第百十七話 考えは変わる……だが二ヶ月だけ……
僕たちは少し腰を据えてオーション市の依頼をこなしていた。育成依頼も受けるが、ジャックにつながる情報はないかと色々な依頼を受けていた。
なかなか魔人の情報が集まらずもやもやしているときに、プッチモ王子との直通の連絡でバイアント王国に混乱が広がっているという情報が入ってきた。
バイアラント王国が国境で諍いを起こそうとしていたが、今では何も行動が起こされていないそうだ。
何でもバイアント王国から流れてくる難民は「魔物に荒らされている……」と話していて、国内が大変な状況になっているそうだ。
ラーバンストからの情報も冒険者ギルド経由でもたらされる。
矢張こちらもバイアント王国で魔物の氾濫が続き、大きな都市……ギリギリ大きめな町は残っているが、戦力の乏しい所は滅んでいるようだ。
それで小さな所でも色々な役割を持つ場所が失くなっているのだから、国力の低下が著しい。――流れの強い冒険者も雇おうとしているようだが、上手くいかないそうだ。
……流石に沈む船に乗る人はいないだろうな……。でも――相手も考えるんだね。今この大陸で一番弱い所をついて地盤を固めていると思える。
アルグリアン王国の計画はおそらく僕たちが潰しているから……
……
僕たちは話し合った。まだ一ヶ月ほどの情報収集期間だったが、一度はバイアント王国に行くべきか……
バイアント王国は東大陸の中でも人族中心主義で、人族以外は非国民扱いな所だ。
――でも一度関わると決めてしまったから、僕たちはバイアント王国に行くことにした。
今ならAランク冒険者という肩書きがあるから楽に入国出来るだろう。
……
そうと決まればジョルジュギルマスに移動することを告げた。
ジョルジュギルマスは止めたかったようだが、僕たちがどうしても移動と言うと「食料は多めに……被害は甚大なようだ……」
と助言をくれた。
……
……
僕たちはモイスさんとダニーには別れを告げ旅に出た。
名残惜しそうにしていたが幸せそうだった。だからこそ東大陸全体を不幸にしてはならない。
……
……
僕たちは国境を目指しムカデ型ゴーレム馬車で進んだ。
旅は順調で、途中で見かける魔物も馬車に乗りながら倒し回収している。
バイアント王国に近づくにつれて魔物の活動が活発になっている。
アルグリアン王国も多くの兵や冒険者を当てているようだが、それでもこれだけ出てくるか! と言いたいほどの魔物の数だ。
……
……
そしてアルグリアン王国の西端から東端に一週間かけて移動した。
早いか遅いかが判断に迷うが、ア◯リカ大陸を横断したくらいは移動したかな? ――いやその倍はあるだろう。
この世界――クランブリンは予想も混じるが地球と同じくらいの大きさだろう。
だから大陸も広い……
……
……
そこでようやく国境に着いたが、出国する人はいなくて、入国する人が大半のようだ。
通行門から先を見ると、長い列ができていた。
反対にこちらは一人も並んでおらず、すぐに出国の手続きもされた。――もちろん冒険者プレートを見せたからすぐに先に進めたんだが……
……
……
更に先に進んだ。
手前から行くか奥から行くか迷ったが、中心の王都から外に向かい進むことにして、泣いている村の人の事も考えながら……「ゴメン」と思いながら王都を目指した。
……
……
クロウナビゲーターがおり、王都までは順調な旅だった。
魔物は数多く出現したが、良いのか悪いのか魔人は見かけなかった。
……時々大きな都市や町の近くでは、魔物と戦っている人もいたが、戦力的には大分ギリギリな感じがした。
……
……
そして王都バイアントに到着した。ここの通行門も人が多く並んでいたが、更にその外側には巡回する兵士や騎士、守る者も多く存在した。
僕たちは列に並び、自分たちの順番が来て身分証明に冒険者プレートを見せた。
すると「ようこそ王都へ!」とかなり歓迎された雰囲気となった。――十三歳の見た目なのに……
「ラウール――ヤバイわね 」
「ああサクラ――ヤバイね」
「我もこれは――」と僕の肩に何処からともなく現れて留まったクロウ。
「油断しませんように……」とソフィアも姿を現しサクラの頭へ……
「俺がやるか!」とヤマトも何故か遠くから走ってきて僕の肩に乗る……クロウの反対側に……
んーー、王都に入ったけど本当に王都?
活気が感じられないね……
だけど一先ずは冒険者ギルドに行ってみよう……僕たちは冒険者だから……
……
……
寂しい道を歩き僕たちは目的の冒険者ギルドに到着した。
迷わずにここまでこれたのも、王都の中を歩いている人が少なくて、冒険者らしき人が行く方向にただ歩いただけだが閑散としすぎだ!
これだと王都内は冒険者と兵士や騎士より歩いていないように感じる。――実際は王都民も歩いているんだけど……
だけど到着したから僕たちは冒険者ギルドに入った。
どんな現状か確認する為に……




