にアルグリアン王国に入国させてもらった。



その後もミスリルゴーレム馬での移動は早く、オーション市に何事もなく到着した。


ここまで転移を使ったら一瞬だったのだが、それだと魔物がどうなったかわからないので普通に観察しながら移動した。


ここまでの移動では通常よりもゴブリンが多いということもなく、魔人の影響は薄れている……いや、東大陸にはもういないのではないかと思われた。




やはりここは西大陸に移動してみるか。

もしかすると西大陸にも魔人の影響があるかもしれないから……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ